平成27年度司法試験短答式試験について | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

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資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

ご存知の方も多いと思いますが,司法試験委員会会議(第101回)議事において,来年度司法試験の短答式試験の概略(案)が公表されています。
こちら

それに従うと,平成27年度司法試験短答式試験は以下のようになるようです。

【問題数,配点,試験時間】
憲法・刑法→問題数20問から25問程度,50点満点,試験時間50分
民法→問題数30問から38問程度, 75点満点,試験時間75分

【短答式試験と論文式試験の配点比率】
従来の「1:8」を維持するには,短答式試験の得点に,論文式試験の得点に1400/800を乗じた得点を加算するという算式で総合点を算出することが考えられる

【肢切りライン】
各科目における満点の40%点(原文ママ)

【日程】
平成27年度は現行の日程を維持,平成28年度以降はさらに検討

【その他】
以上のような客観的な情報の他,出題について「従来よりも更に細かい知識を問うこととしたり,より複雑な問題にしたりという方針は相当ではない」という報告がなされています。

この文字面だけを見ると,刑法においていわゆるパズル問題が復活する可能性は低いように感じますが,そもそも近時は刑法においてパズル化傾向が強まっており(例えば,平成26年度刑事系科目第15問,第17問),従来レベル(+αレベル)の問題が継続して出題される可能性は十分あります。(新)司法試験のパズル問題は,(旧)司法試験のそれに比べればはるかに平易ですが,それでも慣れていないと時間切れになってしまうリスクがあります。仮に,25問出題されるとすると,1問2分平均で処理しなければなりません。これは,実際に問題を解いてみると,かなり厳しい時間制限です。

したがって,まず刑法のパズル問題を解き慣れておく必要があります。

次に,民法の重要性が従来にも増して強調されることになるでしょう。
これまでも,民法は満点(近く)が狙える科目でしたが,3科目化された(そして,短答式試験と論文式試験の配点比率は変わらないと思われる)ことで,受験生の民法に費やす勉強時間が増え,より高いレベルでの競争となることが予想されます。また,(旧)司法試験時代は,配点が他の2科目と同じでしたが,今回の案では他の2科目より高くなっていますので,単純に言っても重要性が高い科目ということになります。
さらに,上記のように,「従来よりも更に細かい知識を問う」出題方針ではないようですので,取りこぼしは許されません。

いずれにしても,憲法も含め,これまで以上にしっかりと短答式試験対策を講じる必要が生じていると言って良いでしょう。

なお,予備試験の短答式試験との関係については言及がありません。

「夏頃までには最終的な方針」を決定するそうですので,今後もこまめに情報収集していくことをおススメします。

※幹事の間では,「かなり多角的な議論」「非常に熱っぽい議論」がなされていたようです(笑)