E-800と電流帰還アンプと47Ω抵抗とシグネチャー | リュケイオン2

E-800と電流帰還アンプと47Ω抵抗とシグネチャー

滅多に鳴らさないメインスピーカーだが、久しぶりに鳴らすとやはり良い音で鳴る。

最近の音色の曇りがCDプレーヤーやデジタルプロセッサーのアースループに在るのではないかと当たりを付けてはいるが解決はしない。

思い立ち、メインスピーカーをE-800で鳴らしてみた。手持ち最高のスピーカーを同じく最高アンプでは鳴らしていないのは、E-800のスピーカーAB切替がサブスピーカー等の切り替えに便利だから。

 

FE208ES-Rの低域不足のため、常にデジタルプロセッサーを通し、プロケーブル理論に沿って電流駆動アンプに近い動作になるという事でアルミ筐体抵抗を挟んでいたので、メインスピーカーの軽低音は素晴らしいものだったが、今回は抵抗だけそのままでE-800に繋いだ。

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すると恐らく同じFE208ES-Rを抵抗なしのBHで使っては有り得ないほど重低音がタップリでて、なかなか良い感じ。

線径の細いケーブルを使用したり、抵抗を挟む事で電圧駆動アンプが模擬的に電流駆動アンプのように働くのは、以下のグラフのような理屈らしい。

密閉型でダンピングファクター(駆動力)が落ちるほど40Hzが盛り上がってくるのは、ウーファーユニットのf0がそこに有るのだと思う。400Hzが盛り上がってくるのは、恐らくハイカット用のコイルの影響ではなかろうか。中高域ユニットとのクロスがこの辺に設けられているのだろうか。

こちらは少し解りにくいバスレフ筐体での変化グラフ。60Hzが盛り上がって来るのは、ポートチューニングがそれより少し上の70~80Hz付近に設定されており、ポート負荷が外れた低域で盛り上がっているのか。それならばチューニングポイントの前後に山が出来るはずであり、このように一点だけが盛り上がるという事は、そこがバスレフチューニングfdなのかも知れない。

左チャンネルから。

音量の数値と、他のスイッチが入っていない事の確認用。

それにしてもこのアンプとユニット能率98dBでマイナス31.5㏈というのは相当な大音量域のはずが、ソフトの収録でかなり音量を抑えられているのがこの事からも判る。

距離は同じくらいで気にしていないが、軸上を外すと途端に中高域が変わるのでそちらだけ注意している手持ち測定。

やはり左チャンネルは低域が強い。50~80Hzだけを評価するなら中高域とフラットと言えるかも。

これだけ低域が持ち上がるのは、47Ωの抵抗に依るところが大きいとは思うが、筐体設計の良さも有ると思う。同じユニットを使うなら、タンス並みの巨大バックロードホーンでもここまで持ち上げるのは容易では無いはず。

今回久しぶりにメインスピーカーを聴いて、違いを実感したのは音の浸透力。1mの距離でも軸上に座れば声が突き抜けて行くようなビーム感があり好ましい。

続いて右チャンネル。

音量がデジタル表示なので有難い。とは言えマイクは手持ちなので厳密な比較では無い。

絶好調時から大分表現力は衰えたが替えのユニットが見つからず、騙しだまし使っているFE208ES-R。

4kHz付近のピークも、左チャンネルユニットは5kHz付近なのでユニット間の統一性も怪しい。

我ながらこの筐体仕様で50Hz付近までタップリ伸ばせるのは凄いな、と自画自賛して置きたい。

続いてLRチャンネル同時鳴らしのセンター測定もしてみる。

高域特性には不利そうだが、上部のホーンツィーターが強めなので大きくは下がらない。

200Hz~1kHz付近の薄さは改善されず、低域は充分な厚みを聴かせる。

何度測定しても50Hz付近の盛り上がりが凄い。これは空気室内に設けた布製隔壁が奏功しているのか、それとも47Ω抵抗が働いているのか。

何が要因と成っているのか、30Hz以下まで盛大に伸びる不思議。聴感上では40Hz付近は充分聴こえるが、30Hz付近は殆ど聴こえないので謎である。

 

COMPスイッチを入れると微少音量でも充分なバランスで心地良い。

測定をしていなかったので急遽撮り直したが、明らかに先日の音と印象が異なる。

ボリュームは合わせてあるのに、低域だけが薄くなった。

こちらはバスブースト掛けたところ。

これだとバスブーストしてやっとフラットになったかのように見える。

均し用にもう一枚。やはり、振れなどではなく明らかに先日より低域全体が薄い。

次は左チャンネルのフラット。

こちらは充分出ているように見えるが聴感上は薄い。

COMPを掛けてみると。

多少上がってはいるが、先日の盛り上がり方は尋常じゃなかった。日によってブースト感が異なるのは電源に依るのか謎。

 

