引退したポアロの住む村で、
殺人事件が起こる。
隣人のシェパード医師の語りで進み、
ホームズとワトソンのようでドキドキ。

村のお金持ち二人の死の真相と、
アクロイドの屋敷にいる人たちの
抱える悩みや問題の数々。
みんな秘密があり、それを隠すから
ポアロはなかなか真実にたどり着かない。
事件は犯人すら予想外のことも起きる。


かなり面白かった。
「すべての真相」の回からは、
もうビックリ仰天だった。

何気に一番好きなキャラは、
アイルズバロウに似てる感じの
アーシュラ・ボーン。
彼女の置かれた立場がけっこうツボる。


あと電子書籍で買ったのだけど、
気になって続きが読みたいのに
目が痛くて長時間読めず爆笑モヤるw
けっこう何日もかかって読み終えた。
一気に読んだ次の朝は目がコロコロした。



《※ネタバレありの感想》




早めに一度怪しいって思ったものの、
これも引っ掛けだなとか、
更に怪しい人物が次から次と出て、
全く疑わなくなった頃にバーン!と来たポーン

ポアロが犯人の名前を言ったとき、
最高潮に達するってこういう事かと思った。
ビックリした〜
そしてこの物語のその後がとても気になる。


「キャロラインにはどうしても知られたくない」
そこが弟のシェパードが気にしてた所。
ポアロに真相を突き止められ、
薄笑いで心を隠してたシェパードだけど
姉のことだけは心配してた。

姉のショックを受ける顔は見たくないし、
ポアロの言う通り死を選ぶシェパード。
ポアロと警部が内密に処理してくれると
シェパードは安心してるようだけど…

あの会合のときポアロが皆の前で、
この部屋に殺人犯がいると断言して
明日真相を警部に伝えると
しつこく二度も言ったから、
睡眠薬の過剰摂取で死んでも、みんな
シェパードが犯人だと気づくだろうな。

セシル・アクロイド夫人は、
シェパードの死を病気か事故と思うかも。
他の人達はシェパードが犯人と気づいて
びっくり仰天だろう。

シェパードが死をもって償ったなら、
過ぎたことだとなるとは思う、この時代。

姉のキャロラインは聡い人なので
弟が犯人だったと100%気づくし、
この先この村での姉の生活を考えると辛い。

キャロラインは家を売って、
どこか違う場所に引っ越すしかなさそう。
触れられたくない出来事ができたから、
噂好きな性格も封印かも。

フェラーズ夫人が夫を毒殺したことは
医師が見れば当然分かるわけで、
シェパードがそれをネタに強請ってくるのは
フェラーズ夫人の誤算だったはず。

冒頭でフェラーズ夫人の自死を見て、
自宅に帰ったシェパードの動揺がすごい…

ポアロの謎解きのあと読むと、
夫人の死への動揺や、
夫人がロジャー・アクロイドやラルフに
暴露したのではないかという不安、
恐喝がバレて身の破滅への恐怖など、
シェパードの心の内側がよく見えた。

身の破滅や不安を取り除くために、
友人アクロイドの首を刃物で刺し、
その罪をラルフにかぶせて
自分は善良な人として生きようとした。

シェパードは、姉の存在が強くて、
恋人はいなかったようだし、
旅行に行きたいと思いながら離れられず、
ある意味ギャンブルな投機をして
お金に走った感じ。
医者なのに恐喝、殺人、身の破滅。

この姉弟にはいろいろ思う。
キャロラインは性格的に、
真相をポアロに絶対尋ねて知るはず。
でもシェパードを愚かだと思いながら、
嫌いにはならないんだろうな。

シェパードが死んで償ったから、
関係者にとって静かに終わる話になった。


個人的には、ラルフとアーシュラが
かなりツボる関係。
姉が持たせた“かりんのジャム”も
何か印象に残った。