副題:手を動かして答えをだす「万能の問題解決術」

 著者:下地寛也(しもじ・かんや)

    コクヨ株式会社 ワークスタイルコンサルタント エスケイブレイン代表

 

 はじめに

 ・「どうすれば自分らしく考えられるようになるのか?」これが、この本で考えていきたいテーマ

  です。仕事における創造性やキャリアを考える上で有効なのが「考えるためのメモ」のスキルを

  身につけることなのです。この本では、正解のない問いに対して、自分らしい答えを出す力を身

  につけるためのメモの技術についてお伝えしたいと考えています。

 

 

 PROLOGUE 自分らしく考えるためにメモを使う

 ・「自分の頭で、自分らしく考えていますか?」と問われたら、自信を持って、「はい!自分の頭

  で考えています」と言えるでしょうか。ある2つのことを意識することで、「ただ考える」だけ

  ではなく「自分らしく考える」ことができるようなります。

    その1つは、普段から気づいたことをメモする習慣をつけること。

    もう1つは、紙の上にメモを書きながら考える習慣をつけること。

 

 【問題①】何を書くべきか?⇒メモの基準をもつ

     「メモの基準」があると、迷わずパパッと情報の選別が出来るようになる。

 【問題②】どう書くべきか?⇒箇条書きで抜き出し、気づきを加える

 【問題③】どう使うのか?⇒現状を全て見える化し、自分の視点で課題を整理し打ち手を構造化する

 

 【メモの種類①】記録メモ

         仕事の忘備録として記録する為のメモ

 【メモの種類②】インプットメモ

         情報を自分の知見にするためのメモ

 【メモの種類③】アウトプットメモ

         情報を整理し、発想・創造するための書きながら考えるメモです 

 

 ◎自分らしく考えるには、メモの習慣をもつことが有効 

 ◎インプットメモで普段から気づきを書き、センスを磨く

 ◎アウトプットメモで書きながら考え、創造性を高める

 

 

 PART1 インプットメモ普段の気づきをメモする技術

 ・相手が言ったことを正確にメモする意識をすてること

 ・自分の知識の中に組み込むメモをするという意識を持つこと

 【インプットメモ ポイント①】メモの基準をもつ

  ・メモの基準を持つと、メモしようか迷った情報をスルーできるようになる

  ・結果、血肉化につながる情報だけを選ぶセンスが身につく

  ・メモするノートのトップページに、どのようなことをメモしたいと思うかを書いておく

  ・「活用したい情報」と「面白いと感じる情報」を、それぞれ5個~10個程度、ノートのトップ

   ページに書いておくといいでしょう。

  ・基準を書いておくと、使えそうな情報が目の前を通ったときに気づくようになる

 【インプットメモ ポイント②】箇条書きで抜き書きする

  ・入って来た情報のコアな部分を、文頭にドット(・)を打って、一行程度でメモする 

 【インプットメモ ポイント①】気づきを加える

  ・書いたメモの情報が自分にどんな気づきを与えたかを一言加えておきましょう。

 

 ◎メモの基準があると、必要な情報が目に留まるようになる

 ◎メモの基準は「活用したい情報」と「面白いと感じる情報」

 ◎メモの基準にとらわえすぎず、直感でメモしてOK

 

 

 箇条書きで抜き書きする

 ・ここは大切だと思う所だけを抜き書きすることが大切です。そうしないとメモは単なる情報の羅列

  になるだけ。自分の知識に取り込まれません。実際に書くときは文頭にドット(点)を打って箇条

  書きにしましょう。

 ・通常はメモする内容が変わる度に区切りの線を引いて、その都度、日付とタイトルを書きましょう

  あとで見返すときに検索性に大きな差が出ます。日付の情報は特に重要です。このタイトルをパラ 

  パラと見返すだけで、今困っていることのヒントが得られたり、話のネタを思いついたりします。

 ・インプットメモは3割くらいの余白をつくりながらメモしましょう。余白をとるメリットは次の2 

  点です。1点目は、情報を塊で捉えて、その塊ごとの関係が分かりやすくなること。2点目は、あ 

  とから気づいたことを書きたせること。「サブテーマが変わるときは1行あけて、大きなテーマが

  変わる時は2行あけよう」などと細かいルールをつくり過ぎると、守らなければいけない意識がつ

  よくなり、長続きしません。内容が長い場合は、文章を分解して数行に分けてメモすればいいでし

  ょう。

 

