経営情報2011年2月

  桜井 多恵子  投稿日:2011年 3月13日(日)23時12分41秒
 
  ◆チェーンストアの労務管理の基本
・基本作業を誰もが標準化された形で簡単に出来るようにする。作業をこなせるようになった従業員が、さらに高度な標準化された作業に生まれ変わらせていく。結果、コストの安い効率のよい仕事に生まれ変わっていく。
◎作業の標準化が進めば、1人が長時間働くのではなく、多くの人々による短時間の労働を組み合わせる事が出来るようになる。沢山の人が少しずつ働くことの組み合わせによって大きな労働力を得て、その結果コストの軽減が出来るメリットがある。

★チェーンストアの労務管理の基本が上手く回っていけば・・
①地域に大量の雇用を提供し
②標準化された作業をして頂き
③コストの安い労働だけを集めることが出来て
④効率のよいコストをより高度な人づくりにつぎ込んで
⑤企業全体としての発展に繋がっていく
このような良い循環を常に考えていくことが、チェーンストアの労務管理の基本。
このようなチェーンストアの労務管理の考え方は、実はこのところ続いている労働関係法規の厳しい改正の中で、かえってチェーンストアに有利な点を提供している。

◆労働法の現状はチェーンストアを支援している
・大企業では、時間外が1ヵ月60時間を越えると50%増しとなる(230時間程度)。これが深夜になると75%増しとなる。<中小でも60時間に向けた努力を始める必要がある>
・チェーンストア理論は、人に仕事がつくのではなく、仕事は仕事として存在するものを、短時間ずつ皆で分担して行こうということ。標準化された仕事であれば可能であり、誰も時間外割増のつく労働をしない。だれも50%、75%増しの労働をしない、そういう形で人を組み合わせれば、時間外割増の高い賃金を支払う必要はないのだ。これが・・労務管理の課題なのだ。
・つまり、誰も60時間以上の残業はさせないという決意が必要。パートタイマーの積極的な活用で、社員の長時間残業が発生しない店舗づくりを目指すのだ。

◎6月30日に育児介護休業法が改正され、男子の子育て参加を支援することで、少子高齢化対策をしようというもの。
・目玉は、育児時短制度にあり、100人以上の従業員を雇用する全ての企業は、生まれた子が3歳になるまでの間、その子を育てる親である従業員について、その要望があれば、1日6時間勤務の育児時短制度を実施しなければならない。例外はなく、全ての会社が1日6時間労働で働く労働者を受け容れなければならないのだ。
・子供が3歳までの間を短い時間で働いて、生活と仕事を両立させ、子供が大きくなったらまた普通の社員に戻るのだ。仕事をしながら子育てをすることを支援するのがい今回の育児介護休業法改正の目的。
・多くの企業にとって、育児休業よりもこの育児時短の方が負担が大きい。何故なら・・月給制社員なら、その月給のまま、ボーナスもあるまま、退職金のあるままとなる。つまり6時間労働で通常の給与を支払わねばならないということ。

◎最低賃金法の増額については、「うちも払うが、皆払うのだから、1人でも多くの人に店に来てもらおうじゃないか」と積極的に考えて、最低賃金上げを乗り切るしかない。

・労働基準法改正(60時間以上の5割増し)、育児介護休業法改正(育児時短)、最低賃金法改正は、他との差別化の武器と確信を持つべき。

◆これからもチェーンストアの基本に忠実であること
・店長問題は、店長が300時間以上も働いていたことであるが、その殆どはパートでも出来ることを店長がわざわざやっていたのだ。この事件で店長の月給は31万円であったが、31万円で300時間以上働けば、時給単価は割増を考えなくとも1000円を下回る。割増分を考え
 れば800円そこそこになり、パートタイマーより安い店長になる。
⇒1000円が25%増しとすると元は1000円÷125%×100で800円となる。上村課長のケースでは28万円で276時間は1015円。1015円÷125%×100=812円単価となる。これではパ-トより安いということになるのだ。

・一時間単価が最低賃金を下回る例すらもなる。
・店長でも、正社員でも、時給制でなくとも、労働時間に対しては正しい割増賃金を払って行かなければならないのだ。

・従業員に対して正しい労働時間の確認と正しい賃金の支払いが出来ていない企業は必ず滅びる。それは、従業員が店、企業を支持できなくなるからだ。それに対する責任を企業が放置してはならない。


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
育児介護休業法改正。目玉は育児時短制度。100人以上の従業員を雇用する全ての企業は、生まれた子が3歳になるまでの間、その子を育てる親である従業員について、その要望があれば、1日6時間勤務の育児時短制度を実施しなければならない。