2019年の読書メーター
読んだ本の数:108
読んだページ数:32240
ナイス数:591

持ち歩き 音楽記号事典持ち歩き 音楽記号事典感想
残念ながら、間違いを見つけられませんでした(笑)vi-deというのは浅学にして初めて知りました。収穫。
読了日:12月25日 著者:多田 鏡子
マチネの終わりに (文春文庫)マチネの終わりに (文春文庫)感想
映画も見ずに再読。リチャードがサブプライムローンの格付けに無理があることを承知で、自分の論文でそれを裏付けるような結論を書いて、そのおかげで経済的にも潤っているという描写や、東日本大震災はもちろん、2000年代、2010年代の世界の大問題をかなり真正面から議論していることに改めて驚く。作者はどこまで博識なのか。そして、ややスノビッシュであるが(笑)
読了日:12月24日 著者:平野 啓一郎
魚座の音楽論魚座の音楽論感想
昭和62年、1987年の本を今読むというのも趣深いものがある。十二音音楽やセリエルが嫌いといいながら吉松先生もまぁ理屈っぽいこと。音量子論は理解できませんでした。ただ、「『音楽は数学である』と断定する手合いの作った音の構築物が嫌いである。しかし、それ以上に、『音楽は心である』などと言って痴呆けている手合いのルーティンな態度が嫌いである」といった言説には満腔の同情を禁じ得ないのでありますな。今読んでも、というべきか、面白い本です。
読了日:12月24日 著者:吉松 隆
星祭りの町 (新潮文庫)星祭りの町 (新潮文庫)感想
時代は日本の敗戦から4年間。入間川と東京を舞台に、当時の状況がつぶさに語られる。小説であるしそのままということはないだろうが、生き生きとした描写に嘘は感じない。今となっては貴重な記録と言えるだろう。敗戦とその後、作者は生き残っただけ幸運だったと言えるかもしれないが、一市井人の生々しい証言として読ませていただいた。
読了日:12月18日 著者:津村 節子
ひみつのしつもん (単行本)ひみつのしつもん (単行本)感想
ずやずやしている。
読了日:12月17日 著者:岸本 佐知子
オカルト化する日本の教育 (ちくま新書)オカルト化する日本の教育 (ちくま新書)感想
教育現場に「水からの伝言」とかニセ科学を持ち込むなよと思う。「江戸しぐさ」という他愛のないようなナンセンスが、親学と結びつき、探っていけば結局行きつく先は日本会議。一時の古代史ブームもかなりの部分オカルトだが、この流れに寄与しているという。1/2成人式、組体操、誕生学、親学(親守詩)、このあたり全部まとめて「親の自己満足ポルノ」と呼びたい。中には素朴に「子供が親に対する感謝の気持ちを表して、親がこれにこたえる。なんとほほえましい」という向きもあるかもしれないが、これで生きにくくなる子どもは多いと確信する。
読了日:12月15日 著者:原田 実
記号の国―1970 (ロラン・バルト著作集 7)記号の国―1970 (ロラン・バルト著作集 7)感想
日本に来て驚いたロラン・バルトの感想文。日本理解が正しいとか間違っているということではなくて、こういう繊細な感性をもっていたということですね。我々の側からすると1966年の日本を振り返る便にもなっている。面白いのは俳句が一旦訳されて更に日本語に戻されると元の意味がなくなってしまうこと。俳句が如何に日本語と日本の慣習と日本の気候風土に多くを頼っているかがわかる。「なんとすばらしい人だろう/稲妻をみて/「人生ははかない」と思わない人は!」という三行と「稲妻にさとらぬ人の尊さよ」(芭蕉)との差は歴然としている。
読了日:12月12日 著者:ロラン・バルト
昭和ひとけた ひとり語り昭和ひとけた ひとり語り感想
敗戦を青春真っただ中で迎えられた世代の追想録といったらよいだろうか。この世代のインテリの現代への感慨を伺っておくのもよいことだと思う。現代への違和感の大部分を共有、少なくとも理解できるのは我々(30歳くらい下の世代)までだろうとは思うが。
読了日:12月12日 著者:黄田 光
蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)感想
異能の人を出せばとりあえず小説は面白くなる。ただ、あんまり音楽に過大な幻想と期待をもつのはどうかと思う。天才はそうなのかもしれないが、普通はピアノ弾いてて別のことを考えた瞬間にわけわからなくなるので、集中することが必要なのであってですね(笑)控え目なれど作者の「現代音楽論」も一聴に値すると思う。例の佐村河内事件も、現代音楽シーンに一石を投じたものであろうし、1950年代には1950年代の、21世紀には21世紀のそれぞれの必然があると思います。もっと泣けるメロディーを(違います)
読了日:12月04日 著者:恩田 陸
YMOのONGAKUYMOのONGAKU感想
マニアックな本ですな。要はYMOのレコーディングセッションをYMOの三人以外(松武さんは入っている)アシスタントとかの証言で「検証」していくという趣向。私にはHOUSE とACID HOUSEの違いの話とかが面白かった。しかし、ここまでほめそやされると私なんぞはうんざりしてしまう。YMOに神がかった時期があるのは認めるけれど、B.G.M.でクールダウンしたあとは、よく作りこまれたアルバムという印象しかない。しかし、音楽への情熱という意味では学ぶべきものがありますね。そして偶然の幸いと。
読了日:11月30日 著者:藤井丈司
答えのない世界に立ち向かう哲学講座――AI・バイオサイエンス・資本主義の未来答えのない世界に立ち向かう哲学講座――AI・バイオサイエンス・資本主義の未来感想
様々な今日的な問題を扱っていて、なるほどそういう問題もあるそういう考え方もあると感心しながら読んでいた。哲学も、であるがそれらの問題には倫理をコアとした学際的なアプローチが必要であろう。社会を精神的自由度と経済的自由度で4象限に分けるやり方が説明されているが、現在の中国なんかは全体主義かと思ったら経済は自由主義を取り入れているわけで「愛国的保守主義」ということになってしまうのだが、そうかなぁ。
読了日:11月27日 著者:岡本 裕一朗
新・日本の階級社会 (講談社現代新書)新・日本の階級社会 (講談社現代新書)感想
格差社会になってきている、格差を是正する必要について説く。まったくその通りだと思うが、日本全体の(経済)規模が縮小していくという問題がより本質的で、それは少子高齢化によるものだと思う。この20年間、少子高齢化対策担当大臣たらを置きながらほとんど進んでいない。もちろん格差をなくせば「アンダークラス」がなくなりあるいは余裕が出来て人口増につながるのかもしれないが…。自己責任論に関する指摘も正しい。「頑張った人が報われる社会」も結構だが、不幸にして頑張れなかった人も救わないと「救いのない社会」になってしまう。
読了日:11月22日 著者:橋本 健二

