無能だけれど人柄の良い署長と、


その部下で暴力的な差別主義者で、

体を張って証拠を集めることができて

ちゃんと育てれば有能だったかもしれないディクソンが、

やけに印象に残る映画だった。

 

 

人柄は良いけど無能か、

クズだけど有能な男かの選択だと

どっちもなあって感じで...。

 

そんな二人が幅を利かせる警察では、

七ヶ月前に起こった凄惨な事件の犯人を捕まえる事ができず、

しびれを切らした被害者の母、

ミルドレッドが署長を焚き付けるため

大きな広告を出す手段に出た。

 

寂びれた道路沿いに巨大な広告三つ。

 

これが町中に大きな波紋を広げることになった。

 

 

名指しをされた署長は焦っているし、

署長想いのディクソンからは強迫される。

でも強迫は他の人からもたくさん受けた。


だんだん身の危険を感じるほどになって行くガーン

 

元旦那は自分の娘のための広告なのに

若い恋人を連れて酔っぱらって、

看板に火をつけて燃やすし…



ミルドレッドはただ、

娘を殺した犯人を見つけたいだけなのに。

ミルドレッドへの風当たりの強さに、

ちょっと気分が悪くなってしまったショック

 

その被害は息子にも。

 

 

娘が死んで息子と二人暮らしだけど、

息子は父が来ると母に当てつけるように

大喜びなのが嫌だったな。

 

いつも怒ってばかりの母より、

たまに会う父の方が

良いように見えるもの。

 

なんでもそうだよね。

実際その人と暮らすと、

全然理想や思いと違うというそれ。

 

娘も同じように父と暮らしたがっていたと言うけど、

若い女に走って家族を捨てたあげく、

あの看板を燃やすような気性の父が

ミルドレッドより良いとは思えない。

 

でもミルドレッドも良くはない。

娘と口論して夜一人で道を歩かせて

事件が起こった。

激しい後悔だったと思うのに、

まだ怒ってばかりいる。

 

親が怒ってばかりだと、

子供は本当に辛いもの...

 

 

暗く怒りがあふれるミルドレッドの家とは正反対なのが署長の家。

署長の家は明るく、

妻や子供たちが楽しく過ごせるように

努力している署長の姿にはぐっと来るものがあった。

 

署長は家族はもちろん、

部下や町中から好かれていて、

それは人のことを思いやる精神があるからなんだなと思える。

あと良い人に見られたい心と。

 

ミルドレッドにはない精神。

 

 

それに署長は病気を患っていて、

吐血したりと病状が悪いことも分かる。

 

この署長はどこまでも良い人でいたいらしく、

家族にも闘病して酷い状態の自分ではなく、

今元気で笑っている自分で終わりたいと

署長は計画的に銃で自死をしてしまう。

 

もちろんミルドレッドは何も関係ない。

でも自分の花道を広告で汚されたことに、

署長は来月の広告費を出してあげることで

やり返したのはうまかった。

 

広告のせいで自死したと思う人はいるだろうから、

あえて出させておくことで

ミルドレッドの危険が増すというね。

やっぱり署長もえぐい...キョロキョロもやもや


というか、あとのディクソン見て思うけど

もっと聞き込みしたりしなよと思う。

自分の花道飾ることと、

家族のことばっかり考えてたように見えた。

 

 

この映画に出て来る良い人は少ない。

↑広告を出す会社のボスのレッドは、

唯一良い人だったな、たぶん。

 

でも、ディクソンに窓から落とされて

大けがを負ったレッド。

入院してる病室に、今度はミルドレッドのせいで火傷を負ったディクソンが入院してきて…


ディクソンが自分のやったことを

レッドに謝ったのは良かった。

 

レッドは怒って戸惑いながらも、

オレンジジュースをあげたりと、

本当に優しかったジュース

涙するディクソンは、

署長の手紙で変わったなあと実感。

 

 

ディクソンは黒人の署長が来て

警察をクビになり無職になるけど、

ミルドレッドに協力するようになって、

体を張って証拠を集める所はぐっと来た。


ケガをしながら集めた証拠だったけど

結局あの事件の犯人じゃなくて、

ショックを受けた二人だったけど、

その男は別の犯罪をしていながら

逮捕されてないことに気づく。

 

その男は捕まる事もなく、

のうのうと笑って人を脅したりと

酷さが際立つ。

 

娘の仇ではないけれど誰かの仇であり、

同じ犯罪に手を染めていることから、

その男に制裁を加えに行くことにする、

ミルドレッドとディクソン。

 

ミルドレッドとディクソンは犬猿の仲だったけど

その男を倒しに車で行くことにする。

殺すのは気が乗らない二人は

道々どうするか考えるようで、

とても続きが気になるラストだった。

 

この後のことでも一本映画が作れそう。

 

 

なんか差し引きゼロな家が多く、

娘を殺した本当の悪い奴も出て来なくて、

でもインパクトのある映画だったよ。

面白くはなかったなうーんはい..


ただ、ノマドランドのときもそうだけど

この女優さんすごい迫力だった。

他の演技者の顔がかすむよ。