干潮時間は、15時頃
14時半に ホテルリマーニから小舟で黒島まで渡る。
それまで 私達は、牛窓の漁師町を散策して歩く事にした。
人気の無い細い路地を、手をつないで ぶらぶらと歩いた。
彼は、設計関係の仕事をしており、
防波堤の頑丈な仕組みを、私に丁寧に説明してくれた。
観光地になったせいか、道や両脇の家並みは綺麗に補修されている。
そんな中、路地裏で偶然
老夫婦がひっそりと営んでいそうな、古びたお食事処を見つけた。
二人は、迷わずここで、昼食をとる事にした。
二人同じ焼き魚定食を注文した。
脂ののったぶ厚い鯖の塩焼きと、ヒジキの煮物と、お漬物と味噌汁
どれも、素朴な味でとっても美味しかった。
「美味しい!やっぱり、スーパーで買った鯖とは違うなぁ~、
これで、650円だなんて、安い!!」と、彼は、美味しそうに、満足そうに
きれいに、あっという間に食べ終わった。
彼は今まで、食事をする時間も惜しんで働いて来たせいだろうか、
食べるのが凄く早い。
私はまだ、半分も食べれてなくて、
私が、慌ててごはんを口に運ぶのを見て彼は、
「急がなくていいよ、ゆっくり食べて」と、言う。
そして、私が食べている間中 色んな話をしてくれる。
彼と食事をする時は いつも、こんな感じ。
その日も彼は、さんまの上手な食べ方を教えてくれた。
さんまの骨が身からみごとに抜けるそうだ。
私は、得意そうに 嬉しそうに話す彼の顔を見ながら話を聞くのが好きで、
ついつい、箸を止めて聞き入ってしまう。
そうすると、彼は、決まって
「ん、?もう食べないの?」と、話を中断して尋ねてくる。
「あっ、!ううん、食べるよ」と、私
それを確認したら、又、話の続きを喋りはじめる彼
私は、彼の話に耳を傾けながら、不器用に鯖の身をほぐし
ふたたび箸をすすめた。
そうやって、
漁師町の 古びたお食事処の隅っこの席
ゆっくりと
時間が、流れていった。