結果論と言われるだろうが北海道で感染が多いのは、春節冒頭に来訪した中国からの旅行者によるものではなかろうか。あの時点で、入国規制をするならすべきだった。習近平さんの来日の話があったから入国制限できなかったというのならそれこそ本末転倒というものだろう。話せばわかるというのはこういう時に使う。何を遠慮しているのだろう。丁寧に、礼儀を尽くして話せば理解できる話だ。言い出せなかったというのであれば、日本の外交は論外と言わざるを得ない。政府がコミュニケーション障害?笑えないジョークである。

ダイアモンドプリンセス号に関して言えば、水際作戦という意図はわかるが、船内は「培養器」と言われるほど杜撰な対応がなされており、今でも母数に比べてはるかに多い感染者が出ているのに胸が痛む。しかも解放するにあたって厳密な検査もなく公共交通機関を使って帰途につかせているのはおかしい。わざわざvirusを培養して、培地に放っているようなものだろう。

オリンピック・パラリンピックについては、「7-8月の開催」をIOCが条件として候補地を募った時点で、東京は降りるべきだった(2012年)と思うので、いまさら何をかいわんやである。それでも、いまからでもやめれば被害は少なくて済むだろう。すでにかなりのsunk costが生じているが高い勉強代と思うしかない。

知らんけど。

TBSラジオ(2月19日)ゴールデンラジオ「大竹紳士交遊録」でのきたろう氏の発言はコメディアンのいうこととはいえ、コメディのコンテクストでなされていない以上看過できない。

きたろう氏、聞き書き。

「国会で桜の会について議論するのは野党が与党を追い落としたいというだけで、安倍政権がよしんば退陣したとしても、こういう攻め方では選挙民の支持を得らない」

「桜の会疑惑より他に議論すべき重要なことはたくさんある。コロナウィルス、原発、IR、経済などなど。野党も与党もどっちもどっちでどうでもよい問題で時間を無駄に使っている。これで政権が退陣しても次の選挙で野党は勝てない」

桜の会問題を追及するのは、一つには政治資金規正法違反の疑いが濃く、なりふり構わず逃げ回る与党とそれに阿る官僚が、嘘をつく、隠蔽する、証拠を不法に破棄するといった、民主主義の大前提を崩そうとしていることに対する危機感からであり、選挙対策(もないとは言わないが)は重要度は低いのだ。

