営団3000系(変則編成・ドア交換後)入線~8連化で現れた珍編成~ | みなかん~南千住車両管区~

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取り扱う車両は、営団地下鉄と乗り入れ先の関東私鉄たちが主成分です。

 
こんばんは、ななせです♪
 
今回はもう何度目になるのかわからない地元日比谷線な話題。
 
先月末の東急8090系入線に際して、それにうまく合わせられる車両という事で
東急乗り入れ可能に加えて一風変わった編成が入線しました。
 
 
 
今回紹介するのは、マイクロエース製
「営団3000系 変則編成・ドア交換後 8両セット」です。
 
当区6回目のマッコウクジラに関する話題という事で、本気でうんざりしている
読者の皆様の顔が目に浮かびます。
性格悪いですね
 
一応MA製品のクジラたちは全て仕様の違いが目に見えてわかるほどの
バリエーション展開をしていますから、今回も違う観点からレビューしていきます。
 
 
 
製品仕様は8連化によって現れた日比谷線で唯一の4+4両である
3005Fと3015Fを繋げた変則編成。
 
時代設定としては、全車ドア交換―つまり車体更新後の姿であることから
1980年12月以降をプロトタイプにしています。
 
 
車両番号は下記の通りです。
*菊名延長は1988年8月
 
〇千住検車区所属・東急乗り入れ編成
 
←中目黒・日吉(・菊名)
 
[1] (CM1) 3005
[2] (M2)   4034
     (M1)   4533→(Mc2) 3502 [3001F]
     (M2)   4534→(Mc1) 3501 [3001F]
[3] (M1)   4033
[4] (CM2) 3006
 
[5] (CM1) 3015
[6] (M2)   4052
     (M1)   4555→(Mc2) 3504 [3009F]
     (M2)   4556→(Mc1) 3503 [3009F]
[7] (M1)   4051
[8] (CM2) 3016
 
→北千住
 
 
4+4連の3000系は、開業当初2連だった編成を4連→6連→8連と
編成を長くしていく過程で現れた変則編成です。
 
66年に全編成が6連化、68年には最終編成である3077Fを迎え
この時点で総勢40編成240両の布陣となりました。
 
 
転機が訪れたのは1971年、8連化のための増結車である3500形を急ピッチで製造し
全編成の8連化が完了します。
 
その際3005Fと3015Fだけは何故か中間の2両が抜かれ、その2両を
3500形へ改造して他の編成に組み込み、余った4連同士で8連を組みました。
 
日比谷線を走る分割編成と言えば東急の車両(6+2連の7000系)が有名ですが、
東急車では複数居たのに対して営団車はたった1編成しか存在しません。
 
 
 
では、詳細を見ていきましょう。
 
一応過去の記事を見ている方だと既出内容と被る箇所が多々あるものの、
初見の読者を想定して改めて話していくつもりです。
 
 
まずは前面から―隣には同時期に発売した「原型ドアセット」の
3035Fと「クジラ塗装」の3055Fを並べてみました。
 
変則編成が1次車に対して3035Fと3055Fは4次車。
 
前面における違いは方向幕窓の位置高さと、運転台窓の下にある
通風孔の有無が挙げられます。
 
 
また3035FはATO試験編成であることから、
連結器下の保安装置にも違いが見られます。
*当区のATO車上子は向きを変えています
 
共通して付いているのは営団ATCもしくは東急ATS。
 
こちらに関しては3055Fだと付いていない所を見ると、
東急ATSを想定しているものと思われます。
 
 
 
屋根上にある東急無線アンテナです。
 
こちらは両編成共に東急乗り入れ編成とは言え、
写真左の3035Fはアンテナ設置前をプロトにしています。
*アンテナ設置は1976年から
 
屋根上のベンチレーターは1976年から順次行われたB修工事により
後期車と同様の四角いものに交換しています。
*旧3005F→1979年・旧3015F→1980年
 
 
 
