Gmailのチェックを終えた頃、ちょうど母の誕生日が迫っていました。
両親は結婚して30年以上になりますが、私が知る限り、父が母の誕生日を祝っていたことなどありません。
優子にはマッサージ機を贈って、ホテルでご奉仕していたくせに、母にはプレゼントはおろか、2人で食事に出かけるようなこともなかった気がします。
うちの母親でなくとも、「え、私ってなんなんだろう?」と思いますよね……
まあ、50歳すぎても盛大に祝ってくれ! なんて思わないのかもしれないですけど、30年以上連れ添ってきて、その間、20代も30代も母は父に祝ってもらってなかったのに、数年前から不倫してる還暦を前にしたお婆ちゃんは祝ってもらってる。
両親の関係がもっと冷え切っていたらそれもスルーできたのかもしれないけど、少なくとも母は、それでも父が好きだったんです。
私たちが思っていた以上に、この件は母にダメージを与えていたようでした。
母「誕生日の前日と当日、休みとってるみたいなんだよね」
思わせぶりにも、父はわざわざ連休をとっていました。
私「え、どっか行こうって?」
母「ううん、なんにも言ってない。でも、もしかしたらこのまま離婚になるかもしれないし、時計買わせることにした。もらえるものは今のうちにもらっておく」
私「そうだね、たっかいの買ってもらいなよ(……で、その連休なんだったわけ?)」
精一杯の強がりだったと思います。
たぶん、何を買ってもらったって、埋められるものではなかったはず。
それでも、そこから数日はどの時計にしようかな? と、母は努めて明るく振る舞っていました。
母「誕生日の日、女は仕事休みのはずなんだよね。会いに行くつもりなのかな?」
妹「あり得る」
私「だとしたらほんとクズなんだけど」
誕生日の前々日、父が「明日、午前中に床屋に行くから」と言い出し、「これは、その足で女に会うつもりだな」と勘が働いたそう。
そこで母が「床屋のあと、ランチしに行かない?」と持ちかけ、父も承諾。
母はもう、不倫相手との密会を阻止するのに必死です。
その翌日、両親は予定通りランチに出かけたのですが、その最中、母からメールが届きました。
父がトイレに立った隙にスマホチェックをすると、謎のやり取りが残っていて……
優子![]()
「浩一郎(花嫁の絵文字)
気が効かない天然の優子でもいいですか(変な顔文字)」
クソジジイ![]()
「優子(変な顔文字)
そのセリフは…ほかの人に言ってください」
ん? 何やらもめてる?
妹「天然の優子って、60になるババアが言う?」
私「60じゃなくても言わない」
母「でもさ、なんかもめてるよね?![]()
」
いやいや、母も母で、そこ別に喜ぶところじゃないから。
別れたわけじゃないし、あいつが浮気してることに変わりはないから。
なんだったら、優子目線で見てもクズだから。
ただ、この日は結局、翌日の約束を交わすメールなどは出てこず、母は本当に安堵している様子でした。
裏切られていることが常態化して、その日、大きな裏切りがなかったことを喜ぶ。
正直、「ヤバイな…」と思いました。
その結果、翌日の誕生日はもちろん、大きく裏切られるわけです。