きたろう氏は、たとえ安倍首相が退陣し(しないと思うけど)選挙になっても、政策の提示もせず「桜、桜と騒いでいただけ」の野党には票は集まらないだろう、というのだが、野党各党もマニフェストを掲げて戦うことになろうし、今でも主な政治問題にかかわる主張はそれぞれ行っている。

(2月15日TBSラジオ-久米宏ラジオなんですけど-岡田憲治先生聞き書き)「北村大臣は、各地の町会長といっしょ。しゃべれなくても、仕事できなくても、昔からいろいろやってきた人なんだから大事にしないとということ。『がんばれ』って声をかけないと、と。」

「2012年の暮れから、『それダメですよね』ということがたくさんあったが、パイ生地を重ねるように『それでもいいこと』にしてきた。その結果が今につながっている」

「政治の言葉は貧困。『合併』と『野合』しかないが、その中間がいろいろあるはず。野党連合にしても『政党連合』という言葉でできることがいろいろあるはず。立憲と国民民主が協力できないのを馬鹿にするだけでは誰も幸せにならない」

「みんな野党を責めるけれども『野党はなんでも反対だ』っていうのはそれこそ簡単だ。野党は8割方の与党提案には賛成しているし、それ以外は対案を出している。野党は反対ばかりと責めてもだれも幸せにならない」

「法軽視、手続き無視、合理的説明をしない、これは日本だけじゃない、旧東欧はじめ欧州もアメリカもこうなりつつある。これは民主主義の耐用年数が尽きつつあるのではないか」

「政治の世界はここまで荒涼としてしまって、妬みと嫉みだけになっている。石破茂さんは無類に選挙に強くて政策もわかる。この両方強い人は自民党内で嫌われる。選挙に弱くて、政策の勉強もしていない議員はみんな安倍さんにすがるしかない。石破さんはだから総裁になれない」

「安倍さんが嘘をついたとか漢字が読めなかったとか偏差値70の人たちがいうが『俺も漢字は読めない。安倍の気持ちはよくわかるし、俺の気持ちも安倍はわかる。俺は安倍に入れるよ」っていうひとが2千万人くらいいるんじゃないか。トランプ(に対するrust beltの人の気持ち)と同じ。トランプはいい加減、でも俺の気持ちはわかる、と。」

 

といっても意味がわかりにくいが、要するにこの動画。

 

https://www.facebook.com/watch/?v=554843535244984

 

これの0'20"くらいに登場する延長コードの引き抜き方だが、映像だけみると大変トリッキーである。

 

気になる。

 

とりあえず、動画を分解してみる(by Miquette)

 

 

実際に手を動かしてみて簡略な図にまとめるとこうなる。

 

スチールラック(構造物)があとからのったのであればこういう初期状態にはならないはずで、何らかの事情であとからこんがらかってしまったというのであれば、こういう状態になることもまったくないとは言えない、が、あまりこういうドンピシャの状況に遭遇することはなさそうだ。

(TBSラジオ伊藤洋一さんの聞き書き)

CLO(Collateralized Loan Obligation)に関する件

 

CLOは米国の銀行を中心に不良債権を取りまとめたもの。第2のサブプライムローンになるのではないかと日銀もFRBも警告を発している。S&Pやムーディーズのデフォルト直前評価(B-/B3)の債権を3割程度含んでいるといわれる。

 

格付けが低いだけに利回りは4%程度と高く、国内でもローン先の限られる環境でこれを保有する金融機関が増えている。日本全体では12兆7000億円保有。世界の15%にあたる。3年前の2.5倍に達する。ショックにより値崩れする危険がある。格付けも当然公的機関によるものではないし、リスクが高い。

 

日本の大手ではCLOの保有高上位3社は、農林中金が7兆円、三菱FGが2兆4733億円、ゆうちょ銀行が1兆5241億円。大手はそれでも多少は中身を見ながら保有しているかもしれないが、地銀など調査能力が低いところも保有していると思われ、日銀は警告を発している。

(メモ)

発端は2013年3月の産業競争力会議で、ビジネスに使える英語教育を目指して下村博文文科相のもと、民間試験の活用という話がでた。これを受けて2013年10月に教育再生実行会議で民間試験の導入を決めた。ここまでは文科省は関係なかった。民間あるいは民間の意を受けた政治家主導といっていい。このあと、文科省の登場は2014年12月中央教育審議会で、答申に民間試験導入を明記している。

 

2017年7月に共通試験への記述式の導入を決めたが、この時点ですでに問題は噴出していた。

(1)自己採点ができない

(2)50万人の記述式の答案をどうやって採点するのか

(3)1万人という採点者を確保して、かつ公平性が保てるのか。

 

