マックス・ブルック ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 | 徒然名夢子

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日々此々と過ごしけるに
東に音楽の美しきを聴けば、其処何処に赴き
西に優れたる書物のあると聞けば、其処何処に赴き
其処においても何処においても
心楽しからむことのみを願い生きることは
我の本心にほかならず

マックス・ブルック ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調

ソロ:ヒラリー・ハーン、指揮:アンドレス・オロスコ=エストラーダ 

オーケストラ:フランクフルト放送交響楽団

場所:フランクフルト、旧オペラ座、2016年12月9日

※正しくは、Max Christian Friedrich Bruch でドイツ語ではブルッフと発音するが、ここでは英語読みのブルックとする。

 

マックス・ブルックは1838年プロイセン王国生まれ、1920年ドイツ・ベルリンで死去。ロマン主義派の作曲家である。彼の音楽は、ドイツ・ロマン派の中でも、旋律性に重きをおき、また民族音楽からの回帰も目指していて、フランツ・リストやワーグナーといった新ドイツ・ロマン主義派とは、対立している。むしろメンデルスゾーンやブラームスを尊敬しており、親交もあった。

 

ブルックの楽曲全体を通して、旋法技術のパターンが確立されていることが特徴である。作品初期から第一次世界大戦まで、この理論が破綻しなかったのは、素晴らしい。特に、ここにリンクした動画のヴァイオリン協奏曲第1番は、ブルックの作品の中で最もドイツ・ロマン主義派音楽による表現で、しかもソロ旋律だけでなく、オーケストラの旋律も際立っている。

 

まさか、ヒラリー・ハーンが演奏していたとは露ぞ知らなかったが、素晴らしい演奏だ。指揮のアンドレスはコロンビアの人だが、情熱的な指揮振りに増して、ヒラリーの演奏が興に乗ってくると、自然とオーケストラも雷に打たれたかのように気合いが入っていく。オーケストラが乗ってくればアンドレスは、これみよとばかりに、音楽を動かしていく。これをヒラリーは楽しんでいるような演奏だ。だからこそ、ブルックの音楽が美しく奏でられ、もともと楽曲のもつ、豊かな表現が、まるで生きているようにうねっている。一瞬だが、メンデルスゾーンの音楽を思い出してしまうが、よく聞くとまったく違う。まるでドイツの田園風景に忍び込んで、四季を体験しているような趣がある。名曲である。