ショパン ポロネーズ 第9番 変ロ長調 作品71の2 | 徒然名夢子

徒然名夢子

日々此々と過ごしけるに
東に音楽の美しきを聴けば、其処何処に赴き
西に優れたる書物のあると聞けば、其処何処に赴き
其処においても何処においても
心楽しからむことのみを願い生きることは
我の本心にほかならず

ショパン「3つのポロネーズ(遺作)第2曲 変ロ長調」作品71の2。(1827~1829年作曲)。

 

この曲も第1曲と同様に三連符のパッセージが散りばめられている。移り気な旋律が、若々しいイメージを作り上げている。そしてそれらが、ショパンの楽曲の要素として既に成立していて、17から19歳にかけて作曲されたとはいえ、完成された楽曲だ。

 

動画の演奏はエフゲニー・ボジャノフ、ブルガリアの人だ。2010年のショパン国際ピアノコンペティション第4位の人だ。実は第三次予選まで、評価点は第2位で通過しており、このままいけば、優勝も狙えるところにいた。僕も、ユリアンナ・アヴデーエワを一番に推していて、次にこのエフゲニーを評価していた。不幸にも突如、審査評価方法が変更になり決勝では第4位となった。第1位がロシア、第2位がロシアとオーストリア、第3位がロシア というロシア勢で締められたのだった。第1位のユリアンナはロシア人だがイギリスが本拠地なので、微妙ではあるが、ロシア派の音作りが席巻したのは間違いない。その中で、エフゲニーの音楽は、独特で音の粒の明瞭さと優雅さが並び立って、聴いていて飽きさせない。他の演奏家とは全く異なる音楽美観を持つピアニストだった。当時のポーランドのコンクールの新聞では「独創性豊か」と高く評価している。

 

この突然コンペの審査方法を変更するのを僕は「ボジャノフ事件」と呼んでいる。我が国でも時々起きる事件ではあるが、世界をみても、よく起きているらしい。

 

しかし、この事件によって、2015年のショパコンは、新規性や独創性よりも、伝統に乗っ取った分析と解釈が求めらつつ、演奏技術もロシア派的な雰囲気が要求されていたようだ。これに間に合わなかった日本勢は、本選に何人かのこるが、決勝ステージに進める人はいなかった。