【伝説プレーバック 楠淳生氏編(4)】甲子園で輝いた無名のヒーロー | 浜のおじさん&週末はオリックス親父( ̄∀ ̄)のブログ
 “高校野球の語り部”元ABCアナウンサーの楠淳生氏(60)が自身の実況や取材を基に振り返る最終回は、“名もなきヒーローたち”に注目。2012年8月9日の常総学院(茨城)-杵築(大分)、そして14年8月21日の聖光学院(福島)-近江(滋賀)をピックアップした。
★杵築・青井 0-14三回途中から登板、以降0封
 後のスーパースターや、歴史的名勝負だけが高校野球ではありません。大敗の試合にも立派に戦ったヒーローはいました。突然、覚醒した高校生もいました。
 その1人が2012年8月9日の第4試合、私が実況した常総学院-杵築戦で杵築の3番手で登板した青井雄太投手です。この試合、三回までで0-14。甲子園の常連・常総が春夏通じて甲子園初出場の公立校を圧倒していました。永野、塩谷の2枚看板が粉砕された杵築は、三回途中から大分大会で2回1/3しか投げていない青井をマウンドに送りました。
 黒縁メガネが印象的で、いかにも生真面目な第一印象。手元の資料に目をやると「将来の夢は銀行員」。正直、荷が重いんじゃ…と推察してしまいました。「監督も手の施しようがない起用だな」と思ったのが本音です。していました。永野、塩谷の2枚看板が粉砕された杵築は、三回途中から大分大会で2回1/3しか投げていない青井をマウンドに送りました。
 黒縁メガネが印象的で、いかにも生真面目な第一印象。手元の資料に目をやると「将来の夢は銀行員」。正直、荷が重いんじゃ…と推察してしまいました。「監督も手の施しようがない起用だな」と思ったのが本音です。 ところが三回は1安打を浴びましたが、後続を抑えると、四回以降スイスイ投げ始めたのです。スリークオーターから臆することなく、投げっぷりよく、以後の5回を1安打無四球で無失点。かつて、東北高時代のダルビッシュをサポートした黒縁メガネの真壁投手とイメージを重ね合わせながらの実況でした。
 彼は打撃でもチームの沈滞ムードに活を入れました。2打数2安打。最終回、完封負けを阻止する雰囲気も漂い、当たっている青井に回れば、ひょっとしたら、と思ったのですが、彼の前でゲームセット。
 「青井まで回らなかった…」
 無名の高校球児が、私に全く予期せぬ中継をさせたのです。試合後、号泣するナインを、涙も流さず慰める青井の姿に「ナイスバッティング! ナイスピッチング!」と心の中で叫びました。1試合の中で最上級の成長を見せた高校生。最も気になる球児でした。
★聖光学院・石垣 「持ってる男」がサヨナラスクイズ!
 「ホップステップジャンプ」の急成長で忘れられないヒーローがもう1人います。2014年8月21日の3回戦。聖光学院-近江戦でサヨナラスクイズを決めた、聖光ナインで最も小柄(1メートル65)な石垣光浩ました。