著者 : スペンサー・ジョンソン(1938~2017)

      心臓のペースメーカーの発明にたずさわった医学者でもあるジョンソン

      氏は、さまざまな大学や研究機関の顧問をつとめ、シンクタンクに参加

      「チーズはどこへ消えた?」は日本でも歴史的なベストセラーとなり、

      全世界で数多くの読者に影響をあたえました。

 

 物語 プレゼント

 ・少年は、ある老人から”プレゼント”の話を聞き、すこしずつ理解を深めていくことになる・・。

  ある朝、少年は老人を見て、いつか”プレゼント”の話を聞いたのを思い出した。

  老人は笑いながら言った。「”プレゼント”は魔法や願いごとと関係ないよ」

 ・年月がすぎ、少年は十代になった。不満がどんどんつのっていった。

  老人は言った。「”プレゼント”は、その価値は物や金銭だけでは測ることができないんだ」

  老人は言った。「成功とは、我々皆が人生の夫々の段階で見定めるものなんだ」

 ・老人は尋ねた。「小さい頃、芝刈りをしていた時、楽しかったかい?それともつまらなかった?」 

  「楽しかったよ」少年は答えた。「自分がやっていることが大好きだったからです。」

 ・やがて少年は若者になり、自分で”プレゼント”を見つけようと決心した。しばらくすると、幸せに

  生きてはいないことに気づいた。自分が十分なことをしているとは思わなかった。でも、どうすれ

  ばいいか分からなかった。

 ・仕事にも人生にも不満なことばかりで、ようやく、老人と会わなければならないことが分った。

  若者は"プレゼント”を見つけようとあれこれ努力したが、結局探すのをやめてしまったことを話し

  た。彼は聞いた。「あなたといるととても楽しいんです。”プレゼント”と何か関係があるのでしょ

  うか?」「全面的に関係がある」老人は答えた。

 ・昔、芝刈りについて老人と話をしたのを思い出した。「今やっていることに没頭すれば、他の事を

  考えることもなく、幸せでいられる」と老人は言ったのだ。「その瞬間に起きていることに没頭す

  るんだ

 ・若者はもう長い間、過去のことでくよくよするか、未来のことを思い悩んでばかりいた。彼は部屋

  の中を眺めた。ただ、ここに自分がいることと、やっていることを味わっていた。それから、彼は

  微笑んんだ。気分がよくなっていた。ただ、自分がやっていることを楽しんでいた。いま現在ここ

  にいることをかみしめていた。突然、ひらめいた。そういうことなんだ!プレゼントとは何かがわ

  かったのだ・・・ずっとそこにあったことも。

 

    

"プレゼント”とは

過去のことでもなく

未来のことでもない

 

"プレゼント”とは

現在(プレゼント)の瞬間のことなのだ!

 

"プレゼント”とは

いま現在のことなのだ!

 

 ・彼は目の前にある多くのことに気づいた。これまでは目をやったり感じたりしなかったものだ。

  とても穏やかで幸せだった。長い間こんな気持ちになったことがなかった。

 ・今現在を生きるということは、いま起きていることに没頭するということだ!日々与えられるその

  贈り物に感謝するということだ。ようやく、少年だったころから老人がずっと教えようとしていた

  ことを悟ったのだ。いま現在に生きれば、幸せで物語がうまくいっているという気持ちでいられる

  のだ。

 ・彼が答えを見つけたのは、いまいる場所といまやっていることに専念した、まさにその時その場で

  だった。彼は思った・・・こんなにも簡単で、すぐさま効果があるなんて、驚きだ。

 

 

 いま現在を生きる

 ・いま現在に生きるということは、いま目の前にあるものに専念することだとわかりました。

  老人は言った。「それは二つの意味で当たっている」「考えてごらん」

 

    

このうえなく

困難な状況にあっても

 

その状況の

よい面に目を向ければ

幸せな気持ちになれるし

 

悪い面に対処するための

活力と自信を

得ることができる

 

 ・その言葉に若者は驚いた。「いま現在を生きるということは、いま目の前にあるものに専念すると

  いうこと。そして、よい面に目を向けるということでもあるんですね。「その通り」と老人。

  老人は言った。「どんな状況でも、たいていはよい面もあるし悪い面もある。見方しだいなんだ」

 ・”悪い”状況にあると気づいたら、努めてよい面に目を向けるようにすることが大事なんだ。そのよ

  い面に感謝し、そこを足場にするんだ。

 ・老人は言った。「君は"プレゼント”を自分で見つけたし、もっと知りたがっているようだから、喜

  んで私の知っていることをおしえよう」「苦痛な状況を経験し、そこから教訓を得ることが大事だ

  他のことで気をまぎらせたりしないでね」

 