せっかく原型ドアセットがあるのでドア比較を。
 
子どもが窓の外の景色に夢中で戸袋に指を引き込まれないようにするといった配慮で
後期車は窓が小さく、既存の編成も車体更新の際に順次交換していきました。
 
今の車両ではあまり実感の湧かない話かもしれないものの、実際に営団では
東西線05系の登場近辺までは引き込み事故は増加傾向にありました。
 
 
3000系と言えば比較的若い世代だと小さい窓のイメージが強いそうですが、
古い資料をよく読んでいる私にとっては大窓も全く違和感がありません。
と、3000系を見たことすらない03系世代が戯言申しております
 
 
 
本製品はドア交換後という事で小窓になっているとは言え、
製品によってHゴムの色が違います。
 
奥に置いたのは保存車で、前面窓はグレーのままに対して
客扉は黒くなっています。
 
これに関しては東西線の5000系も同様ですね。
 
 
 
こちらは妻面写真。
 
原型ドアセットと同時期ということで、高圧母線は無塗装の
手抜き仕様になっています。
 
 
ここで少し気になるのは、妻面窓の形。
 
写真のように一枚窓になっているのは原型仕様であり、
車体更新後は片方が二段窓に変わっています。
 
車体更新後の妻面窓を再現しているのはGM(=クロスポイント)と
(発売予定の)鉄コレであり、MAは全ての仕様で原型を使い回しています。
*GMの方も二段窓の位置を統一してしまったのでエラーです
 
 
 
続いては本製品の目玉車両ともいえる
中間で顔合わせになるCM1/CM2です。
 
片側のライトケースともう片方のテールライトが潰されているのが特徴です。
 
これは千住検車区へ入庫したり構内移動する際、急カーブによって
ライトケースがぶつからないようにするためです。
 
日比谷線に乗り入れる東武2000系は営団用IRアンテナを
前面の運転台窓脇に取り付けているのもこれに起因すると言われています。
*営団車と東急車は妻面設置ですが…
 
 
 
ちなみにくっつけてみるとこんな感じです。
 
元からマイクロカプラーが取り付けてあるので台車マウントのように
だらしない感じではないものの、TNに馴れると連結間隔が広いです…
 
 
ちなみにこの2両は、運転台撤去車ではありません。
 
なぜなら全般検査を行う千住工場では、敷地自体が狭いため
8両編成では編成を分割する必要があるからです。
 
そのため、通常の貫通編成へ最後に組み込まれた3500形にも
簡易運転台が設けてあります。
 
MA製品ではその違いを再現している製品はありませんが、
鉄コレでは窓形状を再現するようです。
*簡易運転台のある窓の寸法が上下方向に少し小さいです
 
 
 
 
という事で、連結面を縮めるべくTN化しました。
使用するのは毎度おなじみ密自連の#0375(6個入りのやつ)です。
 
動力ユニットのある3015号車はそのまま交換するのに対し、
3006号車はアーノルド用の取り付け口が干渉するので適宜削ります。
 
 
取り付け後の写真は下写真左側で、実車では自連(たぶん)ですから
今回は目立つ胴受けと相まって「何か違う」感があります…
「そもそも連結すれば見えないじゃん」というツッコミはナシで
 
ちなみに中間に入った先頭車の方向幕は前ブログで交流のあったとと様曰く、
基本的に英字ルビ付きの回送幕だったとの情報を頂き、それに倣ってステッカーを貼りました。
 
いつものようにクロスポイント製のステッカーを使用しています。
 
 
 
連結してみました。
車間距離はだいぶ実感的になったのではないでしょうか?
 
ちなみに幌が無く車両間の移動が出来ないとはいえ
貫通扉下部には渡り板があったため、これは再現してみようかと思います。
 
 
 
台車に関する話です。
 
変則編成は1・2次車で構成されていることから、初期形が履いている
住友製リンク式のFS336です。
 
アルストーム式の台車と言えば、それこそ乗り入れ車である
東武2000系が履いているようなものが思い浮かぶかと思います。
 
FS336でも基本的な構造は一緒なのですが、ウィングばねに隠れて見えない部分が多く
それほどリンク式台車だという実感が湧かないような外観となっています。
 
営団のリンク式台車は、1955年に丸ノ内線400形用に製造したFS309から始まり
3000系だと集電靴を装備していないことから、うっすらとリンク支持部を見ることができます。
*黄色い丸で囲った部分にリンクがあります
 
