どうしてくれる!店長1万人のクレーム対応術

  外食相談研究会  投稿日:2014年 1月19日(日)06時11分36秒
  


 
<クレーム早期解決のコツ>
◎クレーム対応は「共感」が大切
・2次クレームが発生するのは、どこかで「対応が面倒」と思ってい
  る店側の「ホンネ」を悟られるから。
・解決のプロセスは、①何に起こっているのか聞き出す ②怒らせた
  ことがらについて謝罪する ③店側の対応に納得してもらう ④ク
  レームを「文句」ではなく貴重な意見と考えお礼の気持ちを伝え
  る。 (話す:聞く = 1対9 でいい)

◎電話でのクレーム対応
 ①共感する態度 10%、②詳しく聞く 60%、③「しかるべき
  者から、改めてご連絡いたします」など、解決策を提案する、④
 「至らない点をよく指摘してくださいました」等と感謝の気持ちを伝
  える

・絶対タブーは、他人事のような口調で話すこと。「はい」「ええ」
  などを3回連続で使わない。「そんなことがあったんですか」「お
  詫びのことばもございません」「本当になんと言っていいのか」な
  ど、バリエーションが豊富な方が、真剣に聞いているという印象を
  与える。
・クレーム対応時は相手の目だけを見て話しをしなければならない。
・クレームで要望を聞く時は急ぎすぎると怒らせてしまう。忙しいの
  は店の都合で、怒っているお客様には関係のない事と、自覚するこ
 と。
・「おっしゃる通り」「ご指摘の通り」など、相手を肯定することば
 を出来るだけ使う。

◎自宅まで謝りに来いと言われたら・・
・先ず服装、スーツにネクタイが望ましい。不在の場合は、メッセー
 ジを名刺の裏に書いて、ポストに入れて帰る。在宅の場合は、玄関
 前で応対し、可能な限り中に入らない。
・身の危険を感じる相手の時は、第三者の目があるファミレス等で面
 会する。事前に近くの交番に立ち寄り、事情を伝えておくと安心出
 来る。

◎異物混入等の対応
・スタンダードの商品が提供出来なかったクレームについては代金を
 受取るべきではない。毛髪混入などの場合は、「スタッフの1人が帽
 子をかぶり忘れていました」など事の経緯を説明し、「私の教育が
 不十分でした」と責任を認め、謝罪の言葉を伝える。その上で「直
 ぐ作り直します」といった対案を示し、納得していただく、その一
 連の過程が謝るということ。

◎本人を連れて来て謝らせろの対応
・お客様の目の前で、アルバイトを怒鳴りつけ、さらに「全部私の責
 任です」と言って謝る。アルバイトには事前に「今から怒鳴りつけ
 るから」と知らせておき対応する。
◎電話口で怒鳴ったり、暴言を吐く場合
・「怖くて震えております」と伝える。その一言で「言いすぎた」と
 感じ、冷静になる場合が多い。なお、繰り返してくる相手には「怖
 いです」と3回以上、ハッキリ伝える。その事実が、警察に助けを
 求めたときに、動きやすくする。

◎多大な迷惑をかけたときの言葉
・「代金は結構です」では、人を馬鹿にしていると取る方もいる、余
 計に頭にくるという意見も多いので、「本日のお食事代は頂けませ
 ん」と伝えること。

<法律面から考えるクレーム対応>
◎強要
・何回も明確に拒否しているのに、相手を脅して正当な理由もなく同
 じことを要求し続けるのは「強要」であり、脅し文句を録音してお
 けば警察も動きやすい。
◎不法侵入
・相手が来た段階で、精神的な苦痛をうけていることを告げ、「もう
 これ以上来ないで下さい」と入店拒否の意思を示しておく。それ以
 降、店内に入ってくることは、「不法侵入」となる。

・クレーマーに対して妥協すべきでない理由が2つある。1つはお客
 様は皆平等に扱うべき、もう一つはクレーマーの要求に応じれば、
 他店でも繰り返し、業界全体に迷惑となる。
・非常事態で、クレーマーに脅されて、身の危険を感じて結んだ契約
 は守る必要がない。しかし、書面で契約を交わした場合は、脅され
 ていたことを証明するのが難しい場合もある

◎料理を食べてから体調がおかしくなった。慰謝料を払え!に応じる
 か?
・食事と体調不良の間に因果関係があることが証明できない限り、損
 倍賠償に応じる必要はない。
◎レシートがないけど金払え!
・「買った」「食べた」という証明はお客様の側がすることになって
 いるので、要求に応じる必要はない。
・従業員が身の危険を感じるなら、躊躇なく警察に相談すべき。何故
 なら、警察は困っている人の話しを必ず聞かなければならないと定
 められているから。