    

いま現在を生きるということは

ほかのことに気を取られたりせず

重要なことに注意を払うことだ

 

きみが注意を払うものによって

きみ自身の現在がつくり出される

 

 ・若者は言った。「おいとまする前に、過去と未来についてお尋ねしてもいいですか?」

  老人は答えた。「いま現在にとどまり、いま重要なことだけに専念すれば、素晴らしいことが沢山

  見つかると思うよ」

  その瞬間に起きていることに専念しよう。状況のよい面に感謝し、それを足場にしよう。いま重要

  なことに注意を払おう。

 ・若者はそのとき、学んだことを活かすのを思い出した。確かに、昇進はできなかったかもしれない

  が、いまも仕事をしていられる。職場環境もとても静かで、きちんと整っている。いろいろなもの

  に恵まれているのにそれをすぐ忘れてしまう、と彼は思った。それから、いま重要なことに専念し

  た。一つの仕事を進めていけば、それによって次の作業を首尾よくやる活力と自信が得られるのだ

  彼は問題を一つづつ片付けていった。いくつか障害にぶつかった。だが、目をそらしてほかのこと

  に取り掛かったりせず、いま現在にとどまりつづけた。

  いま現在やらなければならないことにひたすら没頭し、前進しつづけた。驚いたことに、二三時間

  でやり終えた。小さな仕事ではあったが、やりとげたことで気分がよかった。

 ・”プレゼント”のことを悟るまでは、彼は会議中もぼんやり空想にふけっていた。いまは、良い仕事

  をしたいならいま現在を生きることが大事だとわかっていた。他の人たちが話している時は、自分

  の考えは脇に置いて、話に注意を集中した。皆に協力し、少なくとも一つは新しいアイデアを捻り

  だすようにした。

 ・最初は、今現在に集中し、過去のことを悔やんだり未来のことを思いわずらったりしないようにす

  るのに努力が必要だった。だが、現在に生きることを習慣にしていくうち、たやすくできるように

  なった。老人が、”プレゼント”は自分が自分自身に与える最高の贈り物だ、と言ったことも納得で

  きた。

 

 

 過去から学ぶ

 ・「僕はいま現在にとどまることに努め、成功を見ることができました。でも、それでは十分でない

  ようです」「意外なことじゃない」老人は言った。「完全にいま現在に生きるためには、現在の瞬

  間に生きる以上のことをしなければならないんだ。きみが気づくのを待っていたよ」

 ・老人は言った。「たぶん、次のことが役立つだろう」

 

    

過去が忘れられないのは

その経験から

何も学んでいないからだ

 

過去から何かを学びとり

過去を捨て去れば

いま現在を

よりよいものにすることができる

 

 ・老人は笑って言った。「苦労している人もいたし、うまくいっている人もいた。だが、共通のパタ

  ーンがあることに気づいたんだ」若者は聞いた。「苦労している人については、どんなことにきづ

  いたんですか?」

 ・老人はつづけた。「きみは、過去のことを見直して、そこから何かを学びとるというより、目をそ

  らそうとしているように思える。

 ・「そのとおり」と老人。「過去にたいする感情を活かさず、経験から何も学びとらなければ、現在

  の喜びも得られない。過去から本当に何かを学びとったなら、現在を楽しむことが容易になる。

  若者はわけがわからなくなった。「では、いつ現在に生き、いつ過去から学べばいいんですか?」

  「いい質問だ」老人は答えた。「次のことが役立つだろう・・・」

 

    

現在に生きていて

不幸せだったり

うまくいっていないと思ったら

 

そのときが

過去から何かを学びとり

未来への計画を立てるべきときである

 

 ・「現在の喜びを奪う事ができるものは2つしかない。過去に対する悲観的な考えか、未来に対する

  悲観的な考えだ。若者は言った。「何かが気になって現在が楽しめないでいると思ったら、それが

  過去を見直し、何かを学ぶべきときなんですね」「そうだ」老人は答えた。

 ・若者は尋ねた「なぜ悲観的な気持ちになったときが教訓を得るのにいいんですか?」老人は答えた

  「その気持ちを活かして何かを学びとることができるからだよ」「どうやって学べばいいんです

  か?」老人は答えた。「もっともいいのは、次の3つの問いに、できるだけ正直に、かつ現実にそ

  くして答えることだろう。過去に何が起きたか? そこから学びとることが出来るか? いまは違

  うことができるか?」若者は言った。「つまり、自分の犯した過ちを見直し、どうすれば違うこと

  ができるかを見つける、ということですね」

 ・老人は言った。「そう。よい点は、過去から多くのことを学べば、それだけ悔やむ気持ちが薄れる 

  ということだ。そして、それだけいま現在に生きることができるわけだ」

 

