逆数学 | ナナとトモのブログ

ナナとトモのブログ

最近は書評メインですがナナ(ダックスフント)のかわいさを世界に広めるブログです。

ユークリッドの原論で挙げられている5公準のうち、第1~4と比べて第5

だけやたら複雑なことはよく知られています。そのため第1~4から証明

できる定理と思われた時期もありましたが、非ユークリッド幾何学の発見

によって第1~4とは独立な「平行線の公理」であることがわかりました。

 
これ以降、数学における公理は「誰もが認める疑いようのない真実」では
なく「有用な定理を生み出すための出発点」という位置づけとなりました。
すなわちどのような公理を設定するかによってさまざまな数学を展開する
ことが可能になったわけです。
 
どんな公理を設定するかはゲームのルール作りのようなもので、なるべく
簡潔な前提から豊潤な定理が生み出されるのが理想です。そこで有用な
定理を生み出すのに必要な公理は何かを明らかにするのが「逆数学」と
いう取り組み。平行線の公理だけでなく、集合論における選択公理なども
よく知られた結果ですが、この本ではもっと詳しい話題も取り上げられて
います。
 
難しい内容なので追いきれてない箇所も多いですが、よくできたパズルを
解くような面白さがあり、知識の積み重ねである数学らしさを感じることが
できます。原著が面白いというのもあるでしょうが監訳者の田中氏の本は
どれも読みやすいのでおススメです。この本が理解できるようになったら
参考文献に挙げられているより詳しい本も読めるようになるでしょう。