何度目かの裏切りメールが見つかり、私と妹はすぐに次の準備に入りました。

母が自分から動くことを待っていたら、いつまで経っても何せず、どんどんどんどん傷つくだけ。

毎日毎日言うことが変わるようになってきた母を前に、娘である以前に同じ女として限界を感じていました。

 

「もう絶対に許さない。修復するなんて無理」

「やっぱり女が悪い。離婚はしない」

「お義母さんの面倒も見てもらえばいいよね」

「絶対に2人を別れさせたい。幸せになんてならせない」

 

で、結局どうしたいのチーン

 

その繰り返しでした。

 

私「わかった。じゃあ、とりあえずレオパレスを借りるのはどう?」

妹「いいね。それだったら、やめたいと思えばやめればいいし、家具もついてるから引っ越しも簡単」

 

母の職場を考えるとそう遠くに引っ越すわけにはいかないというので、付近のレオパレスやアポートの情報を片っ端から調べました。

 

私たちがやるべきリストの③、「話し合いの前に、一時的なものだとしても逃げられる場所を確保しておく」をクリアするためです。

 

 

 

 

父方の祖母がいる手前、父を追い出して自分がそこに止まることはしたくないと、それだけは頑な母。

さらに、母ももう58歳。

当然、母方の祖父母は高齢ですから、「お母さんたちに迷惑はかけられないから、実家には帰れないし、この状況も知られたくない」と、こちらも譲りません。

 

妹「ちょうどうちのアパートの上の階の部屋が空いたから、ここにしなよ」

母「うーん、ひとりで住むには広いから…(遠回しに拒否)。やっぱレオパレスかな」

妹「よし、じゃあ明日見に行こう」

 

母の近くにいる妹の苛立ちは、私のそれをさらに上回っていました。

 

妹「行って、すぐ決めてくる」

私「頼んだよ!」

 

しかし、そううまくはいかないものですね…

すぐに出鼻をくじかれてしまいました。

 

妹「ダメだった」

私「ん?」

妹「レオパレス、借りられなかった」

私「え? どういうこと?」

 

妹によると、不動産会社に相談に行き、すぐにレオパレス自体は案内してもらえたそう。

母も「これだったらいいかも…」と納得するそぶりを見せたので、妹はすかさず「今日仮押さえしたいです」とお願いしたようです。

ところが、契約の段階になって、

 

・母がパートで、父の扶養の範囲でしか稼いでいない

・年齢が58歳で、年金までにはまだ期間がある

 

という2点が引っかかってしまいました。

 

田舎町とはいえ、レオパレスをマンスリーで借りようと思うと10万円程度かかってしまいます。

これではほぼ母の月収になってしまうため、母名義で借りることは不可能だと言われてしまいました。

 

まあ、そもそも母本人としてもこれでは無理だったと思います。

対して、アパートなら月3、4万円程度で借りられるし、場所柄敷金礼金もほとんどかかりません。

 

私「じゃあ、アパートのほうが全然いいじゃん」

妹「そうなんだよ。家具くらい実家から全部持って行っちゃえばいいし、家賃的にも場所的にもいいところがあったの。とりあえず母をねじ伏せてアパートを仮押さえしてもらうことにはした。でもさ…」

 

で、ここで2点目。

年齢的に、いつ何があってもおかしくないということもあって、母が自分の名義で賃貸を借りることに大家さんが何色を示す可能性があると言われたそうです。

そうなった場合、父名義で借りてもらう必要があるかもしれないと。

でも、それでは意味がありません。

契約者が父では、いつ解約されてもおかしくないし、話し合いの前に契約を完了することが難しくなる。

 

妹「とはいえ、とりあえず大家さん次第みたいだから、不動産屋さんからの連絡を待つよ…」

 

ああ、熟年離婚の難しさはここなのかと思いました。

働き盛りの私や夫が連帯保証人になったところで、契約者本人の年齢が問題になることがある。

 

でもこれでもしダメだったら、母はもっと弱気になってしまう。

祈る気持ちで結果を待ちました。