2017年ラストのSMILE TIGERSは榎田大樹投手の登場! 今季は悔しいシーズンだった。 | 浜のおじさん&週末はオリックス親父( ̄∀ ̄)のブログ
 2017年ラストのSMILE TIGERSは榎田大樹投手の登場! 今季は悔しいシーズンだった。ずっと調子はよかったが、中継ぎ左腕の高橋投手も岩崎投手も好調で、なかなか昇格のチャンスに恵まれなかった。
 ファームで我慢のときを過ごし、ようやく9月1日に1軍登録されると、3試合に登板して防御率1.42という成績で終えた。同7日の広島戦は圧巻だった。2点ビハインドの六回からいきなりのロングリリーフ。強力カープ打線の主軸を完璧に抑え、3回を無失点だった。「もう今年は1軍で投げる機会ないと思ってたんで、投げられたのはよかった」と振り返る。
 ただ、準備の仕方は難しかったそうだ。今季、ファームでは先発が多かった。榎田投手にとって「中継ぎで短いイニングを投げていて急にロングで球数投げるのは苦じゃない。でも先発で準備してての中継ぎでロングというのは難しかった。感覚というのがある」と苦心したそうだ。それでも見事に対応した。
 ことしの春季キャンプは安芸スタートだった。「寒いし、練習はきついけど、ある意味、楽。やりたいことが自分のペースでできる」と逆にプラスに考えて汗を流した。追い求めたのは「まっすぐ」の威力や精度だった。そのためにフォームを再考する中で、自身の体の特徴に気づいた。
 「僕“かかと重心”なんです」。それを意識して、軸足で立ってからの右足の出し方を変えた。これまでは「上げた右足を降ろしながらまっすぐ踏み出したほうがタメができると思っていたけど、そうじゃなかった。そうすると頭が出て、上半身で投げてしまう」。頭が突っ込んでしまうのは、これまで直そうと腐心してきた自身の悪い癖だ。
 そこでやり始めたのが、上げた右足をいったん一塁方向に伸ばしてから投げるというやり方だ。「その分の時間が、下と上のタイミングが合うようになって、まっすぐの軌道がよくなった」と手応えがあった。さらに「下から直すことで頭が残るようになった」と癖も解消できた。 「かかと重心の僕にはこれが合ってるんです。だからキャッチボールやネットスローでもかかと重心を意識しています」。ただ力んだりすると、前に体が出てしまう。「意識せずに同じ動作ができるように」と再現性を自身に求めている。
 ファームではフル回転だった。チーム事情で先発も中継ぎも、求められるところで応えてきた。
 「上に上がったときにやろうと思って、ファームでも課題をもって取り組んできた」と、変化球も磨いた。「僕ってスライダーのイメージが強いと思うけど、それにプラスしてカットも投げるようにした。広島戦でも空振りが取れたのはカット。左バッター(のバット)がもぐってボールの下を振ってくれた」と、してやったりだった。
 「まっスラのようにちょっと曲がる感じで、相手からしたらスライダーだと思ってるところに、曲がりは小さいって感じ。ファームの先発のときに試してきた。スライダーだけに頼らないようにと思って。カーブやフォーク、ほかの球種もいろいろ試したけど、1軍で勝負できる球となると、カットだった。自信をもって投げられる球がひとつ増えた」
 ファームの試合で目の前だけを見て投げてきたのではない。常に「1軍で」ということを念頭に置いて、戦ってきたのだ。
 さらに来季に向けては「カットの精度を上げることと、ことしあまり使わなかったシュートも磨いていきたい」と意気込む。「幅を広げるためにもね。ここ最近使ってないので、うまく使っていけたら。軽いキャッチボールで遊び感覚で投げていければ」。もともとの持ち球を掘り起こす。
 さらに、キャッチャーも捕りづらいという不規則に揺れるフォークもある。これらの武器を引っさげ、来季はシーズンを通して1軍で活躍することを誓う。
 「プロ野球という組織なので、それぞれ役割があると思う。1年通してやる中で、『誰かがけがしたら補ってくれる選手』と思ってもらえればいい。便利使いしてもらえれば」。実際、ファームでは補ってきた。その役目を来季は1軍で果たすつもりだ。(毎週土曜掲載)
土井 麻由実(どい・まゆみ)CS放送「GAORA」「SKY-A」の阪神タイガース野球中継番組「Tigers-ai」でベンチリポーターとして携わったゲームは約900試合。2005年は優勝のビールかけインタビューも! イベントやパーティでのプロ野球選手やOBとのトークショーの司会は100本以上、またイベント制作も手がけています。過去には阪神タイガース公式ホームページや携帯サイト、阪神電鉄の機関紙のコラムやニュースも執筆し、現在はYahoo!でも野球記事を掲載。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報をお伝えしています!!