夫からのDVに苦しむ女性たち。

物語では、ごくふつうの民家を装ったシェルターで、

肩を寄せ合って暮らすDV被害女性が、

シェルターを出た後も安心して生きて行けるように、

順番に「あること」を実行することになっている。

それがタイトルの「シャドウワーク」。

 

このシェルターに、自身も夫からのDVに苦しむ女性警察官、薫が

別件の捜査で訪れ、シェルターに興味を持つようになる。

薫は同僚である夫からのDVに数年間耐えていて、

上司に訴えたところ、

夫を守ろうとした上層部から逆に薫が転勤させられ

組織全体から疎まれるようになる。

 

男が男を徹底的に守る、男社会。

警察なんてその最たるものなのだろう。

 

物語終盤では、薫もこの「シャドウワーク」の内容を知り、

被害女性とともにあることを実行する・・・

 

※ここからネタバレです↓↓↓

 

シャドウワークとは、DVの加害男性を殺害すること。

それも、自身の夫を直接手にかけると足が付くので、

被害仲間の夫を殺す。

自身の夫が無事?殺された女性は、

この先夫につけまわされることもなく、

暴力にあう心配もなく、晴れてシェルターから出られるという仕組み。

これを知った薫も、

夫を殺しシェルターの庭に埋める。

 

さすがに薫はこの「シャドウワーク」を

告発するんじゃないかと思ったけど、

まさか一緒になって夫を殺すとは、意外な展開だった。

けれど、この物語を読んで、スカっとしたのは事実。

そうでもしなければ、被害女性は

おびえながら隠れて暮らすことしかできない。

人権が完全に侵害されている。

正直、加害夫は同情の余地なしで

殺されても仕方ないよな・・・と思ってしまった。

 

最近、離婚後の共同親権導入が国会で成立してしまった。

夫からのDVを理由に離婚した女性たちからは不安の声があがっている。

私も、共同親権導入には反対だ。

 

DVがどれほどすさまじく、女性の人生を無茶苦茶にするのか。

内容を知らずに手に取った「シャドウワーク」だったが、

非常にタイムリーだった。親権の問題は出てこないのだが、

DV被害を知るためにもこの本を多くの人にぜひ読んでもらいたい。

特に共同親権に賛成している男性たちに。