キワモノではない、いい映画だと思う。
ヒロインのアリソン
親友のエミリー
2人の友情に
ふと、自分の若い日々を思い出した
中学・高校・・・
あの頃、わたしは
アリソンやエミリーのように
家族とは距離を置き
いつも、友達と一緒にいた・・・
アリソンにエミリーがいて、
エミリーにアリソンがいたように、
わたしの側には
いつも、女友だちがいた。
エミリーを
「ビッチ」の一言で
片づけてしまう人には
おそらく、この映画の良さはわからない。
登場人物の誰にも感情移入できず、
アン・ハサウェイと
ビジュー・フィリプスの
美貌を楽しむ以外
この映画に
価値を見出せないはずだ。
前にも言ったけど
映画は観る人によって
感想は違う。
人はそれぞれ。
同じ映画の評価が
にもにもなる。
わたしはアリソンやエミリのー気持ちがわかるから、
この映画を
十代後半の女たちの
友情や憧れや、
さみしさや痛みを描いた
青春映画として
高く評価するけど
わからない人には
全くわからない世界だから
酷評する人がいるのも
無理ないと思う・・
自分たちの住む高級住宅街から、
非白人区ともいえるような
ダウンタウンに
繰り出すアイソンとエミリー
それは、まるで夜の遠足・・・
ダウンタウンの街並みが醸し出す
刺激的な雰囲気
メキシコ系ギャング男子たちの
男っぽさ・・
そこにグッ💘ときて
自ら、相手を指名したのも、
「ヤリたい!」と言ったのも、
エミリー
でも、行為の途中で、
エロい気持ちが恐怖と嫌悪に変わり
「いや!!!」
「やめて!!!」と叫んだのも
また、エミリー・・・
エミリーのこの心境の変化を
理解出来るか?
出来ないか?
で、
この映画を面白いと思うか
くだらないと思うかが
決まる・・・
おそらくここが
この映画のターニングポイント
確かに、エミリーは愚かだ。
ダウンタウンに誘ったアリソンにも、罪はある。
彼女らの浅はかな好奇心と
エロ気分と
エロが弾けた後の恐怖と嫌悪に、
男たちは、振り回される・・・
メキシコ系ギャングも
学校の男友達も
彼女たちに翻弄される・・・
ギャング男子のリーダー格、
ヘクターを
わたしはいい奴だと、思う。
だって、あの場、あの空気の中、
アリソンばかりか
エミリーの心境の変化を
怒りながらも受け入れ、
暴力に及ぶことなく
ちゃんと解放しているのだから、
いい奴でないはずがない!
一方で、
一度はオッケーしておきながら
行為の途中で気が変わった
アリソンやエミリーの気持ちも、
また、わかる。
その辺の成り行きを
出演女優を美しく、
ストーリーはわかりやすく
描いて見せたこの映画は
やはり優れた作品だと思うのだが
どうだろう?
【ネタバレ注意!】
ストーリーはその後・・・
エミリーは親を巻き込み
レイプ事件として
警察に届けてしまう
身勝手だよね?
弁護のしようがないほど
自己中だとわたしも思う。
自分が白人で、親は裕福であること。
それに比べ、ヘクターたちは
ダウンタウンに住むメキシコ系でギャング・・・
エミリーには、
犯罪歴や男女差、
人種差別を利用している節さえある。
それだけに
驚いたアリソンが
エミリーの親に
真実を話す展開に、ホッとした。
黙っていたら、
白人本位のかなり胸くそ悪い映画になりそうだったから・・・
真実をバラされ、
怒るエミリーを宥めるアリソン
エミリーが、浴室に閉じこもり
バスタブに入っているのは
リストカットの常習者であることを
暗示しているのだろうか?
映画の中で、
エミリーの手首に切った痕はなかったように思うけど、見落としていたのかな?
彼女にリストカットの過去があっても
不思議ではないし、
むしろ、その方が自然なぐらいだが。
なんそんなエミリーに、
慣れている風なアイソン・・
浴室のドアの向こから、
静かに語りかける様子に
アリソンの聡明さがよく表現されていた。
2人だけにわかる心の痛み
アリソンの優しさが
エミリーの心をほぐし
2人はまた親友同士に戻る
ここで脈絡もなく・・・
アリソンには
良くも悪くも向上心はなさそうだけど
もし、そういった傾向があれば
裕福だし美貌だし頭脳明晰な優等生だし
政治家に向いているな・・・
などと思ったりした。
メキシコ系ギャングのヘクターが、
アリソンたちの心境の変化を受け入れ、
強引なことはせずに解放したこと。
アリソンが親に真実を語ったこと。
この2点から、
この映画は、
女優の美貌とエロさばかりが宣伝されているけれど、
制作者の若者を見る視点は
性善説に立った
優しいものであることがわかると思う。
しかし、甘くはない。
シビアでもある。
(ただ、学校の男友達たちの
幼稚さ、薄っぺらさはいただけないと、わたしも思う。)
【注意!ここからさらにネタバレ!】
ヘクターは強姦罪で捕まり
メキシカンギャングはアイソンとエミリーをみつけて、脅し、告訴を取り消させようと、車を走らせる。
でも、パトカーに見咎められ、ちょっと意気消沈・・・
他方、学校の男友達も
仲間の女子をレイプされた報復をしようと逆上して、
ギャングたちの家に押し入るけど
家に居たのは赤ちゃんと母親たち・・・
赤ちゃんは泣き
お母さんからは命乞いをされ
白人のボンボン?たちは
気が削がれて、
自己嫌悪にもなって
彼らもまた意気消沈し・・・
そんな彼らが
車上ですれ違い、
そのまま
事もなく
終わるのかと思ったら
画面は黒一色になり、
一発の発砲音・・・
それで映画は終わる。
もし、誰かが死んだら
それは誰の罪?
自業自得?
発砲した実行犯?
そんな簡単なものじゃないよね?
アン・ハサウェイと
ビジュー・フィリプスの
美貌とヌードにしか
この映画の価値を見い出せない人には
との話じゃなけど
何を言ってもわからないし
伝わらないと思うけど
この映画は
十代後半の少女たちの
友情や心の機微を描いた
名作だと、
やはり、言いたい。
《登場人物》
- アリソン・ラング
- アン・ハサウェイ
- 主人公の女子高生。
- 家では親に理解のある優等生風。
- 刺激を求め、ヘクターのドラッグパーティーに参加する。
- 学校のトビーと交際しているが、
- 次第にトビーの幼稚臭さに嫌気が差し、
- メキシコ系ギャングのヘクターに惹かれる
- エミリー
- ビジュー・フィリップス
- アリソンの親友。
- アリソンと共にヘクトルのパーティーに参加。
- 危うく3Pされそうになり、その後は家に引きこもってしまう。
- 自分たちから仲間に入ろうとしたにも関わらず、ヘクター達にレイプされたと警察に告訴するが・・
- ヘクター
- フレディ・ロドリゲス
- 大麻の売人で、メキシコ系ギャング16ストリートのリーダー格。
- 白人の富裕層へドラッグを売り生計を立てる。
- ヘクターに憧れを抱くアリソン達へ、
- 仲間に入れて欲しければ
- サイコロの目の数だけ
- 仲間とセックスするよう条件を出す
監督バーバラ・コップル
2015年製作アメリカ映画
-the・end-