そしてすべてが崩れ去ったのが昨日、2019年12月17日。本番まで1年1か月を余すのみというギリギリのタイミングだ。2017年7月から数えても2年5か月も何を検討していたのか。杜撰極まりない。

 

記述式の問題、そして民間活用の問題は大きく下村博文氏によって主導されてきた。以下、客観的事実として、下村氏は民間教育事業者から2014‐2017年に1160万円、2005-2011年には1289万円の献金を受けていた。下村氏の次男の結婚式には2人、気になる人が出席している。

 

一人は教育大手ベネッセコーポレーション学校カンパニー長の山崎昌樹氏、もう一人は元中央教育審議会会長の安西祐一郎氏(元慶應義塾大学塾長)である。安西氏はベネッセ関連企業と関係がある。式には出ていないようだが、文部科学大臣補佐官 東京大学・慶應義塾大学教授 鈴木 寛氏もベネッセで講演をするなど関係がある。

 

中心となる下村博文氏はベネッセ=民間教育事業者とのパイプの位置にいたのは間違いない。

 

私も過去に受験生だった。ただでさえピリピリしている受験期に政府のせいで受験のシステムが決まらずにいるなどということは大変なストレスだ。これで誰も責任を取らないのだからあきれてものも言えない。

 

(TBS ラジオ 森本毅郎スタンバイを参考にさせていただきました)

●世帯数と金融資産の関係についてNRIの資料をもとにしてフリーハンドだが、グラフにしてみた。NRI資料の「図」とはずいぶん印象が変わる。8%の世帯が35%の金融資産をもっていることになる。不動産を加えればもっと偏りは激しくなるだろう。米国よりはマシだろうが、古き良き「昭和の総中流化」はまったく成り立たなくなった。





●「東京裁判史観はいかん」とおっしゃる向きがある。東京裁判(極東国際軍事裁判)は一言でいえば先の世界大戦で日本国民(と天皇)は悪い軍部と一部政治家に操られて戦争をやった。悪いのはみんな処罰したから、一般国民の皆さんはむしろ被害者であり、講和条約も結んであげるし、強く生きて生きなさいね、ということだ。

これは確かに虚構ですよ。しかし、この虚構のおかげで米国の実質的な委任統治領として、経済的に豊かになることができたわけでしょ。その後戦争もしないですみました。このストーリーに置き換えるのに、どのようなストーリーをもってするのか、と東京裁判史観批判をする方には問いたいですね。

米国の実質委任統治下ですから、いろんなことはありますよ。金は払っているし(米国の選挙権はないのにね)、米国に制空権は握られてるし、米兵が犯罪を犯しても犯人を捕まえることすらできない。原爆とか大空襲は必要悪ということになっていて計画した人間に勲章をやったりしてる。

こういう状態はよろしくない。米国の実質委任統治領でなくしたいという気持ちはわかる。しかし、そうであれば米国がこの状態から得ているものは何かをよく見て、見返りを用意してバーターするしかないですよ。見返りは「日本がまた軍隊をもって攻めてくるという恐怖をやわらげてあげる」でもいい。

山川の教科書でも日中戦争に関する記述は簡単だ。「新しい歴史教科書」に至っては南京入城はおろか、中国で日本軍が戦っていた事実の記載すらほぼない。日中戦争の事実については日本人はよく理解しなければいけない。なぜ朝鮮半島に進出したのか、そしてさらに中国の内陸まででていったのか。



●大家族で次々子供が生まれていたのが、生まれなくなり、結婚するものも減っているのが今の日本でしょう。生産が減るのは当たり前、年寄りが面倒見てもらえない、むしろ稼げと言われるのも当たり前。問題の根は少子化です。経済の縮小と少子化の悪循環が起きている。これだけ問題は明らかにみえている。なぜ、有効な策が打てないか。有効な策を打たないことでだれが得をするのか。あるいは有効な策を打つことがマクロでは望ましくてもミクロには種々の既得権、岩盤規制を損なうことになるために前に進められないのか。



●官僚と民間の癒着。天下り。利権のやり取り。これは昔からあって、我々庶民には見慣れた風景だ。問題はそれが日本の近代化を支えてきた教育制度、就中、大学入試に関わる点である。ここが崩れると終わりの終わり。


 

亡父が高校教師をしていたので、年度初めの時間割作成の困難についてはよく聞かされていた。ここでのパラメーターは、毎日何時限まであるのか、先生は誰か、科目の種類、音楽室・図画工作室などの数、運動場をいくつに分割可能か、などであり、完璧にすべての教科を埋めるのはなかなか大変だったらしい。その後、これを計算するソフトができたとも聞いていないが、どうなっているのだろう。

