4349と805D3 | リュケイオン2

4349と805D3

JBL 4349

意を決して高級プリメインアンプの試聴に行ってきた。

今回は何が悪かったのか、サッパリ違いが聴き取れず閉口。

しかし、幸運にもJBLの新しいモニタースピーカーを試聴させてもらった。

音量を上げれば弾むような活き活きとした音色を楽しませてくれた4429に対して、こちらはより小音量にも対応しているようでクセは少ないがやや大人しくなった感じも有る。

聴感上はホーンスロート部でコンプレッションしていないように感じたが、内部構造図等を見るとシッカリ絞っているみたい。

名器805D3との聴き比べでは、下はそれほど伸ばしていないが、鳴りっぷりの良さは凌いでいると思う。

軽くて高能率ウーファーをネットワークで抑え込んで元気に鳴らす方式ならかなり805D3を意識してるのではないか。

値付けもスタンド込でも805D3より10万円ほど安く、どちらか迷ったらこちらを選ぶユーザーも多いと思う。

その点だけでもYAMAHAはしくじったと感じてしまう。

JBL 4349の主な仕様
形式:正面バスレフ、ブックシェルフ型
構成:2ウェイ、12インチ(300mm)径ピュアパルプコーン・ウーファー(JW300PG-8)、1.5インチ(38mm)径 Teonexデュアル・リングダイアフラム・D2コンプレッションドライバー(D2415K)
クロスオーバー周波数:1.5kHz
出力音圧レベル(2.83V/1m):91dB
公称インピーダンス:8Ω
再生周波数特性(-6dB/無響室特性):32Hz~25kHz
推奨アンプ出力(RMS):25W~200W
寸法:W445×H737×D343mm(グリル含む)
質量:37.7kg(グリル含む)
付属品:グリル、取扱説明書、保証書
オプション:専用スタンド「JS-360」 ¥58,000(1本、税別)、専用スタンド「JS-120」 ¥58,000(ペア、税別)

今回はアンプを選びに行ったのだが、対応してくれた店員さんがあからさまに面倒くさそうで、各アンプの音量すら合わせてくれなかったのでほとんど意味が無かった。

機器の音色を聴き分けるなんて、大した技術でもないと侮っていたが、店員さんがやる気ないとこれほど困難だと痛感した。

日曜日だった事も影響しているのか、こちらが試聴しているスピーカーとの間に立ち尽くす第三者が居ても注意したりせず、中央定位を探ろうと前の方で中腰で聴いていると、すぐ後ろの椅子に無遠慮に座る客も居て落ち着かなかった。

せめてこちらが試聴している15分程度の間は、スピーカーと座席の三角範囲内には立ち入らないよう注意して欲しかった。

また、そのような無礼な客は、自分の後に試聴を希望しているのかと思ったら、こちらの試聴が終わった途端そそくさと退散して唖然としてしまった。

いつもの嫌がらせ集団かも知れないが、せめてスタッフはまともな対応をして欲しい。

そういう前置きで、十分に条件合わせて落ち着いて再試聴したら全然違うかも知れない事を恐れずにインプレするならば、広い部屋で距離を取って聴くなら4349、箱庭的に音像を追い込みたいなら805D3だと思う。

JBL4349は、スイートスポットが広いとも言えるし、悪く言えばセッティングを詰めても音像がポッと中央に浮かぶ事はないような気がする。

どちらもアンプの駆動力が目覚ましく向上している事を踏まえて設計されているようで、10年前とは設計トレンドも変遷しているのかも知れない。

10/25追記

ステレオ 2020年11月号

キャッチーな特集で思わず購入したオーディオ誌。

4349のレビューもカラーページにて行っているが、ホーンの利点である高能率が反映されていない理由には触れず。

4429

メーカーサイトを参照したのだが、能率91dBと記載もある。

ドライバー径は50mmとかなり大きく、クロスも800Hzと本格的ホーンスピーカーだったと判る。

同じページなのに、クロスや能率が違う不思議。業務用と民生用と仕様が違うのだろうか。

取扱説明書をDWしてスペック欄を引用。

 

2022/10/31追記

二年ぶりに試聴して来た。今回は店員さんもキチンと対応してくれて、迷惑な客に邪魔される事もなく落ち着いて試聴出来た。

その中で最も好印象だったのは、KEF Q950で、低音は弱いがボーカルが抜きん出ている。他にも聴かせて頂いたが、次点は2020年に聴いた4349だと思う。評判の良いD4はエージングが済んでいないとの事で声はもう一つの印象だった。