    

過去に起きたことを見直そう

 

そこから

何か有意義なことを学びとろう

 

学んだことを生かして

現在をよりよいものにしよう

 

    

過去を変えることはできないが

そこから何かを学びとることはできる

 

同じことが起ったとき

違った対処の仕方ができ

現在はもっとよいものにできる

 

 ・若者は過去から教訓を得て、違った振る舞いができ、気分がよかった。同僚や部下との関係もよく

  なった。その結果、上司から多くの仕事を任されるようになり、昇進した。

  ところが、新しいポストに就いて仕事が多くなり、全てをうまくさばくことが難しくなってきた。

  彼は日々の予定を組み立てることが出来ず、どの仕事から取り掛かればいいか、わからなかった。

  やがて、仕事が片付かないまま、収拾がつかなくなった。

 

 

 計画を立てる

 ・若者はこわばった笑みをうかべていった。「他の人から目の前のことに専念できていないと言われ

  るんです。老人はうなずいた。「そう思う時もあるかもしれない。きみがかわっていないのは、現

  在というものの最期の要素、まだきみが見つけていない要素だ。きみは大きく前進しているんだ。

  しかし、きみがまだつかんでいないものは、三番目の要素、つまり未来というものの重要性だ」

 ・老司は言った。「確かに、未来に生きることは賢明なことではない。心配や不安に囚われてしまう

  からだ。だが、未来への計画を立てることは重要だ。未来を現在よりよいものにする方法は、幸運

  を除けば、ただ一つ、計画を立てることなんだ」

 ・若者は聞いた。「未来への計画を立てることは、いま現在を生きることとどう繋がっているんでし

  ょうか? 老人は答えた。「未来への準備ができれば、あまり心配しないでいまを楽しむことがで

  きる。計画を立てれば、日々の作業を明確に決められるようになる。ロードマップがあるわけだか 

  ら。おかげで、いま現在しなければならないことに専念し、望み通りの未来にすることができる」

 ・老人はつづけた。「仕事でも私生活でも、計画性のないことが、夢や目標が達成できない一番の理

  由なんだ」若者は聞いた。「じゃあ、いつ未来への計画を立てればいいんでしょうか?」老人は言

  った。「未来を現在よりよいものにしたいと思ったときだ」また若者は聞いた。「それにはどうす

  るのが一番いいんでしょう?」老人は答えた。「三つのことを考えてみることだ。

  素晴らしい未来とは、どういうものか? それを実現するには、どんな計画を立てればいいか?

  その為に、自分は今何をしているか?

 ・重要なことは、そういう素晴らしい未来にする為に、毎日、何かしらおこなうことだ。わずかなこ

  とだっていい」

 ・ぼくがどうしていいか分からなくなったのは、初めにじっくり考えて計画を立て、それを実行する

  ということをしていなかったからだ」老人は言った。「現在というものの三つの要素を、カメラを

  ささえる三脚と考えるといい。うまくバランスをとるための三本の脚と。つまり、いま現在に生き

  ることと、過去から教訓を学びとることと、未来への計画をたてることの三つだ。

 ・未来への計画を立て、それによって今現在を向上させることで、彼は他の人たちをもっとやる気に

  させ、仕事がはかどるようになった。やがて、上司からも生産性が上っていることを認められ、再

  び昇進した。しかし、ある日、避けようのないことが起きた。老人が死んでしまったのだ。

  未来への計画を立てることで、未来がよりよくなることもわかった。しかし、いまだに、それをも

  っと的確におこなわなければならないと感じていた。

 ・老人には自分の利益以上に大事な目的があったのだ。その目的は・・その日その日を生きる理由は

  ・・ほかの人たちが幸せになり、成功するのを手助けすることだった。そして、この目的意識こそ

  が、現在と過去と未来を一つにした・・そして、彼の人生を意義あるものにしたのだ。男は目を開

  けた。これだったのだ! これが全てを縫い合わせる糸だったのだ。

 ・男はメモ帳に手を伸ばした。そして、書きつけた。

  いま現在に生きることと、過去から学ぶことと、未来への計画を立てることがすべてではない。目

  的をもって生き、現在と過去と未来についての重要なことに成果を出してこそ、それらが意味をも

  つのだ。

 ・老人に教わったことと彼自身が経験によって見出したことから、わかったのは次のような事だった

 

    

成功とは

その人の能力・素質を

十全に開花させることである

 

そして 有意義な目標にむかって

歩むことである

 

