朝鮮半島から渡ってきた、在日一世のハルモニ=おばあさんたちを追ったドキュメンタリー。

 

在日コリアンの方々が多く暮らす、川崎市桜本地区のハルモニたちのドキュメンタリー。

金聖雄監督は、「花はんめ」というドキュメンタリーで同じ地区のハルモニたちを追っていて、今回は続編的な作品だそう。前作では「日本にやってきて辛いこともたくさんあったけど、まあいまは幸せだよね」というトーンだったそうだが(すみません観てないです)、今回は「辛い人生だった」という、日本人としては耳をふさぎたくなるようなインタビューが続く。

 

よく、広島・長崎の被爆者が高齢化していることを受けて、リアルな声が聴けなくなるうちにもっと積極的にインタビューを、と言われるが、

在日一世へのインタビューも急務ではないか。

 

実は私、在日一世のインタビューというのは初めて聞いた気がする。

辛い。

「夫は目隠しをしていきなり船で日本に連れてこられた」

「(朝鮮半島にいても)小学校3年生以上は日本語をしゃべらないといけなかった」

「帰国しても居場所がない」

「辛いことばかりで思い出したくない、もう話したくない」

…やはり、生の声というのは重い。

 

そうして様々なインタビューを聞いたうえで、

ヘイトデモの様子も流れる。

無理やり連れてこられるようにして川崎に住んでいるのに、

そりゃあないでしょうという怒りを強く感じる。

 

時折、踊ったり、おどけてみせたりと

底抜けの明るさが描かれるハルモニたちだけれど、

そうでもしないと

ここまで生き抜いてこられなかったのだろうなあと思う。

インタビューの重さがあることで、明るいハルモニたちが切ない。

 

恥ずかしながら知らないことも多く、

非常に勉強になった作品。