【採点実感】論文パーフェクト答練分析編公法系科目第1回 | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

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資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

【第1問(憲法)】

1 明確性の原則について
・明確性の原則違反に触れている答案は少なかったが,本問ではそれでも構わない

2 法令違憲(被選挙権)
・当選無効と立候補の制限のいずれかしか触れていない答案が多かった
・法令違憲(実体審査)に関する原告の主張において,特に説明すること無く「立候補を制限するから」「当選を無効とするから」「5年間が長期間であるから」,強力な制限であるとする答案が多かった
・当該選挙区のみで立候補ができなくなるだけであるから,制約の態様は弱いとする答案があった
・被選挙権を精神的自由権であるとする答案があった
・公職選挙法の規定の違憲性を論じているにもかかわらず,地方自治の条文を持ち出す答案があった
・あてはめにおいて,判例(最判平9.3.13)を意識している答案は少なかった

3 適用違憲
・適用レベルでGの選挙権を持ち出す答案があった
・「相当の注意」を怠ったかどうかを問題とする答案が相当数あった
・文言の限定解釈を行わない答案が多い
・比例原則に反するとした答案があった

4 法令違憲(選挙権)
・論述の比重としては,軽くてよい
・必ずしも原告の主張の部分で触れる必要は無い

【第2問(行政法)】

1 設問1について
⑴ 建築確認申請書の返戻の法的評価
・非申請型(直接型)義務付けか申請型義務付けかを問題とする答案が相当数ある
・「届出」なのか「申請」なのかを問題とする答案も相当数ある
・仮の義務付けの「訴え」としている答案がある
・仮の救済の検討を忘れている答案が相当数ある
・何らの理由づけもなく,返戻を不作為又は拒否処分であるとする答案が多い(特に,当然に不作為を意味するとする答案が多い)
・事実関係の把握レベルで,不同意と建築確認申請書の返戻を混同している答案がある
⑵ B市長の不同意を争う方法
・処分性の定義が正確に書けない答案がある
・どのような意味で法的効果が生じるのかを明らかにできていない答案が多い(ex.中止命令を受ける蓋然性が高いから法的効果がある)
・中止命令の差止訴訟を挙げる答案も相当数あった

2 設問2について
⑴ 建築確認の留保について
・行政指導の違法性が何の要件の問題なのか,論じられた答案はほとんど無かった
・品川マンション事件最判(最判昭60.1.22)の規範を正確に挙げられた答案はごく少数だった
⑵ 適正化条例と風営法の関係
・徳島市公安条例事件最判(最大判昭50.9.10)の規範を正確に再現できていない(理解できていない)答案がある
・風俗営業の特殊性(地方の実情に応じた規制が必要となること)に触れられた答案はごく少数
⑶ B市長の不同意と理由付記の瑕疵
・事実関係と適用法条のいずれかを規範から落としている答案がある
・尻切れトンボになり,不十分な記載のみという答案が多い

※私の答案で,理由提示(付記)の根拠条文(B市行政手続条例8条)が抜けてしまっています。申し訳ございません。