本当に困って殻に閉じこもってしまった人に

手を差し伸べるには、どうしたらいいのか。

心身ともに「外」に出られなくなったら、

どうしたらいいのか。

 

「殻を破ること」―このドラマのテーマはこれに尽きる。

 

Netflix「未知のソウル」

 

母親も区別がつかないほどそっくりの

一卵性双生児の

未来(ミレ)と未知(ミジ)。

見た目はそっくりでも、

性格は正反対で、

幼い頃から勉強が得意で生真面目、

品行方正なミレは

有名大学卒業後、

ソウルに上京し金融機関に就職。

一方、天真爛漫でにぎやかなミジは、

足が速く陸上選手として

将来を期待されていたものの、

怪我で再起不能となり、

高校卒業後は実家住まいで

バイトなどをして過ごしている。

 

順風満帆に見えたミレが

勤務先でパワハラ、いじめに遭い

自殺未遂を起こしたことから物語は始まる。

ミジの提案で、

しばらく入れ替わって過ごそうというのだ。

 

双子の入れ替え物語かあ、

ドラマとしてはよくあるやつだよな、

とちょっと見るのをやめようかなとなったんだけど(失礼)、

2話から断然面白くなる。

(1人の女優さんが2役やっているので、

最初は「このシーンは合成かな?」とか

気になってたけど途中からそれも気にならなくなる上手さ)

 

入れ替わったのちに

少しずつ視聴者に明らかにされる双子の過去。

なかでも、

明るさがウリのミジに

3年もの引きこもり経験があったという過去が壮絶。

どうやって部屋から外に出られるようになったのか。

このあたりが物語のキモで、

ていねいに描かれるのが良い。

 

また、双子の隣人で同級生のイケメン・ホス。

交通事故の影響で

片耳が不自由でいまも少々足が不自由だ。

ホスは有名大学卒業後、弁護士となり、

こちらも順風満帆に見えるのだが、

実は秘かに悩みを抱えている。

 

「入れ替わり」をきっかけに、

ミレとミジが自分の過去、

現在を俯瞰して見られるようになり、

多くのことに気づく2人。

自分でコンプレックスだと

思っていたことは

単なる思い込みだったのではないか、とか、

ミジはミレを、ミレはミジを、

それぞれうらやみ嫉妬したこともあったが、

それは一面しか見ていなかったからだ、とか…。

 

もちろん、双子のいる方は少ないから

入れ替わりなんてそうそうできないけれど、

たとえば旅行か何かで

ちょっと今いる場所から離れてみる。

これまで関わったことのない人と関わってみる。

視点を変えてみることで、

殻を破るきっかけが見つかるかもしれない。

そんなことを考えさせてくれる。

 

物語では、

もう1組の「人物の入れ替わり」も描かれる。

このストーリーもまた壮絶。

 

物語ではこのほかにも様々な意味で

「殻にこもらざるを得なかった」人が登場する。

 

 

「本当に困っている人は助けてと声をあげることすらできない」

「本当に困っている人に手をさしのべるにはどうすればよいのか」

 

登場人物一人一人の心情がていねいに描かれていて、

号泣ポイントもいくつか。

 

本当にいいドラマだった。主人公の名前が未来と未知、というのも、

本当に良かった。