著者 : 安達裕哉(あだち・ゆうや)

      ティネクト株式会社 代表取締役 1975年生まれ

      給料が少し高いという理由でデロイト トーマツコンサルティングに

      入社。現在はマーケティング会社の経営者として、コンサル、WEB

      メディアの運営支援、記事執筆などを行う。

      個人ブログ「Books&Apps」が累計1億2000万回PVを誇るビジネス

      メディアに。

 はじめに

 ・本書は、読者が頭のいい人たちの知見を身につけ一気に”頭のいい人”になるように設計、プログラ

  ミングしました。つまり、本書は、頭のいい人になるためのプログラムなのです。

  コミュニケーションに苦手意識がある人こそ、話し方を変えるのではなく、この”ちゃんと考える” 

  ということに意識を向けてみて欲しいと思います。

 

 

 第1部 頭のいい人が話す前にかんがえていること

     「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則

 

  その1 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間

   ・怒っているときは、だれでも頭がわるくなるのです。怒っている時に下す判断は、まず、まちがっ

  ていると考えた方がいいでしょう。”話す前にちゃんと考える”ということは、感情に任せて反応す

  るのではなく、冷静になることだ”と言い換えられます。

 ・『イラッ』『ムカッ』としたときは、まずは6秒待ちましょう。何かを言いたくなった時ほど、逆

  に口を閉じる。”とにかく反応しない”ということが大事なのです。

 

 

黄金法則 その1

とにかく反応するな

 

  その2 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?

   ・頭のよさは他人が決めるという前提に立ち、「他者がどのように思うか」を意識することこそ、知

  的で慕われる人が持つマインドの根本であり、思考の質を高めるために最も大切なことなのです。

 ・IQに対して、SQという言葉をご存知でしょうか。SQとは、社会的知性のことで、人間にとっ

  て最も重要な”頭のよさ”を示す概念です。

 ・話す前だけ、頭のよさは他人が決めるという前提で思考の質を高めれば十分です。

 

 

黄金法則 その2

頭のよさは、他人が決める

 

  その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?

   ・どんな仕事でも、一番偉いのは、”最初に案を出す人”なんですよ。批判なんてだれでもできる。

  でも、”最初に案を出す”のは勇気もいるし、なにより皆からバカにされないように一生懸命勉強

  しなければいけない。だから、最初に案を出すやつを尊重するのは仕事では当たり前です。

 ・目からクロコでした。最初に発言した若者は、案が稚拙だったとしても、会議を活性化させ、最終

  的に新しい施策にたどり着くきっかけを作りました。これこそ、賢いふるまいなのです。

 ・なぜ社会人1年目の若造が、その道30年の社長の相談約を務めることができたのでしょうか?

  まず、社長の心情が、「ちゃんと考えられるか?」⇒「ちゃんと考えてるな」と変わったと考えら

  れます。信頼が生まれる瞬間の心情はこうです。”この人、我々のためにちゃんと考えてくれてる

  な”。ビジネスシーンだけでなく、プライベートにおいても、”ちゃんど考えてくれてるな”と思う

  人と長期的に関係を築きたいと多くの人が思う筈です。

 

 

黄金法則 その3

人はちゃんと考えてくれてる人を信頼する

 

  その4 頭のいい人は、論破しない

   ・頭のいい人は、決して論破しようとしません。議論はしても、勝ち負けにこだわらず、議論を前に

  進め、仕事を進捗させることを意識します。コンサルタントとしても、このように叩き込まれまし

  た。人と闘うな、課題と闘え。

 ・クレーム対応が苦手な人は”できないものはできない”と相手を説得しようとします。すると、相手

  と対立することになり、話がこじれてしまいます。頭のいい人は、議論の勝ち負けではなく、議論

  の奥にある、本質的な課題を見極めようとします。議論になるのは、その人の根底に何か想いがあ

  るからです。ちゃんと考えて話すというのは”相手の言っていることから、その奥に潜む想いを想像

  して話す”ということでもあります。

 

 

黄金法則 その4

人と闘うな、課題と闘え

 

  その5 「話し方」だけうまくなるな

   ・恋愛にたとえると多くの人が納得してくれるのですが、恋愛以外になると、とりわけビジネスシー

  ンにおいて”なぜ伝わらないんだろう”と告白の仕方、つまり「話し方」を一生懸命良くしようとし

  ている人が少なくありません。

 ・相手に伝わらなければ、話し方が悪かったのではなく、考えが浅かったと考える。これが、実際に

  頭がいい人のマインドであり、思考の質を高めるポイントです。

 

 

黄金法則 その5

伝わらないのは、話し方ではなく考えがたりないせい

 

  その6 知識が「知性」に変わるとき

   ・コンサルに入ってまず、簡単にアドバイスするな、意見を言うな、とにかく相手に話してもらえ、

  と徹底的に教えられました。

 ・知性は披露するものではなく、だれかのために使って初めて知性となる。

 

 

黄金法則 その6

知識はだれかのために使って初めて知性となる

 

