地味な内容かなと思ってたら、
読めば読むほど面白くなっていった。
良い小説だったな![]()
主人公は堺屋弥兵衛。
海保青陵先生に弟子入りして
末弟子になれた弥兵衛だけど、
青陵先生がすぐに亡くなってしまう。
先生は元は江戸の人で、
北陸や武蔵などの国にも
知り合いがたくさんいて、
その人達にも訃報を報せたい。
ほとんどは文で報せたけど、
会った方がいい人達がいると。
その人達に報せに行くのに、
弟子になってまだ四ヶ月の
弥兵衛に白羽の矢が立った。
旅に出るなんて初めてのことで、
不安でたまらない弥兵衛。
兄弟子の暁鐘成が一緒に
旅をすることになった。
青陵先生の過去や、
自由自在という生き方。
青陵の人物像を知れると同時に、
そこから見えてくる徳川幕府の、
大きな組織というものの難しさも
嫌というほど見えてくる。
このままでは駄目だと、
立ち行かなくなると
分かっているのに変えられない。
変えようとする者は潰される、
それを繰り返し続けていた。
若き日の青陵でも
立ち上がれなくなるほど潰された。
まだ何とかなっているから、
変えなくてもいいというのが
ほとんどなんだよね。
いつの時代にも当てはまると思う。
最後は弥兵衛にとって
思わぬ展開が待っていて、
途中からそうかなと思ってたから
おお〜という感じになった。
弥兵衛の父、惣兵衛のことが、
最後の方でとても好きになったよ。

《※ネタバレありの感想》
海保青陵の父は元宮津藩の家老で、
浪人になってから苦労した。
仕官先を探して、なんとか
父子共に尾張徳川に仕官できた。
父は城勤めができたけど、
天才肌で自由人な青陵は
城勤めが全く合わず、
とうとう倒れてしまった。
弟の彪と城勤めを交代してから
青陵は元気になり、
好きに生きれるようになった。
弟との関係も良かった。
その江戸にいる先生の弟、
角田彪を一番に訪ねた二人。
砕けた奇人の青陵先生と違い、
真面目な感じの彪に戸惑うw
弟が家を継ぐことになった経緯や、
青陵先生と家族や兄弟の話が
めちゃくちゃ面白かった。
青陵先生は家族が好きなんだな。
彪が妻の利津に語る話で、
海保青陵という人物が分かる。
「仮病も病のうち」
って良い言葉![]()
この精神で世の中渡りたいw
天才の青陵には仕官は息苦しく、
尾張徳川の家臣たちも大変だった。
人には合う合わないがあるから。
この話かなり好きだった。
無二の友の桂川甫周との絆や、
関係性も好きだな。
司馬江漢、加藤市之丞、
前田藩の人たちと会う中で、
いろんなものが見えた。
そして、途中から思ってたけど、
弥兵衛は青陵の実の息子だった!
青陵の弟の彪に会ったとき、
彪に似ているという所で思ったよ。
弥兵衛の存在が、自由自在の
青陵を変えてしまうことを恐れ、
弥兵衛の母・吟は離縁を決意。
惣兵衛と結婚することにした。
惣兵衛は本当に良い人で、
青陵とも良い関係でいた。
けっこう知ってる人も多いようで。
弥兵衛はそのことを知らないのに
実の父・青陵を訪ねたのは、
びっくり仰天の出来事だったと。
青青といくというのは、
青空に枝を伸ばすように
手を広げて自由自在に生きていく、
そんな青陵の生き方を表していた。
面白かった!
ラスト、弥兵衛が33歳で
亡くなってたのは驚いた。
暁鐘成は長生きで、
面白い人だったな。
『木挽町のあだ討ち』の
作者の本なのはあとから分かった。
面白かった![]()
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