 ◎箇条書きにすることで、情報の本質をつかめるようになる

 ◎見返す前提でギチギチに書かない。余白を残す 

 ◎略字、資料の切り貼り、写真を使って手を抜こう

 

 気づきを加える

 ・インプットメモで最も大切なポイントは、情報をメモするときに自分が感じた「気づき」を加える

  こと。たったこれだけです。メモした情報は自分の外にあるもので、気づきは自分の中から出たも

  のです。自分の外にある客観的な事実に対して、主観的な解釈による意味づけをすることで新たな

  思考のパターンを得られるわけです。気づきはインプット情報の隣、若しくは下に▼☆↓などのマ

  ークをつけて書いておきましょう。

 ・大切なことはビビッときた情報に対して、自分の感じたことを言語化することです。この気づきを

  書く癖をつけておくと、言葉にする力、コメント力が上がります。普段から外部の情報に対して、

  自分の考えや感じたことを気づきとして言葉にする習慣をつけていると、少しずつ表現力が養われ

  てきます。「私はこうおもいます」というコメントが出来るようになるわけです。

 

  気付く力を高める視点の持ち方

 ・気付く力を高めるコツを3つ紹介しましょう。

  ①「比べる」と気付くようになる

  ・「普段」と違う、「以前」と違う、「思っていたの」と違う

   比較対象物を想定するとメモした情報の特徴や価値が見えてきて、気づきを言語化できるように

   なります。

  ②「観察の量を増やす」と気づくようになる

  ・質を上げるためには量をこなすことが大切です。次第に質の高い気づきを得られるようになるで

   しょう。

  ③「視座をあげる」「視野を広げる」と気付くようになる

  ・「上司の立場、社長の立場からこの情報を見ると何を思うだろう」。自分としては意味がないと

   しても、全体的には有効かもしれません。

 

  具体的な情報から、抽象化したパターンを見つける

 ・気づきの中でとくに意識してほしいのは抽象化したパターンを見つけることです。簡単にいうと、

  いくつかの事例から共通のパターンを見つけ出す作業です。抽象化したパターンを自分の知識とし

  て持っておくとで、類似したパターンが出た時に、すぐにアイデアの1つとして活用できるわけで

  す。見聞きした情報から抽象化したパターンを見つけだすことは、他の人のやり方を上手くパクる

  技術になります。日頃から得られる情報から抽象化できる気づきはないかと考えながらメモをする

  するとっパクれるアイデアの貯金ができるわけです。

 ・「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という江戸時代後期の江戸藩主、松浦静山

  の言葉(ヤクルトや楽天の監督だった野村克也氏が言って有名になりましたが)にあるように、上

  手くいかないときは何等かの失敗パターンがあるはずです。

 ・「・」の箇条書きは観察した事実、「▼」はそこから気づいた抽象化した課題やアイデアの種です

 

 ◎気づきを加えることで、情報は自分ごとになる

 ◎気づきは自分が思ったこと、感じったことでOK

 ◎「不」の気づきこそアウトプットのニーズにつながる

 

 

PART2 アウトプットメモメモで自分らしい思考をする技術

 ・アウトプットでは、この吸収した自分の知識をどうやって自分らしい考え方に昇華するのか、その

  方法論についてお伝えします。明確に意識して欲しいことは「言葉で書けないことは考えていない

  のと同じ」ということです。つまり、メモを書かずにアウトプットを考えるのは、同じところをグ

  ルグル回って思考の迷子になる非効率な行為というわけです。

 

 ・アウトプットメモのポイントは3つです

 【ポイント①】現状を全て見えるかする

 【ポイント②】自分の視点で課題を整理する

 【ポイント③】打ち手を構造化する

 

 ・インプットメモをアウトプットにつなげるには、普段からメモした内容に一言、気づき(抽象化し

  たパターン)を加えて知恵のストックをつくっておくこと。それらのメモを日頃からパラパラ見返

  しながら、このアイデアはいつか使ってやろうと記憶の片隅においておくことが重要だと思います

 