  その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる

   ・自分の承認欲求は抑制し、他者の承認欲求を満たすことが出来れば、「コミュニケーションの強

  者」になることが可能だということです。

 ・承認欲求をコントロールし、コミュニケーションの強者になるには、ふたつの条件があります。

  

    強者の条件1 自身を持つこと

    強者の条件2 口(自己アピール)ではなく、結果で自分自身の有能さを示すこと

 

 ・他者は褒めつつ、自分は「なんでもない人間です」という顔をするのが、コミュニケーション強者

  の態度であり、知的で慕われる人の態度です。

 ・コミュニケーションの強者の胸の内はこうです。「相手が承認を求めているのであれば、思い切り

  承認してやろう。逆に、私が彼に承認されるかどうかは、私が彼に何をしてやったかにようる」と

  では人はどのような時に、他者を承認したくなるのでしょうか?それは”親切にされたとき”です。

 ・コミュニケーションの強者は、承認欲求を満たしてもらう側ではなく、承認欲求を満たす側に回る

  ことで、上手に信頼を得るのです。

 

 

黄金法則 その7

承認欲求を満たす側に回れ

 

 

 第2部 一気に頭のいい人になる思考の深め方

     「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法

 

  その1 まずは、バカな話し方をやめる

      「客観視」の思考法

  ・著名人である、肩書が立派である、という理由だけでその情報が正しいと信じていると、残念な

   がら「浅い話をする人だ」と思われてしまうのです。

  ・後知恵バイアスというのは、その結果を知ったから判断しているのに、あたかもその結果を知る

   前から予測していたように考えてしまう心理状況です。

  ・ネットで検索するとき、検索用語に続けてスペースを入れ、その次に【site:.go.jp】と入れる

   やり方があります。これは、対象となるサイトのドメインを指定して検索するオプションで、政

   府系のドメインのサイトだけが表示されます。また、末尾に【総研】や【site:.ac.jp】と入れる

   こともあります。シンクタンクや大学が発表する情報をたどることで、信用度の高い統計データ

   に早くたどり着けます。

  ・データの取り方はコンサルティング会社に入社すると丸2日かけて研修が行われるほどです。

   まずはできる範囲で面倒臭がらず【site:.go.jp】【site:.ac.jp】を入れて検索する癖をつけて

   下さい。

  ・”ちゃんと考えてから話す”とは、相手が受け取る言葉の意味を想像し、できるだけ定義の齟齬が

   出ないように話す!ということです。

  ・管理とは、成果を上げるために、目標を定め、現状とのギャップを明らかにし、そのギャップを

   埋めるべくPDCAサイクルを回すことまでが、”管理”ということになります。

   計画を立て、実行に移し、正確に行われたかをチェックし、対策を立てる。この一連の流れが、

   マネジメントの意味を含む「管理」なのです。

 

  その2 なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか?

      「整理」の思考法

  ・ではなぜ、頭のいい人は、たとえ難しい話でもわかりやすく話せるのでしょうか?

   それは”物事の本質を理解できている”からです。

  ・ウォシュレットのキャッチコピーについては、おしりを拭いたトイレットペーパーに便がついて

   いなくても、おしりには便がついている。絵具の染みついた手と、絵の具のついていないティッ

   シュを見て、生まれたのが「おしりだって、洗って欲しい」という名コピーでした。

  ・人の心を動かせるかも、わかりやすく話せるかも、理解の深さに比例するのです。

  ・理解するというのは、”分ける”ことであり、整理することなのです。逆に理解できないというの

   は、”分けられない”状態であり、整理できていない状態なのです。

  ・結論から話せない人の特徴に、言い訳を最初にしてしまう人や、過程から順に説明してしまう人

   がいます。それは、”自分がしたい話”なのです。自分の話はあとで。まずは、相手のききたい話

   を意識してみてください。

  ・なぜ結論から話す必要があるのか、それは自分の話を聞いてもらう為ですが、自分の話を聞いて

   もらう為には、聞き手の立場になって考えないといけません。結論が明示されない話しというの

   は、行先の分からない飛行機です。つまり、結論から話すというのは相手に、”聞くスイッチ”を

   入れる行為なのです。

  ・それは証明可能な事実か?自ら判断を下した意見か?を一息おいて考えてから、回答をすればよ

   いのです。その癖が身につけば、徐々に事実か、意見かを分けて話せるようになります。あくま

   でも自分の主観的な意見を事実として話してしまうのは、頭のいい人の態度とはいえません。

 

  その3 ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう?

