サイモン・シンの量子暗号の極めて単純な解説のさらに要約。これであってるかしらん。2001年の本を18年かかって理解しているようでは…その後、この分野もめちゃめちゃ進んでるんだろうな…
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サイモン・シン「暗号解読」に説明されている「4種類の偏光を利用した量子(光子)による安全なキーコードの受け渡し」の要約
ここでは偏光した光子を用いて暗号通信(秘密鍵の受け渡し)を行うが、光子が測定されることによってその性格を変える(偏光方向が変わってしまう)を利用することで、絶対安全かつ盗聴があればそれを知ることのできる秘密鍵の受け渡しが実現する。
1. まず、アリスが1と0からなるランダムな数列を用意する。アリスはこれに縦・横・右上から左下への斜め・左上から右下への斜めの4種類の偏光を与えることができる。
2. 偏光には縦横型と斜め型を考え、縦横型では縦偏光が1、横偏光が0、とし、斜め型では、右上から左下への斜め偏光を1とし、反対側を0としておく。(この取り決めは受信者たるボブにオープンな方法で送ることができる=盗聴者に知られてもかまわない)
3. アリスは用意したランダムな数列を、縦横型か斜め型の偏光方式をランダムに選んで、光子の行列を作って受信者たるボブに向けて送り出す。
4. ボブはこれをランダムに選んだ偏光方式、すなわち、縦のスリットか斜めのスリットを通すことにより透過するかどうかを見ることにより1と0の数列を得る。
5. もし、縦振動の光子がやってきてこれを縦のスリットに通した場合は光子は正しく通過するのでボブはこれを1と記録する。もし、縦振動の光子がやってきてこれをたまたま斜めのスリットを通したとすると、透過する場合と透過しない場合が二分の一となる。透過すれば1、透過しなければ0ととりあえずボブは記録する。横振動の光子がやってきて、これを縦型のスリットに通せばただしく透過しないので、これは0として記録される。
6. 上記のプロセスには4(入力信号の偏光方向)×2(縦のスリットをつかうか斜めのスリットを使うか)=8種類のバリエーションがあるが、それぞれに1か0の値を与えるので、ボブはこれを記録する。
(ア) 縦の偏光で縦のスリットで受けた場合 1
(イ) 縦の偏光を斜めのスリットで受けた場合、1または0(0.5ずつの確率)
(ウ) 横の偏光を縦のスリットで受けた場合 0
(エ) 横の偏光を斜めのスリットで受けた場合、1または0(0.5ずつの確率)
(オ) 斜め右上からの偏光を縦のスリットで受けた場合、1または0(0.5ずつの確率)
(カ) 斜め右上からの偏光を斜め右上からのスリットで受けた場合、1
(キ) 斜め左上からの偏光を縦のスリットで受けた場合、1または0(0.5ずつの確率)
(ク) 斜め左上からの偏光を斜め右上からのスリットで受けた場合、0
7. しかる後、アリスはボブにオープンな回線で(盗聴者に聞かれてもかまわない)自分が各ビットについてどちらの偏光方式をとったか(縦横型か斜め型か)を連絡する。信号が1だったか0だったかは連絡しない。
8. ボブは自らのリストの中で、たまたまアリスの指定した型の偏光方式のスリットで光子を観測したのがどのビットであったかを確認し、かつアリスに連絡する。たとえば、1,3,4,8,11,12,13,15番目が正しかったなど。
9. これにより、もとの信号が1か0かを明かすことなく、アリスとボブは1,3,4,8,11,12,13,15番目のビットの真の値を知ることができ、これを秘密鍵として利用することができる。
10. ここで、盗聴者イヴがいたとして、ボブと同様の操作を行い、かつアリスからの正しい偏光方法のリストをも盗聴したとしても、すでにイヴの行った操作はボブとまったく同一ではありえないため、正しい秘密鍵を知ることはできない。たとえ1,3,4,8,11,12,13,15番目のイヴの得た値を並べても、その時に使ったスリットの方式がボブと異なっていれば正しい値を得ることはできない。
11. さらに、アリスとボブはもし間に盗聴者イヴがいたとするとその事実を結果をチェックすることで知ることができる。イヴが盗聴した場合にアリスと同じ偏光方式を用いていれば、縦の偏光は縦の偏光としてそのまま送信されるが、もし異なる偏光方式によるスリット(この場合斜め型)のスリットを通せば信号は斜め型のいずれかの偏光に変わってしまい、これは秘密鍵を用いた暗号解読をするときにエラーとなって表れる。
12. このためボブは「原理的に」盗聴者がいることを発見できる。