21世紀のチェーンストア

  渥美 俊一  投稿日:2011年12月24日(土)10時28分31秒
 
  ◎標準化とは・・
①最良の方式を発見し、②関係者に教育し、③その通りに実行できる状態を作り上げること(ここまでが規格化)。そして④予め想定した期間が過ぎたら、その規格を改善・修正し、⑤さきの①からを繰り返すことで、例外の発生をなくしていく、という過程をまとめて表現する言葉である。

◎商業の復権
・16世紀には、織田信長が楽市楽座を推奨し、自由市場を拡大した。江戸時代には、豪商が登場。明治にならい欧米から100年遅れて産業革命が開幕した。

◎豊かさとは・・
・アメリカに初めて行った視察者は、当初は必ず、「アメリカの店舗の品揃えは貧弱だ」と見る。チェーンストアが100年かけて積み上げた、暮らしの豊かさが、地球上で初めて最初に実現されているというのに。。
・日本では、日常用品をTPOSごとに使い分けができず、普段のライフスタイルの種類があまりにも少ない現状なのだ。
・現代における暮らしの豊かさは、全国どこでも、毎日のように、その豊かさが味わえる事

◎貧しさの事例
・ルイ・ヴィトンをもってパーティー会場に行くのが日本の女性だが、このブランドは本来旅行用品である。日本では高額なものは、何でも「よそいき」という考え方が定着しているからの間違いである。
・もともと衣料品が高すぎるから、単品買いとなるが、アメリカでは婦人もので上下で4千円弱までで7割が買われている。一度に上下を揃えて変えるのである。ファッションは長持ちさせる必要がない。安い方が優先なのである。
・日本では、使わない衣料を誰もがいっぱい持っている。流行が過ぎたので着られないが、高価だったから捨てられないのだ。
・欧米で実現されている豊かな日常の暮らしを知らないままに、文明人になったつもりでこの世にさよならとなる。

◎豊かさの大衆化
・大衆化とは、一挙に国民の大部分、およそ8割が平等な暮らしの豊かさを享受できる状態にすることである。
・大事な事は、たまにはりきって何かをすること、ではなくて、毎日のように、普段にそれが出来ることなのだ。
・日常生活が充実して、初めて本当の生活水準の向上なのである。たまに料亭で贅沢な料理を食べる、わびしい住居の中に一枚だけ本物の絵があるというのは、珍奇であり、まるきり豊かさとは無関係な話だ。

◆上記のような日常を実現することを、生活民主主義の実現といい、そうなっていない日本をおかしいと思い、その状態をあるべき形へと変革するために、商業活動として、チェーンストア産業づくりをするのだ。
・チェーンストアの世界では、活動目的を「経済民主主義の実現」と規定しているが、この経済民主主義とは、生活民主主義が現実のものとなるような経済の仕組みづくりに努力することだ。

◎システムづくり
・良いシステムとは、①いちいち努力・配慮・留意・注意をしなくても、いつのまにか、いつも良好な結果が出るような、②よい習慣としきたりとを、積み上げることであり、③敵切な標準化が進むことである。
・標準化とは規格化と修正化の2つが並行して、繰り返されていく過程なのである。

◎インダストリアリズム
・チェーンストア経営のモットーはインダストリアリズムである。直訳すれば、工業化。つまり工場経営における生産管理方式の考え方をを取り入れるという考え方のことだ。
・その内容は、エンジニアリング(事象を数字で表現することで合理化を進めること)、マス化、標準化である。

◎生涯設計とは
①我社に20年間以上勤務すれば、その後単独で世界中どこへいっても「技術者」として貢献できる能力を持たせられること。
②それゆえに、40歳代半ばには、どこへ行っても、その能力にふさわしい報酬と社会的地位とが保証される
③と信じられる職場状況にあること

◎チェーンストアにおける就業の原理3つ
①報酬は、職務を完全に果たしたという行為への対価とする
②同一労働同一賃金制とする
③教育の原理を守ること
⇒教育の原理とは、教育を受ける機会の均等主義、配転優先主義、現場経験重視主義、技術
 知識の体系化主義、資格試験制度

◎豊かさとは?
・豊かさについて考える時は、ライフスタイルの種類を増やすことを豊かさというべきだ。それは、TPOSごとに商品を使い分けられる状態、トータルコーディネーションを楽しめる生活のことである。
・豊かさは、毎日の、普段の生活の豊かさであって、非日常向けではないのだ。

◎総合化(ライン・ロビング)とは?
・総合化とは、ライン・ロビング、つまり・・同じ購買頻度、同じ来店頻度の商品群について、新しい価格帯に絞りながら、互いに関連する販売量の多い品目を少しずつ追加して増やしていくことである。

◎現場主義とは?
・現場で①実物を見て、②当事者にあって、③関係者に直接質問して答えを得てから、科学的に検討すること。

◎インフォメーションとは?
・本部がキマリと経営情報(数表と行動計画)を知らせ、その説明を丁寧にすること。
◎コミュニケーションとは?
・現場に納得してもらう為に個別対応をすること。

◎ビジョン・・
・平成年代においては、チェーンストア産業づくりこそ、日本の現代における最大のロマンであり、そのシステムを分業できるテクノクラートになることこそ、最も生きがいをかけるのにふさわしい、我々のビジョンである。
・何故ならそれは、日本の社会で最も立後れた分野の改革であり、すでに欧米で実現されていることであり、的確な努力をすれば、追いつき追い越せることでもあるから。
・そのゴールは、社会貢献により、地域に不可欠な存在、つまり社会的インフラになることである。
・ビジョンが、経営理念になったとき、使命感が生まれ、情熱が情念、執念となったときに志となるのだ。

◆チェーンストア・オペレーションとは・・
・欧米のチェーンストア企業が150年かけて築造してきた経験法則で、独特の分業のあり方である。
①本部の任務は、キマリを作り、現場に教育・指導し・監査すること。
②現場の任務は、完全作業を実行させ、コストコントロールをすることで、客の満足と企業の必要な経営効率とを確保すること。

◆チェーンストア・OP、実行の手順
①本部がキマリを決め、インフォメーションシステムを構築する。
②本部が現場に教え、訓練してから現場で実行させる。
③本部は現場に納得してもらうまで、個別対応でコミュニケーションを行う
④現場での実行状況を定期的に監査する
⑤先のキマリとインフォメーションの内容を、より適切に改善し続ける


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
◎本部と現場の任務・・
・本部は、キマリを作り、現場に教育・指導し・監査すること。
・現場は、完全作業を実行させ、コストコントロールをし、お客様の満足と営業利益を確保すること。
◎インフォメーションとコミュニケーション・・
・インフォメーションとは、本部がキマリと経営情報(数表と行動計画)を知らせ、その説明を丁寧にすること。コミュニケーションとは現場に納得してもらう為に個別対応をすること。