前回の記事では、映像送信型性風俗特殊営業は「許可営業」ではなく、**「届出営業」**であることを解説しました。
すると、次に気になるのが、
「性風俗に関係する営業なのに、なぜ許可を取らなくてもいいの?」
という疑問です。
ここで大切なのは、「届出で足りる=規制が緩い」という意味ではないことです。
映像送信型性風俗特殊営業について、風営法は許可を受ける仕組みではなく、営業者や事務所、営業に使用するURLなどを公安委員会へ届け出たうえで、営業中のルールを守らせる仕組みを採用しています。警察庁の運用基準でも、インターネットを利用する場合はURL等が届出事項になることが示されています。
今回は、「なぜ届出で足りるのか」を制度の仕組みから見ていきます。
許可制と届出制では「行政の関わり方」が違う
許可制では、営業を始める前に申請を行い、行政が法律上の基準を確認したうえで許可を出すという仕組みが基本です。
一方、「届出」は行政手続法上、法令によって行政庁への一定事項の通知が義務付けられているものと定義されています。
つまり、映像送信型性風俗特殊営業では、
行政から営業そのものの許可をもらう
のではなく、
「誰が・どこで・どのような営業を行うのか」を届け出る
という仕組みになっています。
オンライン型の営業には「店舗を許可する」仕組みとは違う特徴がある
映像送信型性風俗特殊営業は、インターネットなどを利用して映像を伝達する営業です。
警察庁の運用基準では、届出は営業ごとに行い、インターネット利用型の場合には通常、ホームページ単位で行う考え方が示されています。
また、客が営業へ接続する際に使用するURL等も届出事項になります。
実際の店舗へ客が訪れる営業とは異なり、オンライン上の営業を特定できる情報を届け出る仕組みが設けられているわけです。
届出では「誰が営業しているのか」を明らかにする
営業開始届出書には、単に屋号を書くわけではありません。
営業者の氏名または名称、住所、事務所所在地、営業に使用する呼称、映像伝達用設備を識別するための情報などを記載します。
警察庁の運用基準でも、届出義務を負うのは、実質的に映像送信型性風俗特殊営業を営むと認められる者とされています。
つまり届出には、
「この営業を誰が行っているのか」
を行政側が把握できるようにする役割があります。
届出確認書は「許可証」ではない
届出を行うと、「映像送信型性風俗特殊営業届出確認書」が交付されます。
しかし、この書類は営業許可証ではありません。
現在の公式様式にも、届出確認書は、その営業について風営法第31条の7に基づく届出書を提出したことを確認する書面として定められています。
したがって、
届出確認書がある=公安委員会が営業内容のすべてを審査して許可した
という意味ではありません。
届出制でも営業者の責任はなくならない
ここが非常に重要です。
許可制ではないからといって、
「届出さえ出せば、あとは自由」
という制度ではありません。
営業者自身が風営法その他のルールを確認し、それを守りながら営業する必要があります。
つまり、行政が事前にすべてを審査して「この営業なら大丈夫です」と保証する仕組みではなく、営業者自身が適法な状態を維持する責任を負うことになります。
「届出で足りる」より「届出という規制方法」と考える
「なぜ届出だけで足りるのか」
と考えると、
「許可より簡単な制度なのかな?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、少し見方を変えると分かりやすくなります。
映像送信型性風俗特殊営業について、法律は、
許可制ではなく、届出をさせたうえで営業を規制する方法を採用している。
ということです。
実際、営業開始届出書には事務所所在地やURL等を記載する仕組みがあり、誰がどの営業を行っているのかを特定できる制度になっています。
「届出だから簡単」という考え方には注意
映像送信型性風俗特殊営業を始める方に、ぜひ覚えておいてほしいのがこの点です。
許可ではない=簡単
ではありません。
営業を始めるには、
・自分の営業が届出対象なのか
・誰が営業者になるのか
・どこを事務所とするのか
・どのURL等を使用するのか
・どのような営業方法なのか
といった内容を整理する必要があります。
そして、届出後も法令に沿って営業を続ける必要があります。
まとめ
映像送信型性風俗特殊営業は、公安委員会から営業そのものの許可を受ける「許可営業」ではありません。
風営法は、営業者や事務所、URL等の情報を公安委員会へ届け出る届出制を採用しています。
だからといって、
「行政から許可をもらわなくていい=自由に営業していい」
という意味ではありません。
むしろ重要なのは、
自分の営業内容を正しく整理し、必要な届出を行い、その後も営業者自身がルールを守ること。
「届出で足りる」というより、
「届出によって営業者と営業内容を把握し、営業中のルールを守らせる制度」
と理解すると、映像送信型性風俗特殊営業の仕組みが分かりやすくなります。
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