ゼロ秒思考

  赤羽 雄二  投稿日:2015年 2月 8日(日)06時27分53秒
  
  副題:頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

・考えを深め、心を整理する効果的な方法がある。誰にでも驚くほどの効果がある。それは、頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけだ。それだけで、最も基本的な「考える力」を鍛えられる。わずか3週間ほどでかなりの効果を体感できるはずだ。

◎頭に浮かぶイメージ、感覚を言葉にする
・あれこれよからぬことが浮かんでも、かまわず書く。「かまわず」というのは、人の名前も、欲望も憎しみも悔しさも、全部そのままかくという意味。
・全部はき出した後、不思議と少しだけ前向きになれる。
・綺麗に書こうとするから書けないだけで、順番も表現も気にしなければいくらでも書ける。人目を気にしなければなんでも書ける。特に嫌な気分の時は際限なく書ける。
・「なんだか気持ち悪い、気分が悪い」「どうとはいえないがむずむずする」などは、心の底にたまり、どんどん重くなる。それを言葉にし、遠慮なく書いてみることだ。モヤモヤを外に出してしまうことだ。
・不安が湧いてきても全部書き出す。かまわず全部書く。きれいにまとめようとせずに、そのまま言葉にして書き出していく。

◎言葉を自由に、的確に使うことを目指す
・多くの仕事は、一つひとつの会話、メールのやり取りの積み重ねにより進んでいく。
・問題が悪化するのは、過度の遠慮や躊躇によって対策が遅れ、早期に解決出来る問題・すれ違いが放置されるからだ。
・頭を使わない状況で成長することはない。考えて物事を整理し、問題点を解決していかなければ、気持ちも晴れることがない。
・イメージや感覚を言葉にしようとする回数を重ねていくと、意外に苦労せずに書いたり話たり出来るようになり、相手の気持ちを損ねずに伝えることが出来るようになる。

◎浅い思考、空回りの思考を避ける
・普通の人は、考えが浅く、空回りすることが多い。頭がいい悪いというよりは、考える訓練が殆ど出来ていないからだ。
・思考やディスカッションが空回りすると、時間ばかりかけても、考えが前に進まない。深まらない。したがって、表面的なありきたりの案で止まってしまう。
・日本では「深く考える訓練」「真剣に、本当に考える訓練」は、小学校から大学までほとんど行われてこなかったからだ。
・1日10ページのメモ書きを始めた人は、ウェイトトレーニング的な効果を数週間で実感出来る。トレーニングの結果、飛躍的に頭が整理され、的確な言葉使いが出来るようになる。そうやって強化出来る事であるのに、知らずに空回りの思考をしている人が殆どだ。
・トレーニング次第で、今より数倍深く考え、言葉の意味を的確に理解して使いこなすことが出来るようになる。

◎時間を掛ければ考えが深まるとは限らない
・重要な課題だから朝まで議論しようといったやり方を好む人が時々いる。仕事をした気分にはなるが、時間を掛ければ考えが深まるとは限らない。
・一人の仕事でも同様。特にデスクワークの大半は悩んだり、堂々巡りしたりで時間を浪費する。こうしようか、こう言ったら上司がどういうだろう等、悩みは尽きない。それを上司や先輩が助けてくれる事はあまりない。当然アウトプットの質が急に上がる筈もない。
・これは会社だけでなく、自分にとっても大変な損失だ。成長しなければ人生は本当の意味で楽しくない。

◎出来る人、優れた経営者は即断即決
・一部の人は、高速で動き大きな成果を出すが、殆どの人は延々と時間を掛ける。しかも、急いでも急がなくても思ったように考えが深まらない。時間を2倍かけると2倍よい内容を考え出せるかというと、まずそんなことはない。
・こういう差が生まれる理由は、訓練の欠如だ。「考える」という基本作業に関しては殆どトレーニングされない。
・もう一つは生産性という概念の欠如だ。製造現場の生産性向上にはどんな会社でも取り組むが、企画書報告書作成、メールのやり取りなどのデスクワークに対しては、生産性という概念があまり広まっていない。
・多くの人にとって、考える時間の長さとアウトプットの量・成果は殆ど比例しない。早い人は吃驚するほど速く、遅い人は許し難いほど遅い。
・優れたリーダーが即断即決出来る理由は、普段からその問題について考え続けているから。別の言い方をすると、どんなことに対しても「これはこうかな」という仮説を立てている。あるいは立てることが直ぐ出来る。
・想像と違うことはよくあることなので、直ぐ仮説を修正することが大事。

◎究極はゼロ秒思考
・もやもやした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになると、生産性は数倍~数十倍上がる
・そもそも人類が逡巡するような動物だったら、生存競争に負け、とっくに絶滅している。
・人間にはもともと素晴らしい判断力、思考力とそれに基づく行動力があるが、複合的な影響で折角の能力に蓋をし、退化させているのではないか。