◎忘れ物を預かったら法的責任が生まれる
・お客様がトイレに行くために席を外した間に、席においてえいた貴
 重品が盗まれた場合、店舗には原則として責任はない。
・店で預かっていた場合は、相応の損害賠償をしなければならない。
 何故なら、預かった瞬間から、店には「事務管理」と呼ばれる民法
 上の義務が発生し、預かった忘れ物は委任契約を受けた場合と同様
 の注意をもって保管しなければならないから。

◎財布のお金が減っている!
・1万円減っているから弁償しろ。これが裁判になった場合、店がい
 つ財布を見つけて、誰(複数が望ましい)が金額を確認したかなど
 をメモしてきちんと記録を残しておかないと、裁判で負けてしまう
 可能性があるので、注意が必要。
・財布の中に入っていた金額を立証するのは、所有者であるお客様の
 責任だが、何時に何支店のATMでいくらお金を引き出し、その後にど
 の店でいくら使ったので財布の中には3万円入っていた筈だ、という
 レベルの説明ができれば良い。一方、店にはその主張に反論しなけ
 ればならないため、中身の確認を複数名で行い、記録に残すことが
 必要。

◎迷惑客への最後の手段「入店拒否」
・他のお客様に迷惑を欠けるなど、店側にとって、「やむを得ない理
 由があれば」そのお客様の入店は拒否出来る。つまり、店側にも
 「お客様を選ぶ権利」があるのだ。
・但し、入店拒否理由には、誰もが納得する合理性が必要。無理難題
 を言って困らせるクレーマーは、従業員の仕事を妨害して店側に経
 済的な損失を与えているのだから、入店拒否は理にかなっている。
★2ちゃんねる等の匿名掲示板の風評で営業にダメージが出たという
 話はない。

◎入店拒否の正しいやりかた
・理由を明確に説明するが、プライドを傷つけないよう言い方には気
 をつける。
・トラブルになったときの「証人」が必要なので、複数名で対応す
 る。

◎お金を支払う法的根拠は「債務不履行」と「不法行為」
◎料理にゴキブリが入っていた。慰謝料を払うべきか?
・料理代金の返金、病院に行かれた費用の実費は払うべきだが、実害
 がなければ慰謝料を払う必要はない。誠心誠意のお詫びは必要。

◎店内の床が濡れて滑りやすくなっていたので転倒。体中が痛むと連
 絡してきた。
・店側には「過失」がある。お客様の不注意など「過失相殺」をした
 上で、損害を賠償する必要がある。

・債務不履行とは、契約を守らなかったこと。つまりスタンダードを
 逸脱した商品(異物混入等
★店側がお客様の損害を賠償する場合の法的根拠は民法。具体的には
 「債務不履行」と「不法行為」の2つの要因による。は債務不履行
 となり、代金を返金する必要がある。但し、作り直して提供した分
 は頂いて良い
・不法行為とは、他人の権利・利益を侵害する行為。①故意・過失が
 あること、②損害が発生していること(たら・れば・・ではダメ)
 ③因果関係があることなどの「要件」を満たす必要がある。

◎お客様が大怪我をしたら
・店内で転倒して骨折した場合、症状固定後に、怪我と老化を分けて骨折による影響はここまでと医者に診断してもらう必要がある。
・店側には店内を安全な状態に保つよう配慮する義務「安全配慮義務」がある。配慮をすれば、万が一事故が起きた時の責任も軽減出来る。

<トラブル別クレームの解決法>
①異物混入対策のイロハ
・異物混入クレームがあったときは、その料理と異物を回収することが大前提
・対応方法は、①詫びて下げる ②作り直すか、食欲を失っているなら返金する ③店長がお詫にいく ④お客様が帰る時にも詫びる

・「何かサービスしてくれ」と言われても、応じているとゴネれば何か貰えると思われるので当社では何もしないときめておくこと。
・原因の説明を求められるお客様は不安だから聞いてくる。よって、出来るだけ分かりやすく説明すること。
◎異物を飲み込んだので病院で診察、治療を受けると言われたら、医者に同行して診断結果を確認すべき。何故なら、医者の中には言われるままに診断書を作ったりする人もいるから。それにより休業補償狙いの入院や、ずさんな診断書作成を阻止できる。

②衣服汚損
・お客様の服を汚したら、①白の清潔なタオルを持って駆けつける(以前はカウンターにビニルにいれて置いていた)②「お怪我はありませんか」と必ずいたわりの言葉をかける③丁寧に汚れを取る④時間がかかるようなら、一度事務所に移っていただく。