  アウトプットメモは左から右へ書き進められるA4ヨコ使いがベスト

 ・現状⇒課題⇒打ち手の順番で書きすすめていきます。1つのテーマをA4用紙1枚に書ききること

  が基本になります。アウトプットメモの字は自分が読めるギリギリの汚い字でOKです。大切なこ

  とは、思考のスピードにできるだけ遅れずに思い浮かんだことをメモすること。

 ・やって欲しいメモの取り方が、「ノート3分法」です。一旦用紙を3分割にして、

  左3分の1に「現状」、真ん中3分の1に「課題」、右3分の1に「打ち手」を書きます。

  大切なことは、課題や打ち手を深く考える前に現状を書き出すことです。こうして、3分割の空欄

  をまず作ることで、現状をしっかり確認しないまま、なんとなく問題解決を進めてしまうことを回

  避できます。

 

 ◎1つのテーマはA4用紙1枚にとにかく書き出す

 ◎「現状⇒課題⇒打ち手」の順番で書きながら考える

 ◎書くことで「わかっていること」「わかってないこと」が明確になる

 

  「8つの課題」と「4つの打ち手」で思考を広げる

 ・課題が発生する原因は主に8つあります

   ①ルールがない ②やり方が非効率 ③スキルがない ④時間がない

   ⑤お金がない ⑥チェックがされてない ⑦コミュニケーションが不十分 ⑧責任が曖昧

   これに当てはめて考えると、大抵の課題は見えてきます。

 ・「打ち手」には4つの視点があります

   ①引き算発想(止められることはないか?)

   ②掛け算、割り算発想(比率を変えられることはないか?)

   ③+/ー逆転発想(ひっくり返す、順番を逆にできないか?)

   ④意外な足し算発想(それまでにない組み合わせができないか?)

 

 ◎思いつくことを10個以上書いて、3個選ぶ気持ちで考える

 ◎常識を疑い、考えうる最高の状態を考えてみる

 ◎資料や書籍の情報だけでなく、現場の声や観察を通して課題をメモする

 

  紙の上でキーワードを漂わせ、言葉の強弱を探る

 ・アウトプットメモも最終段階、3つ目のポイントである「打ち手を構造化する」方法を考えていき

  ましょう。

 ・これまで「現状」を書き出し、「課題」を自分の視点で整理してきました。そうらを踏まえた「打

  ち手」を組み立てるためのメモの使い方です。構造化のポイントは2つあります。

   ①キーワードを選んで強弱をつける(マーキングする)

   ②キーワードの関係性を示す(コネクトする)

  ということで「アーク&コネクト法」とややベタな名前ですが、その効果は絶大なのでここで紹介

  します。

 

 ◎キーワードをグルグル囲み、矢印で繋げて構造化する

 ◎対立するジレンマも書き出すことで両立する方法が見つけやすくなる

 ◎相手に一瞬で伝わるストーリーやネーミングもメモで考える

 

 

 ●● ピークパフォーマンス方程式 ●●

 ・自分の知識の中に組み込むメモをするという意識を持つこと

 ・メモするノートのトップページに、どのようなことをメモしたいと思うかを書いておく

  「活用したい情報」と「面白いと感じる情報」を、それぞれ5個~10個程度、ノートのトップ

  ページに書いておくといい。

 ・文頭にドット(・)を打って、一行程度でメモする 

 ・書いたメモの情報が自分にどんな気づきを与えたかを一言加えておく。気づきの中でとくに意識し

  てほしいのは抽象化したパターンを見つけること。共通のパターンを見つけ出す作業。

 ・現状⇒課題⇒打ち手の順番で書きすすめていく。1つのテーマをA4用紙1枚に書ききることが基

  本。アウトプットメモの字は自分が読めるギリギリの汚い字でOK。

 ・メモの取り方は「ノート3分法」。用紙を3分割にして、左から「現状」、「課題」、「打ち手」

  を書く。課題や打ち手を深く考える前に現状を書き出すこと。3分割の空欄をまず作ることで、現

  状を確認しないまま、問題解決を進めてしまうことを回避できる。