加持祈祷を受けて帰ってきたその夜、私は猛烈な股のかゆみに襲われ、その夜は眠ることができなかった。

 翌日は土曜日だったので、今日いかなければと思い、近所の皮膚科に行った。

 4時間ほど待たされ、発狂しそうになったが、午後2時くらいになってようやく呼ばれ、診察室へ。

 女性の先生が患部を見て、綿棒でこすり、顕微鏡で見て「カンジダですね。」

 軟膏と、かゆみ止めをだしてもらって帰ってきた。

 その軟膏をつけたが、よけいかゆみがひどくなった感じがして、ウォシュレットで洗い流した。

 その晩も眠れず、かゆみが治らなければ婦人科に行った方がよいと皮膚科の先生に言われていたので、スマホで市内の婦人科を検索したがあまりよいところ(行きたいと思うところ)が見つからず、必死になって探していると、加持祈祷を受けた寺の住職さんから電話が入った。

 前日の夜、かゆみがひどいので電話をしていたが、その時は不在だったようで、今かけなおしてきてくれたのだった。

 かゆみが治まらず、眠れないということを話すと、加持祈禱を受けた人は皆なるということ、3日くらいでおさまるということだった。

 私はいくらか安心して、このまま治らなかったら行こうと思った婦人科1軒を見つけ、(完全予約制だったのでその時は予約しなかった)様子を見ることにした。

 3日目の夜は、かゆみはまだ強かったたが眠ることはできた。

 友人にゃあに話すと、にゃあも以前カンジダになったことがあり、その時は婦人科に行ったのと同時にドラッグストアで売っているデリケートゾーン用のウェットティッシュとデリケア軟膏をつけると良い、しょっちゅうトイレに行って排尿すると良いということを教わった。

 さっそくドラッグストアでその2つを買ってきた。

 デリケートゾーン用のウェットティッシュを使うと、患部がすっきりする感覚があった。

 その後も、かゆみでなかなか寝付けない日もあったが、この2つを使っているうち症状は軽くなっていった。

 この2つはカンジダ用ではないと書いてあったので、私の症状はカンジダではなかったのかもしれない。

 加持祈祷を受ける前はこういったことは無かったので、やはり加持が原因なのだと思う。

 だいたい1か月くらいで、かゆみは治まってきたが、同時に体調不良も発症し、自転車で買い物に行ってきただけで疲れてその後ずっと寝ているという日々が続き、10月末に加持祈祷を受けてから12月末ぐらいまでそれが続いた。

 ネットで調べると、アセンション不調というものがあり、自分の症状がこれにあてはまる部分が多いことがわかった。

次元が上がるときに一時的にこういった不調に見舞われることがあるのだそうだ。

 ある日、パソコン教室からの帰り道、パソコン教室のある駅から一駅歩いて帰ることにした、

 線路沿いの車がやっと一台通れるほどの幅の道の歩道を歩いていると、近くの中学校から、パイプオルガンに似た音色の楽器(多分管楽器だろう)が、指慣らしの単純なメロディーを奏でているのが聞こえてきた。

 ああ、これだ、と私は思った。

 昔、だいたい高校生ぐらいまでだが、時々感じていた恒久に平和な世界。

 それがこの世にあるのか、別のどこかにあったものを思い出しているのかは自分でもわからないが、そういう世界がどこかに存在していることを感じさせる瞬間。

 うつ病になって20年近く、それを思い出すことは殆ど無かったが、今、思い出せるようになってきたのだ。

 後日この話をいつも行っている漢方薬局の先生に話すと、「団地を見るとそういう感じがしません?」と言われたので、わかる、と答えた。

 そして家に帰って、何というワードで検索したのかは忘れたが、ある重要な本と出会うことになる。

 

続く