◎ゼロ秒思考と情報収集
・情報が不足していれば最小限の調査・情報収集が必要となる。
・問題は、大半の人が調べ過ぎてしまうことにある。本を読んだり、過去ログをくまなく読んだり、何週間も延々と調べる。むしろ、情報収集にかまけるあまり判断が遅れて傷口が広がり、効果的な対策が打てなくなることの方が多い。
・素早く意思決定をする上で、どの程度情報収集すればいいか分からないのであれば、「今考えている課題、問題点の仮説に対して、取りうる解決案を三つあげる。それらのメリット・ディメリットを書き上げて目星をつけてから情報収集を始めると良い。
・或いは、「情報収集をしなくても、どうすべきか本当はある程度想像できている」筈。判断を先延ばししようとする。いやな判断を先延ばしにするために情報収集を延々と続けるのではないかと思われる程だ。
・もっと情報が欲しい、今のままだと不完全だと言いたい気持ちをこらえて、大胆に仮設を出す癖をつけることだ。
・難しそうだが、本当にやらなければならないことに素早く取り組むという達成感、進捗感から、ストレスはむしろ小さくなる。
・情報収集を重視して結果として手遅れになるより余程良いという気持ちが鍵だ。
・素早く情報収集をし、全体像を考え、代替え案を立案し、比較検討し、決定後は協力に推進する。

◎ゼロ秒思考はメモ書きで身につける
・メモを書くと素直にものを考えられるようになる。
・頭に浮かぶ疑問、アイデアを即座に書き留めることで、頭がどんどん動くようになり、気持ちも整理さ
 れうようになる。自意識に囚われ悩むことがなくなっていく。
・メモ書きにより、誰でも、この境地にかなり早く到達出来る。自分でも驚くほど頭の回転が早くなる。
・A4用紙を横置きし、1件1ページで、4~6行、各行20~30字、1ページ1分以内、毎日10ぺージ書く。行の始めはダッシュ「―」で始める。
・「メモ書き」は、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。時間はわずか10分だ。頭や感情の整理に即効性がある。
・メモ書きを3週間から1ヶ月続けると、頭にどんどん言葉が浮かぶようになる。
・さらに数ヶ月続けると、瞬間的に全体像が見えるようになり、「ゼロ秒思考」に近づいていく。

◎メモ書きの効能
・メモに書くことで、頭がすっきりする。メモが外部メモリになる。そうすると、驚くほど頭の働きが良くなる。コミュニケーションがスムーズになる。
・人間の頭は心と切り離せないため、心が乱れると頭がうまく働かないのだ。メモに書くとそれだけ悩みが減っていく。頭がスッキリと整理され回転がよくなっていくことが誰でも実感出来る。
・今心配しても仕方がない心配事、なんとなく気になっている懸案事項などが整理され、本当に大事なことが見えてくる。目をつぶろうとしてきたこと、考えないようにしてきたこと、でも実際は非常に気になっていたことがはっきり見えてくる。
・メモ書きによって、人間が生来持つ自信とポジティブさが自然に出てくる。
・腹がたった時、気分が悪い時は、それを全部メモに書き出すとすごく楽になる。相手の名前はストレートに書く。どこからどう見ても相手が悪い場合でも、相手が何故そうするのかを15ページほどメモに書くと、やむにやまれない相手の状況などが想像され、腹が立ちにくくなってくるし、対処方が見えてくる。
・頭が常に整理されているので、感情に流される事が減る。全体像が見えるので今何をやるべきか、次は何に対して準備しておくべきかがハッキリと見え、仕事のスケールが大きくなっていく。

◎タイトルの書き方
・タイトルは何でもよい。頭にうかんだまま躊躇せずに書く。むずかしく考えてはいけない。頭に浮かんだフレーズをそのままA4用紙の左上にさっと書いてしまう。
・疑問形でも「~する方法」といった表現でも、どちらでも構わない。疑問形の方がやや書きやすい。

◎本文の書き方
・メモは、タイトル、4~6行の本文(各行20~30文字)、日付の全てを一分以内に書く。頭に浮かぶまま、余計なことを考えずに書く。感じたまま書く。難しいことは何も考えない。構成も考えない。言葉も選ばず、ふと浮かんだままだ。
・最初は時計を見ながら一分がどれくらいの長さなのか、どのくらい急がないといけないのか理解する。各行はダッシュ(―)で始め、左に寄せて書いていく。
・不思議なことに、ただ書きなぐっているだけで、自然に起承転結になったり、わかりやすい順序に書けるようになる。沢山書いているだけで自然に出来るようになる、というところがミソ。
・メモ書きは「格好つけなくていい。頭に浮かんだまま吐き出せばいい」というメッセージを毎日10回以上自分に言い聞かせ続ける効果がある。