人はそれぞれ

自分にとって成功とは何かを定める

 

 ・男は、人を幸せにし、成功することができる全てを身につけたのだった。彼は自分が学んだことを

  要約して書き記すことにした。それをデスクの前に置き、いつも忘れないようにした。

 

 

プレゼント

現在の瞬間を生かす三つの方法

 

いま現在に生きる

幸せになり、成功したいと思うなら

いま現在のことに専念せよ

目的をもつ事によって 今重要な事に応えよ

 

過去から教訓を得る

現在を過去よりよいものにしたいなら

過去に起きたことを見直せ

そこから有意義なことを学びとれ

そして 過去とは違うことをせよ

 

未来の計画を立てる

未来を現在よりよいものにしたいなら

素晴らしい未来とはどんなもにのか見定めよ

それを実現する計画を立てよ

そして その計画を行動にうつせ

 

 

 ・その後の数年、男は学んだことを繰り返し活用した。ついに会社のトップの地位に就いた。

 

 

 物語のあとで

 ・「私、女性上司のことで悩んでいてね。仕事でへとへとになっているところへ、彼女から新しい

  マーケティング・プランを出すようにせっつかれて。だけど、私は変える必要はないと思っていた

  それに、ほかにもやらなければならないことが沢山あるのに、その上そんなこを言われて腹立たし

  かった。今回は、私が昔の成功にいまだに頼っている、過去にしがみついている、とつけくわえた

  の。初め私は彼女が言うことを無視していた。ほかにやらなければならない仕事をたくさん抱えて

  いたからだけど、あの物語の老人の言葉を思い出したの・・『過去から教訓を得るのはいいが、過

  去にとどまっていてはいけない』。それに、未来のことがひどく不安だった・・備えができていな

  いと感じていた」

 ・彼女は笑って言った。「私は現在以外のことばかり時間を費やしていたのかもしれないわ!とにか

  く、あの物語の最期の部分のことを考えたの。「どの部分?」ビルは聞いた。「男が、いま現在に

  生きるということは、いまの自分の目的は何かに気づき、それに応えることだ、と悟ところよ。

  私はそれが分っていなかったの。でも、いつもちょっと立ち止まって、こう自問するようになった

  『いまの私の目的は何か?それを実現するために、いまの私は何をしているか?』

 ・「驚いたのは、ほんのわずかの努力でいま現在に生きることができること。そしてそれが大きな違

  いをうむこと」過去をすて去り、もっと今現在に生きるようになって、以前よりうまくいくように

  なった、と言った。以前はもっと稼いでいたのに、いまはそうできないでいる、と考えていた時に

  は、それが腹立たしかったし、顧客もそれを感じとっていたのだという。

 ・リズはつづけた。「彼は、”いま”自分にできる最高の仕事をすべきだとわかったのよ。彼が実際に

  コントロールできるのはそれしかないのだから。過去のことをくよくよ考えて時間もお金も無駄に

  していることに気づいて、どんなに自分にマイナスになっているかわかったのだというの。でも、

  いまは、過去を捨て去れば、それだけ今現在に専念することができる、と言っているわ」「とくに

  素晴らし未来はどういうものかを思い描くのが重要だとわかったんだって」

 ・『物語のなかで気に入ったのは、未来への計画を立てれば不安が薄れるというところだ。未来がず

  っとはっきりしたものになるからね』こうも言ったわ。『老人は言ってたよね・・未来を現在より

  よいものにしたければ、未来への計画を立てることが重要だ、と』

 ・「夫は、”仕事の未来”のことばかり考えて、”家族の現在”を楽しんでいなかったことに気づいたの

  何の為に一生懸命働くのか忘れていたのね。私は会社がいま現在必要としていることに的を絞って

  仕事を進めることができた。もちろん、いま重要なことはたえず変わる。でも、自分の最終的な目

  的を忘れなければ、何をすべきかがはっきりするわ。

 

 

 ●● ピークパフォーマンス方程式 ●●

 ・現在の喜びを奪う事ができるものは2つしかない。過去に対する悲観的な考えか、未来に対する

  悲観的な考え。何かが気になって現在が楽しめないでいると思ったら、それが過去を見直し、何

  かを学ぶべきときだ。

 ・過去から多くのことを学べば、それだけ悔やむ気持ちが薄れる。そして、それだけいま現在に生き

  ることができる。

 ・いま現在に生きることと、過去から学ぶことと、未来への計画を立てることがすべてではない。

  目的をもって生き、現在と過去と未来についての重要なことに成果を出してこそ、それらが意味を

  もつ。

 ・いま”自分にできる最高の仕事をすべきだ。実際にコントロールできるのはそれしかないのだから。