【佐藤春佳のスポーツブレーク】DeNA・筒香&ヤクルト・山田、禅の“境地” | 浜のおじさん&週末はオリックス親父( ̄∀ ̄)のブログ
 目を開かされた。
 「正直、ボールは全く見ていないです」。
 今月20日、和歌山・橋本市で行われたDeNA・筒香嘉智外野手(27)の「スポーツ推進アドバイザー」の就任式でのこと。指導法の改善に向けた提言の中で明かした、打席での心構えの“境地”が実に興味深かった。
 筒香 「目というのはコマ送りで映像が流れているので、見れば見るほ 目を開かされた。
 「正直、ボールは全く見ていないです」。
 今月20日、和歌山・橋本市で行われたDeNA・筒香嘉智外野手(27)の「スポーツ推進アドバイザー」の就任式でのこと。指導法の改善に向けた提言の中で明かした、打席での心構えの“境地”が実に興味深かった。
 筒香 「目というのはコマ送りで映像が流れているので、見れば見るほど、必ず途切れて錯覚が起こる。球場全体の真ん中に投手がいる、という感覚で見た方が、実はボールはよく見えているんです」
 昨季38本塁打の『ハマの主砲』が打席で球を見ていない? 驚きとともに、頭の中である選手の言葉とつながった。ヤクルト担当時代、山田哲人内野手(26)に盗塁の心得を聞いたときのことだ。塁上でスタートを切る前、相手投手のどこを見ているか、という問いにこう答えた。
 山田哲 「どこかを見ようとすると駄目。ボーッと見る。焦点を定めずに全体的にぼんやりと見る感じです」
 まさに目からウロコ。普通の人は「集中」という概念を、カメラのレンズをズームアップするように一点に絞り込む感覚で捉えているものだが、彼らは真逆だ。まるで風景画のように焦点をしぼらずに広角に構えている。 実は山田哲は視力が「0・4」程度と悪い。打席に立つと、バックスクリーンの文字が「ぼやけて見えていない」と明かしたほど。筒香は「イチロー選手も視力が良くないと聞いたことがあります。ボールを“にらみ”にいくとその瞬間、体は硬くなるし、けがもしやすくなる」と話す。
 見ようとすることで見失い、見ないことで見えてくる…。何だか禅の世界観のような境地は、選ばれし者のみが立てるのか、あるいはこの感覚をつかめれば誰もが高みに上れるのか。
 凡人代表として試しに目を遊ばせて、ぼんやりと視界を広げてみた。すると、うつらうつら、何だか眠気が…。駄目だ、超一流になれる“目”はなさそうだ。
佐藤 春佳(さとう・はるか) サッカー、アマチュアスポーツ担当として2004年アテネ五輪