まだ、結婚を決める前のこと。
この年齢になると、自分はよくても周りの声がうるさくなる。
「結婚なんて、してもしなくても本人の自由でしょ」
と、言うなないろに、
幼い頃から知っている母の友人が言った。
「何言ってるの。女として生まれた以上、子孫を残すっていう義務があるでしょ!」
はあ?(゚д゚;)
今どきそんなこと考えて結婚する人なんていないよ。
それじゃあ、なんですか?
子供の産めない体の人はどうなっちゃうわけ?!
「別に...私一人がしなくったって、子孫なんか残さなくたって、
こんだけ人がいるんだから、いいじゃない。
うちには兄も弟もいるんだし~
子供なんてできないかもしれないし」
ちょっとむっとしながら言う。
「それじゃあ、ご先祖様に申し訳が立たないでしょっ!!
子々孫々受け継がれてきたものが、ほにゃほにゃほにゃにゃ(←よく覚えてない)」
ヽ(`Д´)ノ
とりあえずすごい剣幕で言われた
ご先祖様を否定する気はもちろん無いけれど、
ご先祖様に義理立てして子供を生みたいとも思えない。
っていうか、幸せか?それ。
そんな子孫をご先祖様は本当に望むのか?
義理立てして生まれた子供はどうなる?
あなたが生まれたのはパパとママが愛し合ったからじゃなくて、
ご先祖様に申し訳が立たないからよ。
なんて、絶対言えないし。言いたくもない。
っていうか、そんなの理由にして子供なんて生まないよっ!
母の友人のところには子供が3人(男・女・女)。
で、娘二人にはすでに子供がいる。
ところが長男のところはなかなかできない。
すると嫁が義理の母にあたる母の友人に相談したそうだ。
「今度、病院で検査しようと思うんですけど...」
うん、いいんじゃない。
不妊治療する必要とかあるかもしれないしね。
別に特におかしなところはない、と、なないろは思った。
しかし、母の友人は、それが気に入らなかったらしい。
「検査してきました、っていうんなら別だけど、検査しに行こうと思うなんて、言われたくないっ」
だ、そうだ。
┐( ̄ヘ ̄)┌
何が悪いの?
近くに実母がいなくて、一番近い義理の母に相談しちゃいけないの?
で、感情的になっている母の友人からは、聞けそうもなかったから、母に聞いた。
「え?これ、何でそんなに怒られるの?お嫁さんは相談しちゃいけなかったの?」
母曰く、
「お前の息子に欠陥があるから子供ができないんじゃないか?と言われていることになる」
らしい。
( ゚ ▽ ゚ ;)
母の友人曰く、
「こっちとしては、畑なんて何でもいいんだ。(長男だから)跡継ぎが生まれさえすれば。
畑変えればいいんだから」
はい?
なんですと?
はあ?( ̄へ  ̄ 凸
腹の中では怒り心頭だったのに、
なないろはため息が、出た。
ε=(ノ_-。)
もう何から突っ込んでいいか。
考え方が違い過ぎて、言葉を失ってしまった。
可哀相なお嫁さん。
そして可哀相な母の友人。
そりゃあね、
母親からしたらそうでしょうとも。
女であれば、嫁として認めざるをえないでしょう。
どんなに気に入らない女でも、息子が気に入っているのだから。
嫁との縁は切れても、親子の縁は切れないんですものね。
でもね、よくよく考えてもらいたい。
子供ができないことを悩んで、
「お前の息子に欠陥があるからだ」と、姑に向かって言い放つ嫁はあまりいない。
ただ、子供ができないことに本当に苦しんで、
誰かに相談したかっただけかもしれないのに。
そこまで言われちゃうのって、どうなんだろう。
検査に行こうと思える程、息子さんを愛してくれているお嫁さんなんだよ。
言っちゃなんだけど、
畑だって、実がなるならどこの種だって関係ないじゃん、てことにはならないのかな?
お嫁さんはご先祖様のために子供を生むためだけに、長男の嫁になったわけじゃない。
夫の家の墓を守るために結婚したんじゃない。
大好きな彼と二人で幸せに生きていきたくて結婚したんだよ。
多分二人は、子供ができないことを理由に、離婚も再婚もしないよ。
もしかしたら、
母親たちの時代では、そういうことがあったのかもしれないけど。
今の時代、
子供ができないなら離婚しろ、だなんて、旦那の実家が言ったって、聞くわけないじゃん。
お嫁さんは道具じゃないんだから。
どうして自分たちもお嫁さんだったってこと、忘れちゃうのかな。
子供を生むことだけが、女として生まれてきた義務だなんて、だったら男に生んでよ!
子供が欲しくない夫婦だっている。
愛されない子供が生まれて幸せなのかな?
病気になって子供が産めない人は欠陥人間なの?
それは差別ではないの?
子供ができにくくて何年も苦しんでいる人だっているのに。
苦しくて苦しくて、自分を責め続けるのに。
同じ女なら、わかるはずなのに。
どうして女は姑という立場に立つととたんに、人の心のわからない人格に変わってしまうのか。
もちろん、全員がそうだとは思っていないし、優しい姑がいるのも知ってる。
でも時々、女は残酷な言葉を吐く。
子供のできない女に、
「子供はいいよ~、早く作ればいいのに」
と、知らないからこそ、平気で言う。
言われた女は口の端をひきつらせて笑うしかない。
子供を産むのはそんなに偉いのか?
子供を産めないのはそんなに苦しまなくちゃいけないことなのか?
母の友人の言葉は、
ひどい心無い言葉に聞こえた。