熱力学はなかなか面白い学問体系です。気体の圧力・体積・温度などと
エネルギーの関係を記述するのですが、個々の分子の状態に注目した
統計力学から導かれるというのが面白いところ。
それなら「最初から統計力学でいいのでは?」と思わなくもないですが、
統計力学では複雑な微積分が出てくるので、単純な計算で必要な量が
計算できる熱力学にも意味があるのでしょう。
この本は単純な熱力学でなく、かといってガチな統計力学でもなく、その
中間というかつなぎあたりを解説しています。熱力学を学んだときに腑に
落ちないことが自分はいろいろとありましたが、そういう人には納得感が
得られやすい気がします。
理想気体の状態方程式だけでなく、ファンデルワールスの状態方程式も
用いて相転移を詳しく見ているのが個人的には興味深い点でした。他に
磁性体も詳しく見ているので、そのあたりに興味がある人にもおススメ。