 
平行リンクとウィングばね支持の組み合わせは、どことなく本家である
フランスの電気機関車を彷彿とさせますね。
 
ちなみに日本のリンク式台車は「住友リンク式」と記述する資料もありますが、
これは住友金属がアルストーム式台車のライセンシーだからです。
 
 
 
そして日比谷線のリンク式台車と言えば、03系後期車でも
使用されていますね。
 
こちらも軸箱と台車枠を1本のリンクで繋いでいる事から
「モノリンク台車」と言います。
 
MA製の03系台車は住友のマークと「SS135」の形式名が再現されているものの、
残念ながらそれはM車用で、T車はSS035になります。
 
 
 
CM1の床下機器です。
 
本製品は中間のCM1である3015号車に動力ユニットがあり、
その床下機器は…長電仕様になっています
 
MAの営団3000系(8両セット)は全て3500形(Mc1)が動力ユニットになっており、
3500形は9次車であるため主抵抗器が片側配置です。
*6次車以降
 
 
したがって将来的に長電仕様を見越してなのか、当製品とスカート付きセット・
保存車セットは全てこの床下であり、いずれもエラーになります。
 
当区では保存車だけ営団仕様になるように弄ってみたものの、
これをあと2両やることになるなんて…
 
 
 
こちらはCM2の床下です。
CM2とM2では、CPとMGを搭載しています。
 
とはいっても実車のMGは台枠の中央に配置しており、
傍目からだとよく見えないせいかオミットされています。
 
ちなみに3000系は1980年からMGの取り替えを
編成中2両あるいは3両に対して行っています。
 
 
変則編成でもCM2である3016号車と6号車の4052号車が該当し、
2基(CM2は3基)あったMGを8次車以降と同様に1つに集約しています。
 
その際に設置したと思われるMG制御器箱なるモノが床下にあるため、
これは保存車同様に加工して設置していかなくてはいけませんね。
 
 
 
次に中間車(M2)です。
 
写真では一部切れてしまいましたが、中間車は全てパンタ無しというのも
変則編成だけに見られる特徴です。
 
こちらも気になる所が一つあり、それは空気圧縮機(CP)です。
 
 
MGより時代が進み1986年以降にCPを交換、あるいは撤去した車両が
これまた編成当たり1両または3両に何れかの工事をしています。
 
変則編成でも、旧3015Fに含まれる4052号車(6号車・M2)が該当し、
CPを撤去しています。
*機器交換時期:たとえば、ピクトリアルNo.489(87-12) p.173-175
 
 
 
という事で、以上がマイクロ製営団3000系変則編成のレビューでした。
 
行き先は69S 菊名に設定―菊名への区間延長は1988年であり、
89年に廃車となった当編成の菊名行きは非常に短い期間でした。
 
変則編成自体1編成しかなく希少性があるという事で、これまたあまり馴染みのない
菊名行きとの組み合わせにしてみました。
 
ちなみに列番はブロック式を選択しており、当編成だと83年頃には既に変わっていた事から
交換時期は比較的早いものであったと推測されます。
*85年頃でも板状の列番を使っていた編成もいます 
 
 
これでMA製の営団3000系をようやくコンプリートすることができました。
 
「地元民ならリアルタイムで購入じゃないの?」なんて思われそうですが、
当時は鉄道趣味を離れていたのと高校生の財力も相まって入線しませんでした。
 
したがって、当区に在籍する営団時代の日比谷線車両は全て当ブログ開設後に
入線したので在籍年数は長くて2年目です。
*民営化後仕様の03系だけリアルタイム入線(該当記事無し)です
 
 
ちなみに数か月前に出たばかりの03系については、価格以外にもツッコミどころ満載で
何よりも営団仕様ではなかったため入線は見送りました。
銀色の質感もどことなく登場時かステンレス車っぽいですし…
 
今後は床下機器類など細かな部分を整備しつつ
その時代に見合った姿に仕立てていきたいですね。
 
 
それでは今回はこの辺で。
ご観覧ありがとうございました♪
 
 
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