      「傾聴」の思考法

  ・コンサルティングの会社では、上司から「とにかく相手の話を積極的に聞け」と教わりました。

   自分が話すことよりも、相手の話を聞くことに比重を置ける人が、信頼を集め、結局、自分の話

   も聞いてもらえるのです。

  ・自分の好きなことや興味のあることだけを聞くのではなく、細部にまで耳を傾け、相手の思いを

   感じ取るのが、”ちゃんと聞く”ということなのです。ちゃんと話を聞ける人は、余計な口を挟ま

   ず、”言いたいことはなんだろうか”と考えながら、まずは相手の話を正確に理解しようとしま

   す。その上で、相手から”学ぼう”という意識で聞くと、さらに相手から信頼されます。

  ・知的で慕われている人たちは、人の話をよく聞いています。私が今までお会いしてきた経営者の

   中にはひと周り以上年下の私から”学ぼう”と思って話を聞いてくれる人もいました。そして、

   「相手が何をいいたいのだろうか」を真剣に考えている聞き手は、次のような態度で聞きます。

 

    1.肯定も否定もしない

      ちゃんと聞く人は、肯定も否定もせず、「そうなんですね」「なるほど」と相槌を打ちな

      がらまずは相手に気持ちよく話してもらうのです。

    2.相手を評価しない

      評価したくなっても「あなたがそう思うのならそうなんでしょう」と思うようにしましょ

      う。

    3.意見を安易に言わない

      「どう思う?」と聞かれても、すぐに自分の意見をいわないことが大事です。アドバイス

      も容易にしてはいけません。相手はあなたの話を聞きたいのではなく、安心したいだけで

      す。

    4.話が途切れたら、むしろ沈黙する

      相手の話が途切れたら、まずは沈黙して、相手が話し出すのを待ちましょう。沈黙を怖が

      ってはいけません。

    5.自分の好奇心を総動員する

      相手の話を正確に最後まで聞き終えたら「相手は私に何を言ってほしいのだろうか」と考

      えるのが、知的で慕われる人です。相手の話をちゃんと正確に聞けているのであれば、相

      手が自分にどのような会話を期待しているのか、わかるはずです。

 

 

相手が話しているときに、

自分が話すことを考えるのではなく、

まずは相手がいいたいことを

正確に聞こう。

 

  ・どうやって相手の話を整理しながら聞くのか?整理のポイントをお伝えしていこうと思います。

 

    1.ゴールの確認

    2.考えていることを聞く

    3.話を整理して相手の意思決定を助ける

 

 

アドバイスしたいときほど、

相手の話を

整理しながら正確に聞く。

 

  その4 深く聞く技術と教わる技術

      「質問」の思考法

  ・コンサルタントは限られた時間で、相手と信頼を構築しながら、企業が抱える問題の本質をつか

   む必要があります。そこで参考になるのは、「構造化面接」と呼ばれるインタビュー術です。

  ・米国政府が公開している構造化面接のマニュアルによれば、構造化面接では、”導入の質問は2種

   類、深堀りの質問は3種類”としており、たったの5種類しかありません。

 

  【導入の質問】

    1.”過去に行った行動”についての質問

      「直面した状況にどのように対応したか?」

    2.”仮定の状況判断”に基づく質問

      「仮に~このような状況に置かれたとしたら、どのようにしますか?」

 

  【深堀の質問】

    1.状況(シチュエーション)に関する質問

      「そのとき、どのような状況でしたか?」

    2.行動(アクション)に関する質問

      「そのとき、何をしましたか?」

    3.成果に関する質問

      「行動の結果、どのような変化がありましたか?」「何か現場で反発はありましたか?」

 

  その5 最後に言葉にしてインパクトを残す

      「言語化」の思考法

  ・忘れないでほしいのは、コミュニケーションのコストをどちらが払っているかを常に意識するこ

   とです。

 

 

 おわりに

 ・本書でお伝えしてきた7つの黄金法則と5つの思考法は、言うなれば、知性という花を咲かすため

  の、前者が ”根っこ” で、後者が ”幹” です。

 ・”わかった気になったときが一番危ない” これが22年コンサルタント人生の中でのもうひとつの結論

  です。わかったような気になっているときこそ、丁寧なコミュニケーションを心掛ける。これこそ

  本当に頭のいい、知的で謙虚な人の態度だと思います。

 

 

 ●● ピークパフォーマンス方程式 ●●

 ・『イラッ』『ムカッ』としたときは、まずは6秒待ちましょう。何かを言いたくなった時ほど、逆

  に口を閉じる。”とにかく反応しない”ということが大事なのです。

 ・相手に伝わらなければ、話し方が悪かったのではなく、考えが浅かったと考える。これが、実際に

  頭がいい人のマインドであり、思考の質を高めるポイントです。

 ・データの取り方はコンサルティング会社に入社すると丸2日かけて研修が行われるほどです。

  まずはできる範囲で面倒臭がらず【site:.go.jp】【site:.ac.jp】を入れて検索する癖をつけて

  下さい。

 ・なぜ結論から話す必要があるのか、それは自分の話を聞いてもらう為ですが、自分の話を聞いて

  もらう為には、聞き手の立場になって考えないといけません。結論が明示されない話しというの

  は、行先の分からない飛行機です。つまり、結論から話すというのは相手に、”聞くスイッチ”を

  入れる行為なのです。

 ・相手が話しているときに、自分が話すことを考えるのではなく、まずは相手がいいたいことを正確

  に聞こう。