良い作品で、見て良かった。
見始めるとあっという間だった。

屋敷に来た来訪者・半四郎が語るたびに
竹光でのあの悲惨な切腹を思い出して、
切なさと悲しさが増す。

題名の『一命』という意味と重さを
とても感じる作品だった。
余韻が残るし、海老蔵が良すぎた。
最後の殺陣はハラハラしっぱなしだった。

半四郎カッコ良かった


《 感想 》


戦国時代が終わり、太平の世が来た。
大坂の陣を知る者もいなくなる徳川の世。
そんな時代に貧乏浪人達の間で
流行っているのが“狂言切腹”だった。

腹を切る気もないけど大名の所へ行き、
玄関先で腹を切らせてくれと言う。
迷惑だからと金子を与えられたり、
そのまま召し抱えられるなどの成功例が
町人や浪士達の間で噂されていた。


ある日、その狂言切腹をしに、
若い男・千々岩求女が屋敷に来た。
病気の妻子のため、3両が必要だった。
求女は必死だった。

「姑息な貧乏浪人が」と怒る屋敷の者は
武士に二言はないはずだと、
見せしめに本当に切腹をさせることに。

求女は妻子のために刀を質に入れ、
竹光を持っていた。
屋敷の武士達は、その竹光で腹を切れと。
求女はその竹光で腹を切らされた驚きあせる

刀と違い竹光では腹に刺さらず、
何度も刺す求女は痛すぎて
画面を見てられなかったネガティブ音もきつい。
耳を疑う「まだまだあ!」というセリフ。
とんでもない事を言って介錯しないから、
さすがに家老が降りてきて介錯した。

酷かった…
げっそり…ネガティブガーン

屋敷の者たちは、もっともらしい理由をつけたけど、
下の人間を痛めつける残酷さと快感とか
バンバン見えてた。
武士なら通る手習いくらいの感覚で、
切腹を見たかっただけのようにも見える。

誰が流したのか、世間の噂話では、
竹光で切腹した求女を嘲笑い、
切腹させた大名家を誉めていた。

来訪者、半四郎

求女の無念の死から数ヶ月が経ち、
落ち着きのある主人公、津雲半四郎も
同じ大名屋敷に行き、狂言切腹を装った。

その屋敷ではまた狂言切腹かと思い、
数ヶ月前に起こった求女の
哀れで無様な狂言切腹の顛末を、
この半四郎に聞かせた。


半四郎の意志は強く、そのまま切腹を…
と思いきや、半四郎は語り出す。
自分の人生と、大切にしてた家族の話を。
無惨に死んだ求女の人生のことを。

半四郎は、復讐をしに来た。
求女と同じ竹光で、バッサバッサと
屋敷の武士たちを打ちのめす。

彼らは簡単に一人の命を奪ったけど、
半四郎はそれをしない。
真剣で武装した大勢を相手に、
竹光で一人がんばったえーん

「拙者はただ生きて、
春を待ってただけだ」
半四郎が言う。

幸せだった日常

最後は竹光も折れ、抵抗もせず、
手を広げて斬られて終わった。
半四郎が最後に見たのは幸せだった頃のこと。
一生懸命生きてたのに、
せつなかった悲しい

見事な戦いで散った半四郎

海老蔵の発声は、ほんと素晴らしかった。
静かに喋っているだけなのに、
何とも言えない切なさと迫力があった。
ショボッとした姿で漂う色気もすごい。

どうする家康の石田三成役の人も、
ほんと発声が良かったの思い出す。

間といい発声といい、やっぱ違うね、
鍛え上げられた声というのはラブ