小学校受験に揺れる母親目線で描かれた小説。

 

主人公の茜は、30代後半。群馬の県立高校から慶応大学に進み、

一流企業に勤める。夫は大学の同級生でテレビ局報道部員。

ひょんなことから娘の結衣を小学校受験させることになる。

 

お受験塾には、

それこそ上流階級の人たちが多く、最初は気後れしている茜だが、

娘の結衣は4月生まれということもあり、

ペーパーテストも運動もそつなくこなす。

また勘が良くものわかりも良いので、

親の期待に見事にこたえる。

 

物語の中盤以降、

さまざまあって、お受験は一筋縄ではいかない、

という流れでエンディングを迎える。

 

私は特に、

付録的についている後日談というか「番外編」を読んで、

色々思うところがあった。

受験を経て、2年生になった結衣に、

茜が「次は〇〇をやらせよう」と意気込む内容なのだけれど、

「子どもの出来が良いと親の欲望は果てしなくなる。

どんどん重いものを背負わせてしまう」としみじみ思った。

 

たぶん、要領が良く出来の良い子であれば、

親の期待にスムーズにこたえられるだろう。

けれどそれはどこまでなんだろうか。

「君の背中」にどれだけの期待を背負わせれば気が済むのだろうか?

 

逆にあまり要領がよくない子であれば

「ここからは彼・彼女の人生」と親はわりと早い段階で

「諦め」…美しい言葉でいうと「子離れ」ができるのだろう。

…なーんてことを、

先日中学に入学した息子のことと併せて考えてしまった。

 

勉強が苦痛でたまらない息子。

もう、何をやらせようとしても無理なんだな、

ここからは彼がどうすれば幸せに自立できるのかだな、

と「期待」はしないように自分で仕向けてきた。

そもそも親の期待なんて、

子どもの人生には関係ないんだし。

 

中学校の入学式では

息子がまわりと比べてまだまだ小さく、幼く。

この本を読んでその息子の小さな背中を思い出してしまった。

親のエゴでそんなに重いものを背負わせてはいけない。