・衣類にシミが残りそうな場合は⇒状況や意向次第で、自宅まで同行して衣類を預かり、クリーニング仕上がり後にお届けするか、スーツ上下で2000円など、会社で決めたクリーニング代金をお渡しする。
・お客様が急ぎで着替えを必要とするなど、代わりを購入していただく場合は、汚れた衣類はお預かりして、クリーニング後に購入品と交換する。

◎クリーニングをしたが、「高額な商品だ。誠意をみせろ」と言われた場合
・原状回復に必要な金額以上の補償はすべきではない。
 着古した服は、大幅に価値が下がる(年1割減)ことを前提に補償金額を話し合う。買い替えなら、汚損した衣類は回収するのがルール。

◎「バッグに染み付いた臭いが取れないので、新品に買い替えてほしい」と言われた場合
・その費用を支払う必要はない。何故なら、「臭い」が酷いのでバッグをもう使えない、ということではないから。
・但し、クリーニング業者や修理業者が、「臭いが取れず、もう使えない」と認めた場合(全損認定)は、そのバッグの現在価値(新品購入価格から使用による減価を差し引いた中古品としての価格)に相当する金額を支払うことになる。⇒先ずは損保の代理店と相談する。

・大手では食中毒対策の為、「HACCP」と呼ばれる衛生管理の手法を取り入れている場合が多い。簡単に言うと、食材の貯蔵から調理まで全作業工程を細かく記録、保管し、常に検証し続けることで、食中毒が発生するリスクを抑えるというもの。

◎「下痢になったらどうする?」と言われた場合
・「当店の料理が原因と判明したら、病院で掛かった費用は負担します」ということを最初につたえれば良い。
・店側に支払う義務が生じるのは、因果関係が判明した場合(保健所が食中毒と判断した場合)のみ

◎衣服汚損はエスカレートしがち
・衣服汚損の場合汚れた服を元通りにする所までが店の責任で、元通りにした上で新品を買う必要はない。
・このケースでは、修理に出した業者の連絡先や送り状を確認させて貰うが、必要な情報を教えて貰えないなら、その後の交渉を続ける必要はない。

◎クレーム対応に失敗しない為のポイント
・自分の身に起きたことと考えて対応する(共感)
・クレームはお店の欠点を指摘して頂き、それを直す為の絶好のチャンスと考えて対応する。
・異物混入の場合、作り直すか、代金を返金するかはお客様の気持ちしだい。
・先ずは体調を気遣うこと。話を十分に聞くまえに返金等の提案をしてはいけない。
・口に入って困るものは、店に置かない。
・衣服汚損が女性の場合は女性のスタッフが対応する。店長の場合は白いタオルを渡して拭いて貰う
・衣服や所持品を汚した場合、金銭的補償は元の状態に戻すのに必要な費用まで。着替えを近くで購入された場合は、汚れた衣服を預かり、クリーニング後に交換させてもらう。

◆有症苦情を訴える場合の対応
①体調を気遣う ②5w2hで確認する ③他に同じような苦情がないか確認する④有症苦情があったことを保健所に報告する

◆お釣りが足りないというクレームの場合
・まずはお客様の悔しい気持ちは、よく理解出来ることを伝える。(共感)
・当店では過不足が1日当たり、数十円から数百円程度生じることが少なくないことを伝え、つり銭の額を間違えることも有り得ると正直に認める。
・その上で、当日のレジの記録を詳細に伝え、「数千円もの間違いをしたとは考えにくく、返金には応じられない」ことを伝える。
・そして、ご希望ならレジのレジの記録を全てお見せしますと伝える。⇒通常は、これで納得していただける。

◆店内でお客様が喧嘩した場合
・店側に非がない場合は、お客様自身で解決してもらうのが原則。当事者間の話し合いには立ち入るべきではない。

・お客様が、他のお客様の服を汚して、そのまま店を出て行った場合どうするか?
⇒原則は当事者間の問題。お見舞いの意味で何らかの負担を申し出てもいい。但し、最大でもクリーニング代の実費まで
・未成年者の喫煙は徹底的に排除する。暴走族が相手の場合、警察との連係も必要だが、初期の段階での対応を怠ると、不良少年のたまり場になり、一般のお客様が遠ざかるので注意が必要。
・大声で騒ぐグループ客など、周囲に迷惑を掛けるお客様には、できるだけ早く対応すること。迷惑なお客様は店員の目が行き届いてない店にあつまるから。