◎思いついたことはとにかく何でも書く
・メモには具体的に何を書くのか?
・思いついたこと、気になること、疑問点、次にやるべきこと、自分の成長課題、腹が立って許せない事など、頭に浮かんだことは何でも書く。あたまに浮かんだそのまま、フレーズを書き留める。
・全て具体的に書けば書くほど、焦点がブレずに書ける。遠慮は禁物だ。ストレートに書くことで、ゴミを部屋の外に出すようにスッキリする。
・A4用紙に1ページ1件で、しかも一分でその嫌なことを書き出していくと、その度に消しゴムで本当に消していくように、心の傷が少しずつ改善していく。心の悩み・痛みが減っていく。心の中の汚泥が外に出て行く感じだ。

◎メモは深堀りすると更に効果的
・芋づる式にメモを書いていくと、考えが一気に深まっていく。色々なことが見え、新たな発見が相次ぎ何もかも楽しくなっていく。
・一つのタイトルを深堀すると、あっという間に難しい問題が小分けにされ、分解して整理でき、同時に全体像が頭に入るという大きなメリットが期待出来る。

◎1つのテーマを多面的に書く
・多面的にメモを書くと、相手の立場でものを考えることが出来るので、相手の見方、行動の理由が書く前に比べて理解しやすくなる。相手のことが理解出来るようになると、当然、腹が立たなくなる。
・メモは深堀にせよ、多面的な書き方にせよ、調子が出た時は、1日10ページに制限することなく、どんどん書き続けるのが良い。
・意気消沈している時は、深掘りにしろ、多面的な書き方にしろ、20分くらいメモに吐き出していくと、とてもスッキリする。

◎メモから企画書をまとめる
・まずは、頭に浮かぶアイデアを1件1ページで片っ端から書いていく。
・書いたら一度全部の紙を大きな机の上に並べると良い。
・それを眺め、他のアイデアが生まれたらそれを直ぐ書く。20分~30分、数十ページも書けばだいたい出尽くした感じになる。
・その中で一番よさそうな案に仮決めする。あれこれ悩まない。

・この企画では、誰を狙うのか、企画のねらいは何か、企画はどう実現するのか、どの程度の日程で出来そうか・やるべきか、費用はどれくらいかかるか、どういうチームで取り組むべきかを1件1頁で書き出していく。
・ポイントは考えずにかくこと。感じるまま、頭に浮かぶまま、瞬時に書き留めていく。構造や、起承転結等一切気にする必要がない。そういった制約がないと、誰でも発想が何倍も豊かになる。人間が本来持つ想像力、発想力、創造力が活かされる。
・「考えずに」というのは、難しく考えず、頭に浮かぶ事をそのまま書き留める、ということ。人は考えよう、考えようとするあまりに、素早く、深く考えることができにくくなっている。格好良いことを言おうとして、実際は固まってしまう。それを徹底的に取り除く。浮かんだことを次から次に、メ
 モに吐き出していく。
・意識してやっていると、ある種のトランス状態というか、必ず次々にアイデアが湧く状況になる。構成を考えたり、構造化しようとする努力で頭を鈍らせることを全力でさけるのだ。
・上司になったつもりで、顧客になったつもりで何度も何度もなぞり、想像し、修正していく。
・骨子が出来たら初めてパワーポイントの出番。元のメモは記録としてホッチキスで留めて一応保存するが読み直す必要はない。
・企画書を一旦仕上げたら、少なくとも1日はそのまま放置する。その後、「ここが分かりづらい」等気づきも生まれるので修正する。そしてまた放置する。

◎メモのその後
・メモは一々見直さなくても空で書き続けることで、頭は急激によくなっていく。回転するようになる。但し、自分の成長過程を確認する為にも、3ヶ月に一度さっと見るのが良い。新しいメモがフォルダの上になっているので、フォルダごとに逆順にそろえ、一番古いものを上にして、日付順に並べ替える。
 数分で出来る。その上で数分で流し読みをするだけ。それで十分。それを一覧するとものすごい達成感がある。
・更に3ヶ月後にもう一度見直す。メモを書いてから6ヶ月後にまた追加されたメモを整理し、前回読み返した部分をもう一度だけ見直す。そうすると、大半がしっかり頭に入ってくることに驚く。
・振り返ることで、何に悩んでいた、どうしようと決めた等が全て分かる。それ以降は不要。


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
・今日の時点で6日間実行した。モヤモヤが確かにスッキリするから、スト
  レスがへっている。また何より効果的と感じるのは業者との会話の中での
  判断スピードが上がっていること、言葉がなめらかに出てくる事など、効
  果覿面である。
・これから、3週間、1ヶ月、半年後が楽しみである。
・自分の潜在能力に期待して、継続していこうと思う。