『世界音痴』穂村弘 | ななほん

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読書が好きなわたしの、日々の読書記録です。
お仕事では身体を、読書では頭もしっかり動かしたい。
文学が好きですが、ジャンルとらわれずまんべんなく読むようにしてます。
たまに映画。

 

 


読んでいて気づいたけど再読で、再読もさらっと読み切った感じ。


歌人の方のエッセイだけど、わたしは意識的にしても無意識にしても、自分の中にないものは作品の中にも出せないんじゃないか、みたいに、どちらかというと著者と作品を深く結びつけて見てしまうほうだと思っているので、この著者のエッセイは、とか短歌は、と別々に考えるのはわたしにはすこし難しい気がします。


詩集を読んだりしても思うけど、わたしも日常生活から感動を見出したいという気持ちは強くあるけど、作家さんのその情景を言葉にして伝えたいという気持ちは何だろう?

まだ会社員と副業してるころの歌人として駆け出しの時だからなのか、文章から誰かに影響したいという気持ちを強く感じてしまった。

人にものを伝える仕事をしていますが「自分が人に何かできる、してあげると思うようになったら終わりだ」ということをいろんな方からアドバイスを受けてずっと意識してきたことなので、自分の中や他人の中のそういう気持ちには敏感になってしまうし、けっこう警戒心を抱いてしまう。


「好き嫌いとは別に、こういう男性がモテるのは認める」と思ってしまうのは、わたしとしてはやられた!ってすこーしくやしい気もするけど本音w

 



私が、ん?という顔をすると、「俺、今、ヒサハルを捜しとるから、急いどるんだわ。だから、早よ、そのパンピー飲めって」と云う。

私が、ん?ん?という顔になると、「ここで飲み終わるとこ見とったるから」とイシハラくんは云った。「ひとりで飲むと、むなしいだろう?」

それは、まったく奇妙で、完全に的外れな優しさだった。いや、それは優しさですらなかったのかもしれない。だが、その冗談のようなひとことで、自分でも驚いたことに、私は泣いてしまったのである。