彼のそんなストレートな気持ちが嬉しくて、私はますます彼に心を動かされた。


でも、その段階でもうお茶をして3時間・・・


「待ち合わせ・・・そろそろ連絡した方がいいんじゃないの?」


「うん・・なんか、離れたくなくて・・・こんなのなら早く言ってカラオケでも

二人きりになれるとこに行けばよかった・・・」


なんて、高校生みたいに正直な発言で嬉しいような恥ずかしいような気持ちだった。


忘れていたあの時のドキドキした気持ちが戻ってきたような気がした。


「ひとつだけ・・・私、お願いがあるんだけど・・・」


「ん?」


「・・・これからは下の名前で呼んでくれる?」


「ナナって?」


「・・・うん。私も下の名前で呼びたいから・・・」


「・・・メールで練習するよ・・・急には恥ずかしすぎてさ。」


「そだね。私もKって呼ぶの、練習するよ。」


そんな些細なやり取りがすごく嬉しかった。


でも・・・彼の約束の時間が刻々と近づいてくる・・・


「ナナと触れ合いたいよ・・・」


ストレートな彼はそう言った。


シャッターの裏は非常階段が続いているのは知っていた。10階のカフェに居る私たち。


「階段で降りよっか・・・?」


私はそう言った。





「え・・・?」


彼は驚いた表情をして、私を見た。


「んー・・・その言葉どおりだよ。俺、仕事だから、こんな堅い担当してるし、

うちの社員の紹介でこの仕事手伝ってもらってるわけだし・・・


仕事、仕事って割り切ってたけど・・・・


ダメだ、ダメだって思ってたけど、ダメなんだっけ・・・どうだっけ・・・って

分かんなくなってしまったんだよ・・・


仕事じゃなかったら・・・俺・・・好きになってしまってるよ・・・」


彼からこんな言葉がこぼれた。


めちゃくちゃ嬉しかった。


「最初は仕事ですごく動きやすく気を配ってくれて・・・こんな風に東京でも

仕事できたら居心地いいだろうなって・・・思うだけだったけど・・・

いつの間にかそういう気持ちじゃなくなってしまってたよ・・・」


仕事でもそうやって思ってくれてるのも嬉しかったし、


何より私のこと、本当に女として見てくれてたってこと、すごく嬉しかった・・・


「でも、こんなこと言っても・・・Hさんは・・・どう思ってるかって、迷惑なだけなんじゃないかって・・・

考えたりしたし・・・でも俺、言わずには居れないから・・・」


そう思ってたの?って私の方が意外だった。


「そんなことない・・・私だって・・・同じ気持ちだったよ・・・」


「え?・・・ホント??」


「私の方が・・・バレてるって思ってたのに・・・Kさんの方が何事もない顔してたのに・・・」


と言うと


「もう俺、二人だと変な気持ちになっちゃって・・・部屋に居れなかったんだよ・・早く言えばよかったのかなぁ・・・」


って正直な気持ちを言ってた。


こんな彼の気持ちが嬉しくて、私の気持ちは完全に動いてた。


「今まで、近すぎたって思うテーブルだけど・・・今はテーブルがじゃまだよな」


なんて、安心した様子で彼は言ってくれた。


ホント、ドキドキしっぱなしで・・・すごく嬉しかった。



業務最終日。


仕事に関しては流れも問題なく今日で最後だなぁと思ってた。


でも、彼に対しての気持ちはごまかせなくなってたけど・・・・


もしかするといつもと違う土地に来て、そこの女の子に気持ちをちょっと


動かされただけなんじゃないの?って思ってたし、


私も遊びでもいいや、っていう何となく言い訳がましい気持ちがあった。


確かに、結婚して4年。


それまでは色々な恋愛もあったけど、結婚してからは全くそんなのなかったし、


夫も家族、になってしまってるせいもあったし、なかなか自分の女性の部分って


意識できない、自信を持てない、っていう気持ちもすごくあったから


彼から私をそういう風に見てるかも、っていう言葉はすごく嬉しかったし、


ホントにそう思ってるの?っていう疑いもあった。


奥さんから離れてちょっとそういう気分になってるだけじゃないの?


って思ってた。


けど、次の日の朝に会った時、私はもう彼のことすきだっていう想いでしか


見れなかった。


Rさんが業務に入ってる時に部屋で二人きりになったりして、


ちょっと流れそうなムードになることもあったけど、


「・・・ちょっとタバコ・・・吸ってくるよ。」


とか言って席を外す彼の行動もあって、いまいちよく分からなくてもどかしかった。


最終日は業務も比較的早い時間に終わって・・・・


Rさんは今日の便で東京へ戻って、彼は関西の友人と待ち合わせと言ってたので


それぞれ片付けをして、終了。


Rさんは便の都合でサッと帰る準備をして、出て行った・・・。


「Kさん、今日、何時ごろ待ち合わせされてるんですか?」


「いや、終わり次第連絡する、って言ってるから特に時間は決めてないんだけど。」


「じゃぁ、それまでお茶付き合ってもらう時間ありますか?」


と、また私からお誘い。


いつも私が気に入って通ってる紅茶の美味しいお店に連れて行って


しばらく、昨日の話や今日の仕事の話、そして今までの恋愛の話も


少しずつ話してくれた。


でも・・・どうしても聴きたくて・・・ノンアルコールの状態だったけど、彼にこう聞いた。


「あのね、昨日、メールくれた時に「誤解しちゃう」っていうのはどういう意味だったんですか・・・?」