 

サブスピーカーやセカンドでも許容出来るかと思い込んでいた低域下限だが、意外と40Hz以下に違いが出て、REBECCAのブルースペックCDでも聴きごたえが違う。

 

面白いのでそのまま11,000円ほどの電流帰還アンプで鳴らしてみたがパッとしない。

試しに抵抗を外すと目覚ましく鳴り出した。

先ずは右チャンネルを測定してみた。

今回は電流帰還アンプとの比較だったため、切替が容易なstereo誌謹製の左右チャンネル毎のピンクノイズ音源を使用した。この音源は何故か音量を絞り過ぎているので他のピンクノイズとの比較にはイマイチ信頼性が薄いが、同じこの音源同士なら比較も問題無い。

F特グラフ接写のため、ズームしたままなので望遠効果で接近して見えるが30㎝ほど離している。

3kHzに対して50Hzが6dB落ちといったところか。サブスピーカーやセカンドとでは40Hz以下が大きく違うのだが、近距離測定では出ない。

均し用とスマホ片手持ちなので失敗を見越してに数枚撮っている。


同じく、左ちゃねんる測定。

厳密には、同じピンクノイズというタイトルでも、音源としては異なると思うのでソース名は撮るようにしている。

久しぶりのメインスピーカーの測定であり、ツィーターの覆いをめくって測定したが、フルレンジユニットの軸上なのであまり意味は無かったかも。

左チャンネルはどのスピーカーも50~80Hzが持ち上がるのは部屋の特性なのか、いつも右チャンネル側から製作するのでその影響も有るのか不明。

この近距離(30㎝)でも部屋の影響が測定されてしまうならお手上げなので気にしない。とは言え、左チャンネルだと3kHz付近と比較して60Hzはマイナス3dBも下がっていないので両チャンネルがこの特性に出来たら喜ばしいところ。

あまり意味は無いが、電流帰還アンプで再生したメインスピーカーの左右同時センター測定もこの機に収めて置く。

この距離で聴く事は無いが、PCM録音機で収録する時はこの距離なので無意味では無いかな。

デジタルプロセッサーを通さなくても、電流帰還アンプなら充分な気もするが、メインスピーカーに求めるのは40Hz付近の軽低音まで含むので悩ましいところ。

均し用に撮影した分。やはり中高域は安定しているが、最低域付近は振れが大きく安定しない。

 

電流帰還アンプに抵抗を足しても更に良く鳴るわけでは無いらしい。

ちなみに、デジタルプロセッサーを通して低域を持ち上げている時のF特は、印象だけで言うと805D4よりも重低音は控えめだが、軽低音はタップリと出していて801D4を圧倒する音圧比だと思う。

抵抗だけにするとさすがに805D4の量感には及ばず、フラットよりも更に薄いと思うが、それでも801D4との差は少ないくらいではないか。

つまり、自分にとってはFE208ES-Rと直管共鳴管が有れば充分満足出来る音色レベルだが、サブスピーカーやセカンドで次のステップを模索するのは楽しく、メインスピーカーのユニット寿命も確実に近づいているので悩ましいところ。

あと、軸上正面の三角形頂点で聴くと音色がグンと向上するのもこのユニットの特徴なのかも。

 

何かに似ているような気がしないでも無いので探してみた。

軸上1m測定だと思うが定かでは無い。

赤線が元の801D4で、黒線がシグネチャーモデルなのかな?

以前オーディオ専門店で試聴させて貰った801D4は赤線の印象だったので、シグネチャーモデルでは無い模様。というか、その時には60~100Hz付近に物足りなさも感じたが、キッチリその辺も改善して来たのがF特グラフからも読み取れる。収録されているソフトが皆無な20Hz~35Hzよりも、50Hz~100Hzの厚みが遥かに重要なのだが、恐らくこのメーカーの技術者は聴感で改善して来ている。ただ、トップエンドモデルなのだから35Hz付近まではタップリ再生して欲しいところ。

 

 

シグネチャーモデルの測定比較はこちらにも有った。

これは少し眉唾では無いか。このメーカーはF特をフラットにしてくる社風では無いと思う。

緑線が801D4で、赤線がシグネチャーモデルだろうか。解説文でも殆ど差はないとされているが、自分が聴いた元モデルはこんなF特では無いと思う。部屋の影響意外にこのような測定結果が出る要素は有るのだろうか。もしかすると、このメーカーは同じ型番でもロットに依って音色を大幅に変革してくるとか有るのだろうか不思議。