◆隣の住民に出て行けと言われたら?
・抗議を受けた以上、やるべきをやろうとダクト清掃等をしたが、クレームが収まらなかった。理解が得られないので、クレーム対応を打ち切ることにした。理由が2つある。
 1つはダクト清掃など、出来ることは全てやったと自負があった。
 もう1つは、周辺住民とはいえ、大多数の住民からは苦情を頂いていない。そこに店があることを知っていて引っ越してきたのなら、飲食店から世間で許容される程度のニオイがすることを知った上で入居したとも言えるわけで「店の営業を停止しろ」とまで言われる必要はない。

◆ゴキブリ対策
・ゴキブリも夏は暑いし、冬は寒い。よって冬場は厨房機器の裏や下を、夏は冷蔵庫や製氷機など水があるところを重点的に綺麗にするとよい。
・飲食店に多いチャバネゴキブリは寒さに弱いので、冬場は閉店後に換気扇を回しておくだけでも、その数が減る。

◆接客の底上げ策
・もっとも簡単なのは、店で一番優秀な人の真似をしてもらうこと。

<クレーマーの撃退法・困ったお客への対処法>
◆悪質なクレーマーに脅されたら
・有利な場所で、相手より多い人数で対応する
・どうしても相手の事務所、自宅などに出向かざるをえない場合は、事前に所轄の警察署を訪ねて、凶悪半を担当する刑事に話をしておくと、心理的負担が軽減される。

◎その場で回答しない
・「社内で協議し、弁護士の先生とも相談した上で、書面で回答させていただきます」
・結論を急かし冷静さを失わせ、有利な条件を引き出すのは、悪質クレーマーの常套手段。相手のペースに乗ってその場で結論を出してはいけない。

◎詐欺師たちの攻撃パターン(5段階に分かれている)
1、ミスを指摘する 2、脅す 3、慌てさせる
・すぐに店を出ないと出張に間に合わないから「今きめろ」など、上司と相談させず、その場で1人で考えるように追い込んでくる。
4、「今なら許す」という
・「今、ここで誠意を示せば、許してやる」とそれとなく金品を要求してくる。詐欺師が要求する金額は、すぐに支払えるポケットマネー程度のケースが多い。
5、安心感を与える
・「お前の決断で店は救われた。」などと、今度は持ち上げる。「許してもらえてよかった」と騙されたことに気づかない人も多い。
⇒詐欺師は、脅して、慌てさせ、今なら許すのパターンで来る。絶対にその場で解決しないこと。

・相手の要求に対して出来ること、出来ないことを最初の段階でハッキリ示すこと。
・相手が黙っている時は、話しかけない方が良い場合もある。5分でも10分でも待つ。沈黙も交渉の武器になり、こちらのペースを見出そうとする相手の心理的な揺さぶりを遮断する効果がある。

・クレーマーに非を認めさせるのは不可能。言うべきことを伝えたら、タイミングをみて対応を打ち切るしかない。それは「また来て欲しいと思えなくなったら、対応を打ち切って良い」。
・現場のスタッフが「お客じゃない」と感じたら関係修復の努力は無駄だし、来られても困るから。

◎クレーマーが金品を要求する決まり文句は「誠意を示せ」だったが、最近は「(休業)保証しろ」「気持ちが伝わらない」というのが多い。

◎「おれの事をクレーマーだと思っているだろう?」と質問してきたら。
・答える意味がないので、答えない。直接会っているなら、「これで引き取らせていただきます」電話なら「これ以上の対応は出来ません」と告げて交渉を終了させること。

◎「石が入っていて歯を痛めた。50万円払え」と言われた場合
・先ず、診断書は判断材料の一つでしかないということ。
・診断書には店側に非があるか否かは書かれていない。非があるか否かは総合的に判断していくもの。

◎医者と面談するための「同意書」の書き方
・火傷をさせてしまった場合等、医師に会って、お客様の症状を直接、確認すべき場合がある。診断内容は個人情報なので、お客様の許可を「同意書」という形でとらなければ、教えてもらえない。
・通常、損保が「同意書」の雛形を持っている。大手はあらかじめ用意している。

◎短時間で解決させるコツはあるか
・短時間で解決しようと思わないことがコツ。
・衣服汚損等の対応では、「もっと誠意をみせろ」「時間を返せ」と無理難題を言ってくる場合があるが、応じていてはキリがない。「これ以上は対応できません」とハッキリお伝えすることも必要。

◎忘れ物保管
・管理ルールを徹底する。複数で確認することが大切。従業員の不正防止にも繋がる。


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
・レシートがないけど金払え!「食べた」証明はお客様の側。応じる必要はない。
・損害賠償をする場合の法的根拠は民法で「債務不履行」と「不法行為」だけ。
・詐欺師は、脅して、慌てさせ、今なら許すのパターンで来る。その場で解決しないこと