手紙

  東野 圭吾  投稿日:2015年 8月 5日(水)09時16分46秒
 
   当著との出会いは、確か行列の出来る法律相談所で・・大渕愛子が井上真央にオススメした本だったと記憶しているが、読後に感じるのは・・本当に素晴らしい作品であるということ。
久々に引き込まれてしまった。よくも同じ人間が、こんなストーリーを考えて作品に出来るものだと思う。

この本から、人はいつの間にか差別を・・結果的にしているということに気づかされた。
以下に、気になるフレーズを記しておく。

・その瞬間、有形無形の自分を支えているすべとのものが消失してしまうのを直貴は感じた。
・マドンナはまだ無名だった頃、成功しようと思って何をしたと思う? タクシーに乗って、「世界の中心に連れて行って」といったんだ。そこがニューヨークのタイムズスクエアだったんだよ」
・由美子は不承不承(ふしょうぶしょう)といった様子で頷いた。
・会社にとって重要なのは、その人物の人間性ではなく社会性なんだ。今の君は大きなものを失った状態だ。

・英国BBCテレビで、故ジョン・レノンを主人公とするドラマが制作されたことがある。そして主人公には風貌がジョンと酷似した無名の俳優が選ばれた。ところが、この決定はオノ・ヨーコにより覆された。理由は・・主役に選ばれた役者の本名だった。
 その名前が・・ジョン・レノンを殺害した犯人と同姓同名だったのだ。
・ジョンが暗殺されてほぼ一ヶ月後の朝日新聞に、ヨーコは意見広告を全紙大で載せた。長文の中に、次のような一節がある。「・・もし何か意義のある『仕返し』があるとすれば、それは、愛と信頼に基礎を置く社会に、まだ間に合ううちに方向転換させることだと思います」

・気がつけば、この小説に描かれている風景は、我々が住んでいるこの街にそっくりだ。有名な女優の息子が麻薬で逮捕されたというニュースを見たとき、無意識のうちに、我々はその女優に同情する。しかし、そう考えている自分を差別者だとは思っていないのだ。

◎9*11テロが起こった後、アメリカでは「イマジン」が放送自粛の目にあった。その理由は、「イマジン」が「国なんてないと想像してごらん。そうすれば、ありもしない国のために殺し合うこともないじゃないか」と歌っているからだ。テロへの報復を誓ったアメリカにとっては、戦意を喪失させるおそれをこの歌に感じたということらしい。
 イマジン≒対立や憎悪のないユートピア的な世界


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
人は本来、無我であるべきだた、無意識のうちに差別をしてしまっている。仏教の3毒、妬まない、怒らない、愚痴らないこと。
そして、無意識の差別に意識を向けることをしていこうと思う。