（練習試合、中日－韓国ハンファ、２６日、沖縄・北谷）１４３キロが出た！ 中日・松坂大輔投手（３７）が２６日、韓国ハンファとの練習試合（北谷）で３３８日ぶりに実戦登板を果たした。１回を投げて２者連続三振を含む３人斬り。直球は最速１４３キロをマークした。次回登板は３月４日の楽天戦（ナゴヤドーム）が有力。開幕ローテーション入りへ、またひとつ階段を上がった。
圧巻の内容だった。三回、松坂はスタンドを埋めた２０００人のファンから大きな拍手を受けてマウンドに上がった。感謝の気持ちをそのボールに込めた。
「四球を出したら罰則として走ることになっていたので。（四球を出すくらいなら）打たれようと思っていた。１イニングでしたけど。しっかりと、普通に投げられてよかったと思う」 ５０人の報道陣の笑いを誘った。昨年３月２５日の広島とのオープン戦（ヤフオクドーム）以来の実戦マウンド。ブランクを感じさせなかった。力勝負を挑んできた韓国球界の強打者をパワーとテクニックでねじ伏せた。
先頭の「８番・捕手」ジョン・バムモを外角低めのスライダーで空振り三振に仕留めると、昨秋日本で行われたアジアプロ野球チャンピオンシップに韓国代表として出場したハ・ジュソクを１４３キロの直球で見逃し三振。ＷＢＣに３度出場したイ・ヨンギュは１４３キロの直球で詰まった遊飛に打ち取った。
「スライダーは思っていた以上に早く仕上がっている。直球もフリー打撃登板（２１日）のときよりもよかった」と自画自賛だ。得意のスライダーのほか、チェンジアップ、シュートも試投。１１球のうち直球は４球。そのうち３球が１４３キロを計測した。
かつてＭＡＸ１５６キロを誇った剛腕も、ソフトバンク時代に唯一の１軍登板となった２０１６年１０月２日の楽天戦では１４４キロどまり。昨年３月の広島とのオープン戦は１４２キロで、２１日のフリー打撃の際も最速１４１キロだったが、徐々にスピードも戻ってきた。
２０１５年に右肩の手術を受けた松坂は、このキャンプで新たな調整法を取り入れた。「キャッチボールで十分」と、ブルペン投球を減らす代わりに７０メートル前後の遠投を繰り返した。肩肘に負担をかけず、体全体を使って投げることを意識した独自の調整法だ。
森監督は「（今年が）最後のつもりで本人もやっているだろう。明日（右肩の）状態に問題がなければ、次はイニングを
増やしていく」と語った。順調なら、次回登板は３月４日のナゴヤドームでのオープン戦（対楽天）。右腕は「これからは長いイニングを投げるからペース配分なども考えていかないと」と気合十分。次は名古屋の竜党に雄姿をみせる。 （三木建次）
阪神・山脇スコアラー「キャンプ序盤のときに比べると右腕を大きく振って投げている。今日は直球にも伸びがあった。順調にきているね」
ヤクルト・石堂スコアラー「スライダーも切れていたし、真っすぐの走りもよかった。ただ、指に球がひっかからず、抜け球となるのもあった。そこをどう修正していくかを見続けていきたい」
遊飛に倒れた韓国ハンファのイ・ヨンギュ「変化球の角度がすごかった。球速もまだまだ上がってくると思う。国は違うが、同じ野球界の先輩。ベストな状態でシーズンを迎えられることを願っている」