映画「ある男」⚠️ネタバレ注意! | 白玉猫のねむねむ日記

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平凡な日々のなかで、ふと、胸をかすめていった思いや、感じたこと、旅行記、本や映画のレビュー、時には、詩やエッセイのようなものを、書いています♪

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ひとりの少年がいた。

少年は死刑囚の息子だった。

父親の呪縛を逃れたいと願う少年は

姓を母方に変えた。


少年は青年になった。

姓は変わっても、父親の呪縛はついて回った。


青年は耐えかね、ついに他人と名前を交換する。

交換した名前は、ヤクザを父親に持つ者の名前だった。


青年は、その名前にも息苦しさを覚え、

再度、別の人間と名前を交換した。


新しい名前は、犯罪歴のない、真っ当に生きてきた人間のものだった。

青年はその名前で真面目に生き、結婚し、幸せな家庭を築いた。


しかし、40才前後で事故死してしまう。


数奇な人生だったが、

青年の人生の後半は、

前半の不幸を補って余りある、幸福なものだった。









だが、残された妻の困惑は大きかった。


というのも、夫の兄(名前を交換した相手の実兄)が弔問に来たことから、

夫が他人の戸籍で生きていたことが、判明したからだ。


妻は、弁護士に相談する。




相談を受けた弁護士は

亡くなった男の、不思議な人生を

現在から過去へと遡っていく。


その過程が

映画のメイン・ストリーになっている。



2度も他人と名前の交換しているため

調査は難航するが、最終的に

弁護士は亡くなった青年の出自に辿り着く。


何度も新しい人生にチャレンジし

生き直した青年に

共感を覚える弁護士。


その背後には弁護士自身の

鬱屈した思いがあった。

(在日三世・妻の不倫)






映画のラストは

弁護士が何処かのBARで

たまたま居合わせただけの

見知らぬ人を相手に

別人になりすまして雑談を楽しみ、

名乗ることなく去る・・・

そんなシーンで終わる。




1度、人生をリセットし

別人になり

新しい人生を生きたい!


と、思うことは

誰にでもあるとは言わないが

わりとよくあることではないだろうか?



そんな気持ちを描きつつ、

様々な社会問題を地味に織り込んだ

良い映画だと思う。



また、弁護士から離れ

青年にフォーカスすると・・・


違法とはいえ、

自助努力で呪われた人生をリセットし

幸せを掴んだ青年。


青年の死後、

その人生の全てを知り、

その上で、優しいお父さんだったと受け入れた

子供たちと妻。



お父さんの木

お母さんの木

兄の木

妹の木


どこかの桜並木で、

父親(青年)との思い出を

懐かしむ家族・・・


家族愛を謳った映画ともいえる。















青年




弁護士