竹中式マトリクス勉強法

  竹中 平蔵  投稿日:2008年11月15日(土)23時59分2秒
 
  MBAでの学びの意味は、幹部には成果に対する再現性、恒常性が求められるが、それを実行するには、過去の経営メソッドや体系化されたマネジメントを学ぶ事が極めて有効だからである。

目標を立て、具体的な勉強計画を練る段階で重要なことは、全ての勉強に締切りを設定することである。人間は、易きに流される動物であるから、なんらかの期限を決めなければ、エンジンはかからないのである。

竹中氏はメモを持ち歩き、あえて失敗を書き込むことで、「こういうことはもうしない」と行った教訓を得ていたのである。

「残業する程、暇じゃない」これは正に、今話題のワーク・ライフ・バランスである。これは主に、福利厚生の一環として女性が仕事と家庭を両立させると誤解されているが、そうではない。本当は、家庭と仕事を両立させて精神を安定させ、早く帰って勉強に時間を費すことで、人材のレベルを上げ、仕事の生産性を上げることが目的なのである。

竹中氏が年齢を重ねて出した結論に、「一定以上の睡眠時間を確保することは非常に重要」と言うのがある。これは、勝間和代氏も古市幸雄氏もいっており、やはりと言う所だ。

資格試験などの勉強については、参考書ではなく問題集(過去門)を暗記せよ仰っている。何故なら、設問と言う形でない場合は、覚えたつもりでも覚えてないことがあるが、問題集を暗記すれば、反射的にこう書かれれば、こう答えるとなるからだ。

経済学者のクルーグマンの言葉に「庭師と植物学者は違う」と言う文句がある。いい庭を造るには、植物学の知識が必要だが、優れた植物学者が優れた庭師かと言うとそうではない。庭師の仕事と植物学者は似て非なるものなのである。政策と経済学についても同じことが言える。
政策実行に関わったことの無い経済評論家は「植物学者」であっても「庭師」ではないのである。そもそも、批判するならば具体的な対案を出す・・それが議論の掟なのである。

勉強上手は例外なく聞き上手である。人は基本的にしゃべりたがりだから、相手の聞き方がうまいと、自分のもっている情報を惜しみなくだすのである。だから、聞き上手の人は、労をとらずして貴重な情報が得られるのである。
小泉元総理の「聞く技術」は印象的で、大事な話は必ず、相槌も打たず押し黙り、目をつむって聞く癖があった。最後まで聞いた後は必ず、「それは、つまり、こういう意味ですか」と念を押されるのである。
人の話を聞きながら、論理体系を再構築し、熟慮の上の判断が出来るのである。

勉強が出来る人はセルフ・モチベート・・自分を鼓舞するのが上手い人である。教育の本質は「エンカレッジ」・・勇気付けることであるが、日本では「ディスカレッジ」・・やる気をそぐシステムさえある。
アメリカでは「両親が学校に呼び出し」を受けることは名誉なことなのだ。先生は、ちょっとしたことでも子供のことを褒め称えるのである。この「エンカレッジ精神」を取り入れるべきである。教育とは本来、あれをするな、危険だの、ネガティブリストをあげつらうのではなく、ああしよう、こうしようとポジティブリストを示唆してあげるべきものである。

小泉総理が言う「相撲の立会いと一緒」という咄嗟の切り替えしは、頭の中に点在する知識や情報を繋ぎあわせることが出来なければ無理なことであるが、これは、日頃から「頭の体操」をしていない限り、数秒という短い間でそのプロセスを踏むことは出来ないのである。

人間の成長は「鳥は向かい風の中、飛び立つ」と言う谷村新司氏が竹中氏がバッシングを受けた時に贈った言葉にあるように、人の成長も追い風に乗ってばかりでは、流されるばかりで浮揚するエネルギーがつかないが、向かい風によって、浮揚力がついて、高く上空にあがらねばならないのである。


●●ピークパフォーマンス方程式●●
もう一度、セルフ・モチベートにより資格取得に向けた勉強を再開すべきだ。そして、その方法は過去門を中心にすればよい。部下や後輩との接し方、また自身に対してもエンカレッジ精神でポジティブリストを示唆し、七転八起や議事録作成を頭の体操だと考えて積極活用し、咄嗟の切替しが出来るようになろう!