会社法入門

  神田 秀樹  投稿日:2010年 1月10日(日)10時33分4秒
 
  株式会社とは、株主が法人としての会社を所有し、その法人としての会社が会社資産を所有すると言う、「二重の所有関係」によって構成されている。これこそが・・株式会社の基本構造で、これを把握しておけば、株式会社に関することは自動的に理解出来る重要なポイントである。

株主総会で取締役を選び、取締役が代表取締役を選び、代表取締役が会社の業務を行うというのが通常。会社の活動を決めるのは、株主に究極の出発点がある。

商法特例法上の大会社=資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社
上場会社は約3,800社あり、大会社は11,000社ある。
会社法上の会社は・・株式会社と持分会社(合名・合資・合同会社)の4種類

ファイナンス=企業金融
持株会社=自ら事業を行うのではなく他の会社の株式を保有し株式保有を通じてそれらの会社を支配することを目的とする会社

民法の世界では「契約自由の原則」、会社法では契約自由ではなく「定款自由の原則」だ。定款で書けば広く自由を認めましょうと言うもの。

オプション=転換させる権利

会社法改正のポイントは、有限会社と株式会社を一つの会社類型に統合したことの他、重要なものとして、事業報告(以前は営業報告書)による開示の充実がある。

自然人または会議体を会社の「機関」と呼ぶ。
一定の会社では、株主総会は監査役を選任して取締役の監査をさせる。

公開会社=株式譲渡制限がない会社と理解してよい
大会社には会計監査人が必要、会社は機関設計を定款で定め、登記する。
会計参与は監査する人ではない。計算書類等を作成する人である。そして会計士または税理士でなければならない。

会社法では、取締役は事業経営に際しては原則、過失責任であり過失がなければ責任を負わない。

株主総会=会社の総意により会社の意思決定をする機関
株主総会召集は、総会の2週間前までに(非公開会社では原則1週間前まで、取締役会設置会社以外では定款で短縮可)

取締役・会計参与・監査役・執行役は株主質問に対し説明義務を負うので、総会への出席義務がある。
監査役は取締役会の構成員ではないが、業務執行の適法性を監査する権限を有するので、取締役会に出席する義務がある。

会社法での役員=取締役・会計参与・監査役
取締役の任期は2年だが、非公開会社では定款により10年まで伸張することが出来る。
大会社では、内部統制システムは必ず定めなければならない。

近年は「執行と経営」の分離による経営効率向上を目的に、業務執行を執行役員(取締役ではない)に委譲する会社が増えている。
会社と取締役との法律関係は委任である。

規模がある程度以上の会社の取締役は、事業規模・特性に応じたリスク管理体制(内部統制システム)を整備する義務を負う。(コンプライアンスの整備含む)

社外監査役は、過去にその会社または子会社の取締役、その使用人となったことがない者でなければならない。監査役の任期は4年だが、定款により10年まで伸張することが出来る。

監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類等を調査する義務を負い、調査結果を株主総会に報告する義務を負う。
会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければならない。任期は1年。株主総会で別段の決議なき場合は、再任されたものとみなされる。

役員(取締役・会計参与・監査役)・執行役・会計監査人を「役員等」と言う。
改正前商法では、決議に賛成した取締役は行為をしたと考えられたが、会社法では責任の過失責任化に合わせ削除された。
過失責任=過失がなければ責任を問われない。無過失責任=過失がなくとも責任を問う決議に参加した取締役等は議事録に異議をとどめておかないと決議に賛成したものと推定される。

授権株式制度=将来発行予定の株式の数(発行可能株式総数)を定款で定めておき、その「授権」の範囲内で取締役会決議等により株式を発行することを認める制度。
設立時には授権株式数の少なくとも4分の1は株式を発行しなければならず、定款の変更により既存の授権株式数自体を増加する場合にも、発行済株式総数の4倍までしか増加できない。(4倍ルール)・・但し非公開会社では4倍ルールの制約はない。

社債発行には原則として、社債管理者を設置し管理を委任しなければならず、管理者になれるのは、銀行・信託会社またはこれに準ずる者でなければならず、証券会社は管理者にはなれない。

三角合併=存続会社が消滅会社の株主に対し、存続会社の株式ではなく、親会社の株式を交付する制度。

設立=設立の登記によって、法人格を取得し成立する。

合併の効力=改正前は登記時に効力発生であったが、会社法では登記時ではなく、会社間で定めた一定の日に効力が生じる。

コーポレート=普通は上場企業等の大企業のことを言う。
アメリカでは、大企業はその所有者である株主の利益を最大化するために経営されることが望ましいと言う考えが定着している。


●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
会社法上の会社は・・株式会社と持分会社(合名・合資・合同会社)の4種類
民法では「契約自由の原則」、会社法では「定款自由の原則」。
役員(取締役・会計参与・監査役)・執行役・会計監査人を「役員等」と言う。
授権株式制度=将来発行予定の株式の数(発行可能株式総数)を、その「授権」の範囲内発行することを認める制度。
定款の変更により授権株式数自体を増加する場合にも、発行済株式総数の4倍までしか増加できない。(4倍ルール)・・但し非公開会社では4倍ルールの制約はない。