21)山口先生のお金の対する知見、その誤り | Gokai(財政均衡式)のブログ 

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<山口先生のお金の対する知見、その誤り>

a)現在国内で流通しているお金は、政府貨幣、日本銀行券、預金通貨(預金口座に在る信用通貨のデジタル数字)の3種類である。
b)日銀券は政府、銀行が借りに来た場合に、利付きで発行される。
c)預金通貨は、企業、消費者などが借りに来た場合に、利付きで無から創造される。


上記の青字が間違いです。

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a)現在国内で流通しているお金・・・について
・確かに、銀行間取引を除けば、国内で流通しているお金は、政府貨幣、日本銀行券、預金通貨の三種類といってよいと思います。
・但し、預金通貨とは日銀定義によれば、流動性の高い預金すなわち“要求払預金(当座、普通、貯蓄、通知、別段、納税準備)-調査対象金融機関保有小切手・手形”とされていて、定期預金などは準通貨扱いになります。
https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/faqms.htm/

・尚これら細かいことは、文章を書くにあたっては文字数制限のため触れる事が不可能と思いますので、“了”としたいと思います。

b)日銀券は政府、銀行が借りに・・・について
・日銀券の発行については誤りの記述になります。
・何が誤りかですが、日銀券は基本的に非金融機関同士の取引に現場において使用される現金ですので、企業を含む一般国民が使うお金であって、銀行窓口やATMなどで現金の払い戻しとして一般国民が要求するお金です。
・したがって、民銀は、その日に一般国民が要求してくるだろうと予想される額の“紙幣或いは貨幣”を自行内に用意しておくことになります。
・それは、民銀が民銀自身の名義の日銀(口座内の)当座預金と交換して手に入れることになります。
・端折って言えば、民銀が1億円の現金を引き出せば、日銀当座預金の1億円が減るという具合です。
・山口先生が述べておられるのはそれではなく、日銀が民銀に貸し付けるお金のことですので、MB(マネタリーベース)というのが正しいお金の名前であって、日銀券ではありません。
・尚このMBは、日銀から借り入れることのみ、民銀が手に入れられるお金ではなく、顧客の預金行為によっても手に入れられます。
・したがって、日銀券の発行に関する山口先生の解説は事実と大きく異なっているのです。

c)預金通貨は、企業、消費者などが借りに・・・について
・“預金通貨は無から創造される”という記述も誤りです。
・預金通貨に限らず、定期預金などの預金も無から作られているわけではありません。
・預金は、顧客がお金を民銀に預金したときに発生します。
・民銀は顧客が預け入れたお金を資産とし、代わりにお金の預り証として、民銀の負債である預金通帳を発行しています。
・つまり預金とは民銀の負債であって、本来は通貨ではありませんが、民銀がその営業努力で持って、顧客にとっては現金と同等か、それ以上の利便性で決済機能を有している資産となっています。
それゆえ、日銀は預金の中でも流動性の高い普通預金や当座預金などを通貨として認め預金通貨と定義しているようです。

尚、信用創造の正しい記述は、下記の
「信用創造に仕掛けられた何重にもわたるトリックについて」
http://rothschild.ehoh.net/material/new_06.html

“信用創造の説明1”になります。

また、預金が民間銀行立場では、負債であってお金ではないということの証として、三井住友銀行の貸借対照表を例示しておきます。
これをご覧になれば、右側負債項目の一番上に預金が列挙されているのがご確認いただけるかと思います。

とこのように、山口薫先生のお金に対する知見は誤りでありますが、この誤りが単なる勉強不足によるものか、何かの目的を持つ確信犯であるのかは、もちろん定かではありません。

次回エントリーは、現代貨幣システム(債務貨幣システム)が「現在のユーロ通貨危機や米国財政危機および日本の財政危機である」としていることの誤りについて述べます。

*信用創造は、説明1が正しいと誤記を訂正いたしました。1/11:21時21分