室内楽コンサートでも似たような状況は出てくる。本番はいいのだが、問題はリハーサルである。各曲で奏者が異なり、奏者が集まれるとき、集まれないときがある。練習場の制約もあるだろう。

これらをパラメーターを入力するだけで、ぱたぱたっと予定表を埋めてもらえるソフトができないか、というのがY先生の問いかけであった。

 

当日の演奏者(ここでは fl vn vc pfの4名とした)を曲ごとに書き込み、各演奏者の都合の悪い練習スロット(日時)にその名前を書き込めば(都合によりそれ以外は0で埋めないといけないという不細工仕様ごめん)、「自動的に」曲ごとスロットごとに、練習可能なところにはO、不可能なところにはXが表示されるというエクセルシートである。ではどのスロットをどの曲に当てはめるか、の部分は人力(不細工仕様ごめん)であるので、「支援スプレッドシート」くらいかな。

赤字の部分がインプットするところで、青字が結果である。エクセルシートはこちら。

rehearsal-booking.xlsx

(魔)改造歓迎だけど、誰もこういうものには手を出さないだろうなぁ。

以下余談。忘れないうちにテクニカルなことを書いておく。

セルの中にある文字列が含まれるかどうかはCOUNTIF関数を使うらしい。

=IF(COUNTIF(対象を探すセル名あるいは範囲), ("*text*"), ("含まれている時に表示するもの),(含まれていないときに表示するもの)

という書式になるのだが、問題はこの("*text*")で、要は探している「text」の両側になにがあってもいいですよ、という意味で*をつけるので、この「text」を他のセルを参照するときにはややこしいことを書かないといけない。ここでは次のようになっている。

=IF(COUNTIF(B3),("*"&"B12"&"*"), "X", "O")

ダメなところをXにし、OKなところをOにしたのは日本式にならったまでで他意はない。これで、たとえばB3にvn vc pfと書いてあって B12に vc と書いてあれば、条件式が真なので X を返す。ここで手間取ってしまった( ;∀;)

最後の結果の欄は単純にORを使ってある。もっと簡単に書けるのだろうが、ここでは、

=IF(OR (B12="X", B17="X"....),("X"), ("O"))

という具合である。もっとすっきりかけるんだろうけど。

サイモン・シン「暗号解読」の最後にRSA暗号を手計算でやってみるという例が挙がっていて、せっかくなので少々違うパラメータでやってみたかったのだが、いや、実にうまく数字が選んであって、これ以外の組み合わせでは手計算は無理だということがわかった。

悔しいので送るメッセージだけ、例にあがっている「X」ではなく「L」(Love のLですよ)にしてやってみた。Lのアスキー表現は十進数で76である。(Xは88だ。)

受信者たるアリスは、まず秘密の二つの素数を選ぶ。ここではp=11, q=17 で公開鍵はこれらの積である187になる。実際のRSA暗号ではとんでもなくでかい素数を使う。また、もう一つの公開鍵はここではe=7を使う。(条件としてe と(p-1)(q-1)は互いに素でないといけない。これが素でないとあとあとdが存在しないことになる)

発信者たるボブ(そしてすべての人)は、アリスの公開鍵2つを知っている。平文の「L」=76をこれらをつかって暗号化する。

C=L^e(mod p*q)= 76^7(mod 187)
問題はこんなに大きな数は電卓では扱えないことである。ここでちょっと工夫をする。
e=7=4+2+1なので

C= 76^4(mod 187)*76^2(mod 187)*76^1(mod 187)

C= 33,362,176(mod 187) * 5776(mod 187)* 76(mod 187)
C= 67*166*76(mod 187) =845,272(mod 187)=32
となってめでたく暗号文 “32” ができた。

今度は復号だが、これにはもう一つのアリスの個人カギdが必要で、アリスはpとqを使ってdを求めることができる。

e*d≡1 (mod (p-1)(q-1))

e=7との積をとった時にモジュラス(p-1)(q-1)で1になるような数ということである。

7*d≡1 (mod (17-1)(11-1))≡1(mod 160)

ここでdはかの有名な互除法で求めればよいのだが、面倒なのでエクセルで総当たりをしてしまった。わはは。ここでdは23になる。

d=23がめでたく求められたところで、復号されるべき平文Mは

M=C^d(mod 187)
M=32^23(mod 187)= 32^16(mod 187) * 32^4(mod 187)*32^2(mod 187)*32^1(mod 187)
M= 1*67*89*32 (mod 187)= 76 = “L” in Ascii