ハイパーインフレが起こるという妄想
巨額のお金、例えば国民一人につき1千万円を配るとハイパーインフレが発生とか、
国債を発行しすぎると政府に信用がなくなり、円や国債の暴落からやはりハイパーインフレが起こるとか
あるいはハイパーインフレを起こして政府借金をチャラにしようとしているとしている者たちがいるとか
と言ったことがまことしやかに語られ、人々の正常な思考を混乱させています。
お金持ちにとっては、ハイパーインフレは嬉しくないのでそれは避けたいと思うのが人情というものです。だから国民一人一人に巨額のお金を配るのは、多くの国民の為には正しいのかもしれないが、小金持ちの私にとっては止めて欲しいと思うのでしょう。
こうなるともう、国民の生活階層において分断が起きていて財政問題というものはなるようになるまで捨て置く方が個人的には良さそうと思ってしまう人も多く出そうです。
いや~これではもう日本は、議論すら出来ないだからコンセンサスを得られないという完全な罠に嵌っていて抜け出せそうにありません。しかしハイパーインフレはそんなことで本当に起こるものでしょうか?
お金を刷りすぎて、お金の価値がなくなってハイパーインフレが起こった過去があるじゃないか。例えば、、第一次世界大戦後のドイツがそうだし、日本の戦後やブラジルやアルゼンチンやジンバブエがそうじゃないか。などといわれます。
ところが実はそうではありません。
それらの国にハイパーインフレが起こったのは、資源か生産設備か外貨がなかった、或いはそれらのうちどれかが欠けていたからなのであって決してお金を刷りすぎたからではありません。つまり、商品という財を生産する能力に欠けていたからなのです。
それらの国は、人口に比して財の供給能力を大幅に欠いていたにもかかわらず、政府は、政府を運営する必要に迫られ、お金を増刷して少ない財(商品)を掻き集めたのです。これではさすがにハイパーインフレは起こります。
原因と結果が違うのですね。
ハイパーインフレは、お金を発行しすぎたから起こったのではなく、“お金が増えたのは結果”だったのです。それを、お金が増えたからハイパーインフレが起こったのだと、誰かが間違ったことを言ってそれが広まってしまったというのが納得のいく答えなのです。
それが証拠に、1990年前後では政府借金は200兆円前後で現在は1000兆円もの巨額借金ができたにもかかわらず、ハイパーインフレどころか現実は、デフレ(物価下落)であります。
お金を大量に配ればハイパーインフレが起こるとか、国債を大量に発行すればハイパーインフレが起こるとかいうのは、不健全な常識なと言っていいと思います。
だからお金を増刷しすぎたり、巨額のお金を配ることが原因で、ハイパーインフレは発生しないのです。
良識ある皆さんにはこんな間違い理論にいつまでも惑わされ続け、経済の発展に必要不可欠な民間へのお金の供給に反対し続けて欲しくありません。