ルポ貧困大国アメリカ

  堤 未果  投稿日:2010年 7月14日(水)00時22分50秒
 
  2005年データによると、アフリカ系移民の55%、ヒスパニック計の46%がサブプライムローンを組んでいる。しかし、白人はわずか17%に過ぎない。

①貧困が生み出す肥満国民
・肥満児増加は、貧困層に対する政府の切捨て政策の結果
・健康状態の悪化は、必要以上の医療費急騰や学力低下につながり、さらに貧困が進むという悪循環を生み出している。
・30日間マクドナルドのメニューだけを食べると言うドキュメンタリー映画では、30日で体重が12kg、体脂肪が10%増加した。
・ニューヨーク市の人口800万人のうち、19人に1人がプロジェクト(低所得者用集合住宅)暮らしで、その多くがアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系である。
・2006年時点でアメリカでは5人に1人が1日700円以下の収入で暮らしている。
・アメリカでは貧しい国民ほど、ジャンク・フードや加工食品に依存していく。貧困と肥満は同義語になりつつある。

②民営化による国内難民と自由化による経済難民
・学校が民営化されることで国からの教育予算は大幅に削減され、貧困家庭の子供達は教育における平等な機会を奪われることになる。
・国家が国民に対し責任を持つべきエリアを民営化させては絶対にいかなかったのだ。
・アメリカ国内で白人が占める割合は、66.88%で7割を切っている。
・平等に教育を受けられない子供達が貧しさから抜け出すには、軍に入隊するしかない。

③一度の病気で貧困層に転落する人々
・2005年度、全破産件数208万件の内、204万件は個人破産なのだ。その原因の半数以上があまりに高額の医療費の負担だった。
・盲腸で入院して手術を受け1日入院すると132万円かかる。日本なら5日入院して30万円を超えることはなく、健康保険があれば最高自己負担では81,000円なのだ。
◎盲腸手術入院の都市別費用ランキングでは
 1位NY243万円、2位LA194万円、3位SF193万円となっている。アジアでは香港が152万円と一番高い。
・アメリカ国民の1人当り医療費負担額は、皆保険制度のある先進国の2.5倍高く、約60万円になる。
・アメリカ国内で社員に保険を提供している企業は63%しかない。
・出産の為の入院には1日40~80万円かかり、入院出産費用の相場は150万円である。
◎アメリカ国内では6人に1人が無保険者である。

・競争市場に放り込まれた病院は、非営利型から株式会社型の運営に切り替えざるを得ず、その結果サービスの質が目に見えて低下している。
・医療サービスレベルの世界ランキングは37位、乳幼児死亡率は43位というお粗末な結果アメリカは移民により人口は増加しているが、乳幼児死亡率は先進国中ワースト。
・アメリカではクレジットカード負債の次に多い自己破産原因は「医療費負担」なのだ。
・保険のない者は医者にかかれず、普通に働く中流の国民が高すぎる医療保険量や治療費が払えずに破産し、善良な医師が競争に負けて次々に廃業する。何か間違っている。
・フード・ファディズム=特定の食品を摂れば健康になれると思い込む流行のこと。

④出口をふさがれる若者達
・永住権をもっていても、選挙権が付与される市民権を持っていないために送り返される者も多い。永住権程度では、まともな就職は出来ないのだ。
・2007年、夢の法律2007が制定され、入隊と引き換えに市民権取得が不法移民にもチャンスが与えられたのだ。兵士不足になやむ軍にとっては、75万人いる不法移民はまさに「宝の山」なのだ。
◎グリーンカード=永住権
◎コミュニティ・カレッジ=2年制の大学
・全米の学生の3割が学資ローンの受給者であり、同時にクレジットカード返済滞納者である

⑤世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」
・グローバル市場で最も効率よく利益を生み出す貧困ビジネス、それが「戦争」なのだ。
・フィリピンでは、国民の半数は1日2$以下で生活をしている為、海外に出稼ぎに行くのが普通。

・武器を持たずに米兵が戦闘地域に入ると、軍法会議にかけれれるが、武器なしで戦闘地帯に会社側は法的にも責任を問われない。


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
・資本主義先進国アメリカには多くの移民がいるが、貧困層は食うに困り、学校へも行けずまともな職に就けない。市民権を得るために軍に入ることもある。
・皆保険制度ではない為、保険がある企業は63%程度で、もともとの医療費も高いことから病気等が原因で破産していまう中流も多い。