調査日誌81日目 -『浪江を語ろう』のレジュメ作り中 浪江町域の寺院の特質- | 『大字誌 浪江町○○』調査日誌

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旧「『大字誌浪江町権現堂』編さん室、調査日誌」のブログ。2021年3月12日より『大字誌 浪江町権現堂』(仮)を刊行すべく活動をはじめました。2023年11月1日より町域全体の調査・研究のため新装オープン。

2024年1月21日。

 

西村慎太郎です。

2月24日に『第8回浪江を語ろう!』を開催し、西村は「82ヶ寺もあった浪江町域の寺院」という報告をします🤩 『奥相志』(東京大学史料編纂所蔵写本4141.26-20。原本は相馬市指定文化財)から浪江町域の寺院を調べたところ、なんと82ヶ寺もありました。

 

では、その宗派の特質を挙げておきたいと思います。

 

・真言宗 30ヶ寺

・本山派修験 28ヶ寺

・羽黒派修験 12ヶ寺

・曹洞宗 3ヶ寺

・浄土宗 3ヶ寺

・真宗西門跡派 2ヶ寺

・真宗東門跡派 1ヶ寺

・不明 3ヶ寺

 

真言宗寺院が最も多く、多くは北幾世橋の竜燈山大聖寺の末寺です。当時、大聖寺は中村城下町の歓喜寺末寺であり、「真言宗標葉三十三ヶ寺本寺」として位置づけられていました。

 

また、本山派と羽黒派を合わせると、40ヶ寺もありました。

興味深い点として、大聖寺はもともとは当山派修験でしたし、藤橋不動尊が安置されていた藤橋村の宝珠院、北幾世橋村の安楽寺(のちに大聖寺合院)、室原村の観音寺も当山派修験でした。当山派修験と真言宗は近い存在です。中世段階に当山派修験だった大聖寺などが、真言宗に改まったものと思われます。