現実を視よ

  柳井 正  投稿日:2013年 6月29日(土)23時15分3秒
 
  当著との出会いは、古市幸雄氏の推薦であったが、非常に為になった。
以下に、気になるフレーズを列記しておく。

①今やアジアはゴールドラッシュ
・日本のバブルがはじけて20年間、日本だけが全く成長していない。
・約40兆円の税収で90兆円以上を支出する国家会計は、誰がどう考えてもおかしい。ギリシャ危機と構図は全く同じである。国際金融市場が我が国に見切りをつけ、日本国際が売り浴びせられたら、ギリシャ危機は日本にとって現実のものとなる。
・国民の意識と行動が変わらなければ、xデーは早ければ3年以内に訪れる。
・凄まじい発展を遂げるアジア諸国の中で、日本だけが取り残されている事実をしらなければならない。
・アジアでゴールドラッシュが起こっている最大要因は、40億の人口。欧米諸国は全体で8億人だから、5倍の人々がアジアにひしめいている。あたゆるチャンスが欧米の5倍存在している。

・ユニクロでは国内店舗でも、一人でも外国人が加わったコミュニケーションは英語で行うルールになっている。5年以内に本部社員の半数は外国人にする。英語が出来なければ会議にも参加出来ない。英語は、必要な運転免許のようなものだ。
・ユニクロの就業時間は7時~16時。退社したあとの時間を、英語の習得など自己研鑽に利用してもらうようにするためだ。

②資本主義の精神を忘れた日本人
・日本人は自分達は上の上だと勘違いしているが、20年前に金持ちだった日本は、いまではせいぜい中の下なのだ。
・このままいけば日本人が、厳しい現実をいやでも認めなければならなくなる日は、あっと言う間にやってくる。
・今必要なのは、現実を直視すること。今の日本人は、自分達の仕事があるからこそ、日々の仕事や社会が支えられている、との自覚をいったい、どこまでもっているだろうか。

・日本は、国民が経済成長をめざしてあくせく働く代わりに、国家が目下の状況をなるべく維持する、痛みを伴わないやり方をとった。
・今のドル=円レートは適正値ではない。日本国際が売り浴びせられれば、1ドル=160円位まで円安が進むかもしれない。そうなれば、グローバルレベルで、今400万円の日本人の平均年収は、一気に200万円代になる。
・為替レートが正常化したら、日本は一気に世界の中で「貧しい国」へと転がり落ちる。

・海外のホワイトカラー層が会社から受取る報酬は、あくまで自分の技術にたいする価値。会社に所属しているから給料が貰えるとは、微塵も思っていない。
・人間の成長は失敗から生まれる。失敗し、いろいろと学び、再び挑戦する。これが成長のサイクルである。

③政治家が国を滅ぼす日
・日本の公的年金制度は、実質的には破綻している。
・日本の法人税の実行税率は36%で、アメリカと並び世界一高い。
・厚生労働省がハローワークの窓口を全国の大学に設置する方針を固めた。これは2012年3月に卒業した大学生の就職内定率が約80%と数字が低すぎるからとのこと。しかし、中国や韓国にいけば80%の内定率は吃驚するほど高い。中国は72%、韓国は50%台であり若者の就職難が深刻化している。
 だからこそ、皆必死で勉強して自分を磨くのだ。

④あなたが変われば、未来も変わる
◎自分が変わらなければ、自分の未来は絶対に変えられない。
★JFケネディの大統領就任式での有名な言葉。
 Ask not what your country can do for you
 ask what you can do for your country.
 国があなたの為に何が出来るかではなく、
 あなたが国の為に何が出来るか、問いかけて下さい。

・何をどうすればいいかは、自分で答えを出す。それが自立した人間。そうした人間達が集まって、強い国が出来上がる。

◎不振の責めを経営者だけに負わせるのは間違い。その責めは経営幹部全員、あるいは社員ひとり一人にある。社員ひとり一人がプロ意識に徹して、実績で勝負し、勝つ経営をめざす燃える集団でなければならない。
・企業は常に競争を続けている。変化や挑戦を避けることは、その時点で負けを意味する。

★人の一生とは、自分の志を遂げるためにある。日本中の人に言いたい。『志をもって生きよ』と日本人が必要としているのは、まさにこれではないか。
・ひとり一人が志高く毎日を真剣に生きないかぎり、未来も変わらない。

・日本有数の会社経営者曰く。最近になってようやく気付いたことがある。『起こっていることは全て正しい』ということ。自分に不都合な事であっても、目の前の事実を躊躇なく受け入れる事「世間は正しい」と常に思え、ということ。

・韓国製品が売れないのは、日本市場だけ。先進国、新興国を問わず、世界では凄まじい勢いでシェアを奪われている。売れる商品とは、国や地域に関係なく、世界中でこでも同じ。これが苦闘しながらグローバル化を進める中で掴んだ、一つの真実である。
◎アジアでは、今後10年で約13億人の中間層が生まれ、世界の消費社会の中心は欧米からアジアへ完全に移る。

・経営環境は一定ではない。勝利の法定式という言葉は大嘘である。商売において絶対必要なのは現場に立って感じる直感や肌感覚である。現場を見ることもなく理論ばかりを信奉すれば必ず失敗する。経営者は、常にゼロベースでいなければならないのだ。
・挑戦には、自信と勝算が不可欠。情熱は必要だが、根拠のない精神論はいらない。

・人生の主役は自分自身。自分のなかにどれほどの可能性が詰まっているか、試してみなければわからない。

⑤2030年・私が夢見る理想の日本
・柳井正氏は読書好き。本との対話を通し、自らの世界観、人間感を少しずつ、血肉化している。
・松下幸之助氏は85歳で松下政経塾を開塾した。
・40兆円程度の税収で90兆円以上の支出をしている異常な国家財政を改めるには、発想を根本から変える必要がある。無駄の最たるものは公務員の人件費だ。公務員が民間よりも高い給料を貰い続けている状況は、おかしい。
・日本の財政赤字がここまで膨らんだ理由は、政治家や官僚の裁量で、税金が恣意的に使われる不合理が止まらないから。
・コンピューターで処理出来ることを、わざわざ高い人件費を払って人間にやらせる必要はない。

★誰かが変えてくれるだろう。そう思っているうちはいつまで経っても何も変わらない。自分は何が出来るかを考える。当事者になる。そして実行する事が必要。


●● ピークパフォーマンス法定式 ●●
★JFケネディの大統領就任式での有名な言葉。
 Ask not what your country can do for you
 ask what you can do for your country.
 国があなたの為に何が出来るかではなく、
 あなたが国の為に何が出来るか、問いかけて下さい。
★誰かが変えてくれるだろう。そう思っているうちはいつまで経っても何も変わらない。自分は何が出来るかを考える。当事者になる。そして実行する事が必要。