しかし、売れているモデルはD4のような小型機ばかりで、4349はパッとしないんだとか。

50Hzを評価するなら、最も量感が有ったのは805D3で、4349はやや量感は劣り下に伸ばしている印象。805D4は更に50Hzが薄く伸びは4349と同じくらい。今更ながら805D3のバランスの良さが際立つ。

誤解を恐れず極論を言うならば、エージングの済んでいない805D4が4349を超える事は無い。805D3は見事だったが、もしかして設計者が変わったのかまだ改良している途中Ver.のつもりなのかまったく情報が出てないし求められても居なくて不思議。

その名品805D3をもってさえ、大音量環境下では4429に完敗するだろう。所詮805D3もブックシェルフスピーカーの低域を超えられず、4429はフロア型と比較しても優秀なほど充分な伸びと弾力有る低音が凄まじい。女性ボーカルもビーム化を丁寧に抑えられて鮮度切れ込み鋭く感嘆しか出ない。これこそ本物のhi-fiスピーカーだ。

しかし、その大音量環境が一般人には遠い。なので値段は倍近くとも805D3がバカ売れする道理となる。

 

2023/2/20 追記

読み返してしっくり来ない。

805D3の凄かったのは2019年に聴いたモデルだけで、2020年のは大した事無かった。単純に新品と入れ替えてエージングが済んでいないだけなのか、途中で仕様変更が有ったのか定かではない。805D3は不思議なモデルで、メーカーホームページでも内部構造は秘匿されて来た。高度で微細な技術であれば写真すら載せないほどの機密では無いと思うので、恐らく一目であっと驚くような秘密が隠されているのだろうか。もしかすると当時のユニットは背面にFOSTEXと印字されていたのではないか。

それは冗談として、2019年に聴かせて頂いた805D3は安いアンプでは全然鳴らず、PMA-SX11辺りからグンと音色が向上したように感じた。もしかすると805D4はアンプを替えてもそれほど変化はしないのではないか。鳴らしやすく改良しているのかも知れない。

 

2023/6/10 追記

蛇足だが、4349と805の位置関係が判り難いので追記してみる。

先ず、805D3初期モデルの音色は突出しており、高級アンプで鳴らすこの音はいわゆるB&Wの音色ではない。

後期モデル及び805D4ならば4349と同程度ではないか。印象だけで言うと60Hz付近の重低音の下の方では805D3がダントツで、次点は4349、805D4等が最も薄いかと思う。中高域の印象もその順位かも知れない。もう一度、厳密に聴きたいかというと初期モデルの805D3だけかな。

 

2024/4/27 追記

今でも人気記事なのでもう少し足してみる。

805D3の初期モデルは素晴らしい音色だった。この音が誰でも手に入る価格なら、もう自作スピーカーなど必要ないと思えるほど。

しかしとても鳴らしにくいのかどうか、安い20万円以下のアンプではサッパリ良い音なんて聴けなかった。

805D4になってとても鳴らしやすくは成ったようだけど、あれほどの音色には到達していないのではないか。

B&W社はこの805モデルだけかも知れないけれど音を変えて来るのでロットにより当たり外れがある気がする。

4349の音は最初から指摘したけれど4429の上位機では無く、4312辺りの上位機なので期待し過ぎてはいけない。

しかし最初に聴いた音からほぼ変化無しで一定している。これを基準に他のスピーカーを評価しているので大きく外れていないだろうという安心感も有る。もしかすると、人気の805D3は頻繁に入れ替わりがあり、不人気の4349は納入当初から一貫して同じタマが展示されているとか裏事情が有るのかも。

高くなり過ぎた805D4にそれほどの価値が有るかというと微妙である。小型スピーカーの低音限界は確実にあり、この値段なら結構な良いスピーカーが買えると思う。

805D4の魅力は何かというと、先ずは重低音の盛り上がりだと思う。小音量でも痩せないどころか出過ぎかと思うほどタップリ盛り上がって来る。声も綺麗で美しい。良いロットの805D3はこれらに加えて中高域の切れも抜群でフォステクスの限定ユニットを思わせる凄みも内包していた。

4349はいつ聴いても同じ音を出して来る安定感は褒められるが、一線級の高級スピーカーを相手に選ばれるかというと厳しい。

念のために描いておくが、4429ならば大音量再生の縛りは有るものの805D3にも負けないと思う。