☆司法試験向き度→4/5点
☆予備試験向き度→3/5点
☆法科入試向き度→3/5点
警察学論集の連載を単行本化したもの。
本書のはしがきにも記載されている通り,本書の元になった連載は,警察官を主たる読者として想定しており,法科大学院生をはじめとする司法試験受験生を対象としたものではない。もっとも,司法試験の主要な出題範囲である,捜査法・証拠法分野を扱っているため,連載時から購読していた受験生も多かったのではないだろうか。
内容的には,本書の書名にも現れている通り,判例の分析に特化しているといえる。特に,事案の分析に多数の紙面を割いており,司法試験における「あてはめ」の参考・練習になる。最高裁判例の立場が明確ではない分野(別件逮捕勾留など)に関して,下級審判例の詳細な分析がなされている点も大変良い。
一方で,基本的な概念や学説の解説は,判例の分析に必要な限度に止められている印象である。川出先生の独自の見解も,(見え隠れするものの)ほとんど記載されていない(別件逮捕勾留・違法性の承継と毒樹の果実論など)。そのため,脚注の数も少なく,刑事訴訟法が苦手な受験生でもスムーズに読みこなすことができるだろう。
刑事訴訟法は判例百選の解説が優れているから,判例学習には判例百選を用いている受験生が多いものと思われるが,「あてはめ」について重点的に学習したいという場合には,本書も併読することをお勧めする。
ただし,司法試験ほど「あてはめ」に比重がない,予備試験の受験生にとっては明らかにオーバースペックである。読むとしても,予備試験合格後にすべきだろう。
最後に,本書の続刊として,「公訴・公判」篇が刊行されることを期待したい。
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