こんにちは、むーんです。

9月に入り、急に涼しくなりましたね。

虫も鳴き、木々も心なしか秋めいてきたように思います。

 

さて、本日はアメリカの同時多発テロが発生して20年目の日になります。

あの日からもう20年。

もはや若い人にとっては過去の出来事かもしれませんが、

あの衝撃の映像は、私は一生忘れることができないでしょう。

当時は激動の時代でした。

ソビエト崩壊に端を発し、ベルリンの壁崩壊、湾岸戦争、

同時多発テロに続いてイラン戦争。

衝撃的な出来事が次々に起こっていく様をテレビで見ると

現実との境界が分からなくなるようでした。

 

今日はそんな忘れてはならない過去にちなんだアルバムをご紹介したいと思います。

関連する全ての御霊に、追悼の気持ちを込めて。

「ANOTHER PIANO STORIES -THE END OF THE WORLD-」





レーベル:ユニバーサル
品番:UMCK-9260【初回限定版・DVD付】

品番:UMCK-1294【通常版】
発売日:09/2/18

曲目:
1:Woman[3:24]
2:太王四神記::Love Theme of Taewangsashingi[3:59]
3:Les Aventuriers[4:16]
4:おくりびと::Prologue~Theme[4:33]
5:おくりびと::Prayer[5:43]
6:おくりびと::Theme of Departures[3:31]
7:崖の上のポニョ::Ponyo on the Cliff by the Sea[2:48]
8:トゥーランドット::Destiny of Us (from Musical Turandot)[4:08]
9:The End of the World::1.Collapse[5:30]
10:The End of the World::2.Grace of the St.Paul[3:48]
11:The End of the World::3.Beyond the World[5:23]
12:The End of the World::4.The End of the World[2:42]
13:私は貝になりたい::I'd rather be a Shellfish (Bonus Tracks)[1:50]
14:I will be (Bonus Tracks)[4:33]

オススメ度:★★★★☆
マニアック度:★★★☆☆
難易度(ききやすさ):難★★★☆☆易


ピアノストーリーズの6枚目(ベストも含む)にして最終アルバム

崖の上のポニョ」「おくりびと」「私は貝になりたい」などの映画作や「日産スカイライン「レリアン」のCM曲、

ミュージカル「トゥーランドット」、韓国ドラマ「太王四神記」など様々なジャンルの作品を収めた一枚。

 

正直、「ピアノストーリーズ」と言う枠で捉えるならば今までのアルバムとは異なり疑問が残る一枚。

5枚目までのピアノストーリーズはその名の通り「ピアノ」中心に組み立てられており、

また構成や曲順、曲内容もタイトルに沿った形で緻密に組み立てられていました。

(今回も「生と死」という深いテーマに基づいて曲が選ばれていますが)

今回のアルバムは「ピアノストーリーズ」との銘を打ちながらも

チェロを含むその他の楽器要素が強く含まれており、

また後半9~12では新譜組曲が含まれていて、

「ピアノが含まれている曲」といったイメージも浮かぶアルバムになっています。

 

だからといって、このアルバムが他のピアノストーリーズに劣るか?というとそういうことでは無く、

ピアノストーリーズ」からの卒業と、この後「ミニマリズム」や「クラシックシリーズ」など「新たなるシリーズ」の予兆を示した

架け橋のようなアルバムという意味合いもあるのでは無いかと、

現在から過去を振り返ると思ったりします。

 

また、一つ一つの曲はとても充実しており、

2003年頃から見受けられる、多数(今回は12人)のチェロを使った奥行きのある弦楽の魅力が楽しめます。

12人のチェリストという試みは2008年の「おくりびと」でも使用されていますね。
(参考記事:「おくりびと」~オリジナルサウンドトラック~【CD紹介その31】

 

さらに注目すべきは後半の「The End of the World」でしょう。

2001,9,11に起こったアメリカでの同時多発テロの跡地を見た久石さんが衝撃を受け、

「今の時代にこそ遺さねばならない作品」として書き上げた渾身の一作です。

ピアノ不気味なシンコペーションのリズムが全曲で鳴り響き、

混沌と不安を想像させるようなミニマルをうかがわせるメロディが続きます。

まさにあの忌まわしい事件とその後の悲惨な戦争を思わせるような壮大な組曲となっています。

2008年に行われたコンサートツアーで演奏され、

その際は第3楽章まででしたが、後に第4楽章が追加されました。

また、この組曲「The End of the World」は久石さんの「遺さねばならない作品」の想いの通り

後に「Minima_Rhythm(2009年)」「The End of the World(2016年)」のアルバムに形を変えながら受け継がれていきます。
 

私はこの第4楽章に深い感銘を受けました。

第1楽章から鳴り響くピアノの不気味なリズム
不安を覚える不協和音のストリングスの響き。

そこに載せて歌われる、一見のどかなメロディの歌とピアノの伴奏。

ミスマッチのこのバランスが、

「無残に崩れ落ちたビルの残骸に立ち尽くす。

周囲を見るとイヤなにおいのする黒々とした煙が満ちている。

耳に届くのは悲鳴と泣き叫ぶ声。そしてうめき声…。まさに地獄である。

ふと気がつくとどこかのラジオからいつも聴いたラヴソングが聞こえてくる。

先日まで幸せに聴いていた、お気に入りの曲が。

だが、今その曲が無情にも幸せを引き裂く哀しみの曲として流れている…」

と言った想像を掻き立てるようで(あくまでも私の妄想)、

当時テレビから流れ、まぶたに焼き付いた、

あの衝撃の映像が思い起こされるようです。

久石さんの心の奥底から絞り出すような歌声がまた一層感情を揺さぶります。

 

ジブリ作品のような万人に受ける明るい曲ではありませんが、

後生に残る素晴らしい1曲なのでは無いかと私は思います。

 

初回限定版にはDVDが付属しており、

レコーディング風景が収録されています。

また、本アルバムには収録されていない「Oriental Wind」も収録されています。

 

 

忘れてはいけないあの日の出来事。
よろしければ皆さんもぜひ一度お聞きになってみてください。
久石さんって本当にすばらしいですね。
では。

 

*このアルバムは久石さんの公式youtubeチャンネルから全曲聴くことができます。

リンク先:Another Piano Stories ~The End of the World~ - YouTube from 久石譲公式チャンネル(Joe Hisaishi Official) 

 

 

▼こちらから購入できます(Amazon)